2019/7/20
連載コラム
オーマイグドネス。
また、なくした。また、大事なものを私はなくした。
目に見えないもの、じゃない。ちゃんと目に見える、右手につけていたブレスレットだ。もう、普通に、もう、うん、なくした。
今回でそのブレスレットをなくすのはもう3回目だ。何回なくしたら気が済むんだろう、消えてそしてまた出てくるからって私も気が緩んでいるのかもしれない。そうやっていなくなっておいて、結局またここに帰ってくるんだろ? そんな風に思っているのかもしれない。
だけども今回はすっかりいない。すっかり消えてしまったように感じる。
「身に付けていたアクセサリーが切れたりなくなったりするのは、なんか危ない目に遭いそうだったところをそのアクセサリーが身代わりになってくれてると思うことにしてるから私気にしない」よく友達が言っていた。本当だろうか。切れて、なくなってチャラになる危ないことならば、私受けるから、なくなって欲しくないよ、アクセサリー。私に降りかかれ、災難。天気か何かが悪いせいにして乗り越えられるから、私。出てきて欲しい、帰ってきて欲しい、ブレスレット。「オーマイブレスレット」って曲を書こうと思う。また再会する日を夢見て。
さ、て、と、すっかり暑い日もあったりして、最近はツアーにイベントに、ライヴの多い日々を過ごしております。
先日は母校、和光鶴川小学校にてコンサート。私たちチャラン・ポ・ランタン姉妹はこの、鶴小で育ちました。卒業生というわけで呼んでいただき、歌いに行くことに。久々の校舎、変わらない先生、いつ帰ってきてもやっぱり実家に帰ってきたような安心感があります。6歳からの6年間毎日通い続けた場所って改めて特別な存在だな、と。小学生だった私たちのことを昨日のことのように話す先生たち。幼稚園児から、小学生、中学生、お父さんお母さん、おとなになった卒業生、たくさんのひとが見に来てくれていると聞いてドキドキわくわく、ライヴの始まる時間を待っておりました。開始時間が迫ってきてそろそろドアの前にスタンバイしようかとライヴ会場である体育館へ向かうその時。体育館の中から聴こえる、拍手と登場SE。
『!?』
何が何だかドタバタだけれどただ分かっているのは、「もう、はじまっている」ということ。
とにかく小走りで中に入り、まだアコーディオンも背負っていない状態で登場SEも終わり、無音に焦って曲の前に自己紹介。
「どうも、唄とアコーディオンの姉妹ユニット、チャラン・ポ・ランタンでーーーーーす!」
10年活動してきて、この時ほど長い「でーーーーす!」を言ったことがあっただろうか。
それが私の想ひ出。一曲目は未だかつて無いほどとっ散らかった仕上がりだったが結果的に私たちにとっても、すごくメモリアルなライヴになった。
終演後、「早めに紹介してそのまま登場曲かけちゃったのアタシー!」と絵に書いたようなテヘペロをかましてきた女性の先生の顔を思い出しては今もじわじわ来ている。
なくならないもの、なくしたもの、あの頃と今は何が変わって何が残っているのだろうか。
あの頃の私はあのブレスレットを勿論持っていなかったし、なくしてしまった今も私の右手には付いていない。ジーザス。
バックナンバー
・チャラン・ポ・ランタン Vo.ももの私の想ひ出のショウ Vol.42
・チャラン・ポ・ランタン Vo.ももの私の想ひ出のショウ Vol.41