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チャラン・ポ・ランタン Vo.ももの
私の想ひ出のショウ Vol.49

2020/1/20

連載コラム

暖かい記憶がさみーな 編

「さみーな、さみーな」
たった今わたしの口からでた言葉。
耳から入ってそこで初めてわたしが言ったことに気づいて驚いた。
大して寒くもないというのに口から出てた。
というかなんなら室内だ。
暖房も効いている。
ニンゲンっておそろしい。大して思ってもいないことも、口から出てしまうことってあるんだ。
それか、どうだろう、気温こそ暖かいけれど、わたしの中のどこかの感覚が「さむい」と察知し、「さみーな」に行き着いた。
うん、ないな。それはない。だってそれよくわかんない。よくわかんないもんね。
この身体と26年間付き合っているにも関わらず、まだまだ自分を把握できていない。
ニンゲンとしてプロになれば自分のことを100%理解できるのだろうか。
自分はまだ0.5%も理解できてる気がしない。いやそれ未満だ。
鍋焼きうどんが好きだし、カボチャほうとうがかなり好き。
ということくらいしか言い切れることが無い。
毎日自分に戸惑っている。
もうちょっと落ち着いて自分に対応していきたいのだけど。

さて、そんなわたしも、鍋焼きうどんとほうとう以外にも、これだけは!というものが有る。
そう、歌が、わたしは大好きだ。(おっと思い掛けずグッとくるポイント!)
12月に終わったツアーでもそれを噛み締めた。
歌さえあれば、今日も明日も生きてゆける、と。
そんなことを想ったツアーのファイナル、恵比寿リキッドルーム。
好き勝手、自由に、弾けながら、飛んで、踊って、歌った。
もちろんリズムに合わせてステップを刻むのも好きだけど、それを気にせず自由にとにかく自由に好きなように歌って動いた。
チャラン・ポ・ランタン史上過去最高といっていいくらいに盛り上がって、わたしも盛り上がった。
そんなライブ、終演後に「ももちゃん倒れてたよね、大丈夫だった?」と聞かれた。
えっと。
身に覚えがなかった。
「倒れてたのに歌ってたよね」と。
全く覚えていなかった。
転んだ?のか倒れた?のに、歌い続けていたらしい。
人違いかと思ったが、どうやらわたしらしい。
しらんし、わからんが、またひとつ、自分がこわくなった瞬間だった。
それが私の想ひ出。
こういうことが、たまにある。自分が自分でも、わからない。
兎にも角にも、ライブは盛り上がった。
それが一番よかったんだ。
あの日の熱気と、少々のこわさを残して、年末のわたしは湯呑みに残ったまだ暖かいほうじ茶を飲み干した。
嗚呼。さみーな、さみーな。アディオス。

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