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チャラン・ポ・ランタン Vo.ももの
私の想ひ出のショウ Vol.41

2019/5/20

連載コラム

スースーと過ぎる編

スースーする風呂に入っているのだが。

スースーする風呂に入りながらこれを書いているのだが。これは正解なのか分からないくらい物凄い勢いでスースーしているのだが。なんの入浴剤だったのかなんの香りだったのか分からない。何故ならそれを浴槽にぶちまけた後すぐにゴミ箱へ捨ててしまったから。こうなってくるともはやそれが入浴剤であったかどうかも定かではないというか要するに確認という作業を省くくせがある私はそれをしていない。せず入れた。とにかく全身という全身がスースーしている、なんならそのこの空気を吸っている鼻までスースーしているんだが。ミントというかハーブというか、それらしい何かだ。よく分からないがスースーし過ぎて楽しくなってきているのは確かである。スースーし過ぎると人は楽しくなるのか。新しい発見をした。

人は、というか、私は、「〇〇過ぎる」と楽しくなるところがある。それが、「楽しい」という感情の反対側だったとしても、直ちに「楽しい」に直結するのである。そんな不思議現象が起きる。悲し過ぎる、怒り過ぎる、痛過ぎる、辛過ぎる、私の中でどこかを過ぎると無性に楽しくて仕方なくなる。

またそれを過ぎるとどうなるか、「無」だ。これを読んだ人はどんな気持ちなんだろう。わかってる、私自身、私がなかなかヤバ過ぎるのかもしれないそんなことは分かってる。でも安心して欲しい、あらゆる楽しいを過ぎた後に訪れる「無」に見舞われた経験はこの人生でまだほんの数回しか無い。つまり、だいたい「楽しい」のだ。

さてそんなことを書いている最中に凄いことに気が付いてしまった。

自分がこうして、読んだところでなんの為にもならない連載を書き始めてから、なんと今回でvol.41だ!始まってから41ヶ月も過ぎたことをたった今知り、ゾッとしている。41回も書いているのに、未だに締切日を過ぎる自分にもゾッとしている。すごい。すごいクソっぷり。思ったことをそのまま口にも出さずに真顔でぽつぽつと書き続けて、もう3年以上経つのか。実のある話でもなければ、私のファンが喜ぶような話もせず、ただ同じクオリティの「なんでもない話」を書き続けて41回。今日だって着地点の目処も立っていない、スースーについて語り始めたところだった。そんなこんな連載を読んでくれている人がいるなら感謝したいし、なんならお茶にでも行きたいし、こんな連載を連載してくれているKEP自体に感謝したいし、なんならこの連載を読んで編集してくれている編集部の方と飲みにでも行きたいし、っていうことをやりたいなっつって実際にそれをお伝えしてもらうわけでもなくここに真顔で書いて一口水を飲む私だよ。

そんなこんなで、普段の私はパッパラパーであることは間違いないがこんな私にも音楽がある。(音楽あって良かったー!)
4月からはバンド編成のツアーが始まり、毎週末はどこかしらで歌っている。(歌があってよかったー!)

そんなたった今のツアー、とにかく過去最高のアツさ。MCは少なく曲数は多く、踊って歌って物凄く盛り上がる(自分も)。とにかくアツい史上最高にアツい。そして、衣装も暑い。気持ちも体も(実際に)アツいのである。初日川崎クラブチッタから始まったこのツアー、毎度バタバタする初日は信じられないほど、準備をスムーズに終えて、ライヴ開始30分前には衣装も着てバッチリだった。曲も確認し、完璧。やはり、10年歌ってきてここでやっとこの余裕が生まれるようになったのかとさえしみじみ思っていた。本番が始まり、一曲目を歌い始めてワンコーラス歌い終え、手を高くあげた瞬間。「あ」私は思った。「槍を、わすれた」。

うん、うんわかってる、きっと、私のことをよく知っていないたまたまこの連載にあり着いて読んだ方は、この人はいよいよ頭がおかしくなったとお思いになられただろう、私のことを知っている人でもそう思ったかもしれない。深くは疑問に思わないで頂きたい。とにかく私は槍を忘れたのである。それが私の想ひ出。楽屋のドア付近に立て掛けたのは確か、でも確実に忘れたのである。このツアーでステージ立つにあたってこの槍は自分の中ではなかなか重要な役割を果たすと思っていたのに。

ええ、もちろん本編の中でその槍を使ってなにかパフォーマンスする訳では無いし、なんなら早々に地面に置く。だが、重要なのである。私にも分からない。何もしていないようでそこに居ると一番の役割を果たす存在もあるのである。槍を忘れたことに気づきガッカリし過ぎた私は、ガッカリし過ぎて、楽しく、楽しくなった。よって最高のライヴに、初日になったのであった。是非、生でそのライヴ…というかその槍も見に来て頂きたい。忘れていなければ最高な私が、忘れていればいたとて、最高の私が、見れると思う。アディオス。スースー。

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