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チャラン・ポ・ランタン Vo.ももの
私の想ひ出のショウ Vol.51

2020/3/20

連載コラム

〜白米と永遠 編〜

だから、白米が好きだ。だからわたしは白米が大好きだ。おそろしく好きだ。
明日世界が終わるとしたら、終わるその瞬間まで白米を、白米という白米を、それはもうひたすらおかわりし続けたい。
爆発し粉々になって消えるその瞬間のわたしのお腹の中は白米でいっぱいでなくてはだめだ。そのくらい好きだ。そう。ご飯を炊いたんだ。3合。
年明けから舞台の稽古や本番で、100%のノン自炊生活を送っていたわたしだったから、現在自分の家にどのくらいのお米が残っているのか分からなかったけども、ふと思い立って炊いたんだ。
年末秋田にツアーに行った時に再会した秋田で農作業をしている父さん母さん(中学の時に学校の行事でお世話になって以来そう呼んでいる)から貰ったお米を炊いた。
うますぎてしぬかと思った。おそろしいうまさで世界が終わるかと思った。終わったかと思った。終わっていなかった。まだいっぱい鍋にご飯が残っていた。てんさいだ。まだまだ食べれる。明日も明後日も。さいこうだ。
もう一杯食べた。うまい。天才的なうまさだ。1杯目は白米のみで食べたから、2杯目はお醤油をかけた。うまい。てんさいだ。お醤油を作った人間もどう考えてもてんさいだ。
しかしどう考えてもやはり白米はぶっちぎりの一位だ。もう一杯食べた。3杯目は納豆といっしょに食べた。なんだこれは。頭おかしいんか。うますぎる、声に出してしまった。天井が落ちてきたかと思った。すごい破壊力だ。
納豆というものを最初に口に入れて「コレ、食べれる!」って言ったひとはどう考えても勇者だ。大英雄人間だ。そしてそれでも白米は優勝だ。まだまだ食べれる。
そんなこんなで食べ続けていたら、3合炊いたはずのお米は次の瞬間には残り1杯分しか鍋に残っていなかったんだ。何が起こったのか分からなかったわたしは泣きそうになった。永遠はなかったんだ。
永遠に無くならないと思っていた鍋の中のご飯はあっという間にわたしの前から消えてしまったんだ。悲しかった。
そんな悲しみに包まれたわたしが食欲の鬼と化した今年の頭のことを話そうと思う。1月3日から稽古を始め、2月の末から5日間「超、Maria」 という3年ぶりの舞台でのお芝居、それも劇作家 根本宗子さんとの2人舞台があった。
普段やっている、ライブやレコーディングとは全く違う脳をフルに使っているみたいで、毎日食欲が止まらなかった。それでも、摂取していたカロリーは全ての脳に行っているのか、鬼のように食べているのにも関わらず太らなかった。
そして大人になってから、初めてのツインテールというものをした。本番の5日間、計11ステージ毎日ツインテールの三つ編みを編み上げていた。勿論ひとにやってもらっていた。本番中にたるんでは仕方がない勿論バッリバリに強く編み上げていた。ツインテールに慣れていないのか、三つ編みに慣れていないのか、頭がカロリーを摂取しすぎていたのか、正直に言うと頭の両脇、両側の髪の毛がまあるくくり抜かれたような感覚になってきていた。もはや痛みは感じなくなっていた。千穐楽前のいつかの夢、絵でクマを描くときに描くであろう耳の部分が綺麗にまあるくハゲたという夢を見た。それを発見したわたしはその丸を色ペンで綺麗に塗っていた。嬉しそうに。それが私の想ひ出。今では楽しかったマイメモリー。あっという間に終わってしまった舞台。そして白米。永遠はない。もう鍋にも残っていない。一晩で3合食べたんだ。信じられないだろう?生きてると色々あるんだな。アディオス。

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