2022/5/12
編集部より
こんにちはタニモトです。
4月は、イースター休暇もあり何かと賑やかだったロンドン!
ヨーロッパからの旅行者も多く見かけるようになり、活気がさらに戻ってきたようです。
ロンドンには大都市にも関わらずたくさん公園があるので、そこでくつろぎピクニックする人の姿も見かけ気持ちのいい季節になってきました!
現在、大阪では「バンクシーって誰?展」が開催中というニュースを聞きつけ、ロンドン市内にあるバンクシーのストリートアートを巡ってきました!
謎に包まれた存在”バンクシー”。
今、世界で最も有名なストリートアーティストとして大注目の彼は、イギリスの南西部に位置する「ブリストル」という港町の出身と言われており、ロンドン市内にもたくさんの作品を残しています。
しかし、「ストリート・アート」ということで上書きや消されてしまった作品も。今回巡った8ヶ所のうち、残念ながら3ヶ所は見ることができませんでした。
2020年には、地下鉄車内に描かれたマスク着用を促す新作をロンドン交通局の清掃員がバンクシーだと知らずに、消してしまったというニュースも話題になりました。最近ではそういったことがないように保護されていることもあるようですが、これもまたストリートアートだからこその魅力な気がしますよね。
初めに発見した作品は、バンクシーによって「 London doesn’t work (ロンドンは機能していない)」と描かれていたものにライバルであるキングロブ(※1)が「I Love London ROBBO」と上書きをした作品。バンクシーといえば、ネズミにイメージがある人も多いかも。
私が訪れた時は、何者かによって「 ROBBO 」という彼の名前は黒く塗りつぶされてしまっており「I Love London」という文字のみに。
※1「バンクシーvsキングロボ(グラフィティ戦争とも呼ばれている)」
ライバルであった両者がお互いの作品に少しアレンジを加えながら上書きし合い対立していました。
この周辺は高層ビルに囲まれているオフィス街。壁のほんの片隅に描かれており、想像以上に小さく驚きました!作品を通して資本主義を風刺的に訴えているようです。
コンサートホールや映画館、劇場、アートギャラリーなどが併設されているヨーロッパ最大級の文化複合施設「バービカン・センター」にて同じストリートアーティストとして活躍したアメリア出身の画家バスキアの展覧会が開催される直前に突如現れた2つの作品。
当時すでにバスキアは亡くなっていましたが、展覧会を開催するまでに至った彼への敬意が詰まった作品であると言われています。
バスキアの有名な作品「Boy and Dog in Johnnypump」へのオマージュで白人警察官が黒人の身体検査をする人種差別的な社会へ風刺作品。まさに今問題視されている Black Lives Matter(ブラック・ライブズ・マター、BLM)にも繋がっていますよね。
こちらは、バスキアのアイコンである王冠をモチーフにした観覧車に行列ができているという作品。
ストリートアートに列ができるほどの価値がついたという敬意が込められている一方で、本来であればストリートアートを禁止している「バービカン・センター」がバスキアの展覧会を行うことへの皮肉的なメッセージが込められていると言われています。
実際にバンクシーは自身のインスタグラムにて
Major new Basquiat show opens at the Barbican - a place that is normally very keen to clean any graffiti from its walls.
(バービカンは普段はとても熱心にストリートアートを排除する場所。)
という説明を一緒に残しています。
この2作品は道を挟んで向かい合っていて、現在はアクリル板で保護されていました。そして、この周辺にはバンクシー作品以外のストリートアートを見かけることはありませんでした。
少女と買い物かごいっぱいのショッピングカートが真っ逆さまに落ちていく作品。
この建物の裏は、ハイブランドのブティックが並ぶ通りでこのエリア一体はロンドン中心部のショッピングエリア。今日、目まぐるしく消費を続ける社会に対する風刺画であり、なんとも考えさせられますよね。
見上げるほどの高さに描かれていて、バンクシーはどうやってこの高さの作品を描いたのでしょうか。
現在何らかの工事が行われており、近くまでいくことはできませんでした。
イギリスで創設された環境保護団体「Extinction Rebellion(エクステンション・リベリオン)」(直訳すると「絶滅への反逆」)のデモがこの周辺で行われた直後に現れた作品。
少女が掘った地面から新しい芽が顔を出しているイラストとともに
”From this moment, Despair ends and tactics begin”
(この瞬間から、絶望を終え、取り組んでいこう)
というメッセージが描かれています。
この運動を支持し、この動きによって何かが変わり前に進もうという前向きな気持ちを伝えたかったのでしょうか。
ただこの作品は正式にバンクシーであるとあると認められたわけではなく、専門家によってバンクシーのものではないかと言われています。こちらも現在は、アクリル板で保護されていました。
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そして最後は、お洒落な若者が集まる街・ショーディッチへ向かいました。
大阪でいうところの堀江のような雰囲気。
週末には古着マーケットが開かれたり、ナイトクラブやBARも多くロンドンの中でもカルチャーが集まる場所としても人気のエリアです。
ただここでは、本物の作品に巡り会うことができず、、Cargoというクラブの敷地内にあるようなのですが、このクラブが色々あって営業停止となってしまい今は見れないようでした。
ここはぜひ、またリベンジしたいと思います!
Cargoというクラブがあるストリート。「London Jazz Festival」というサーキットイベントが3日間にわたって開催されたりも。
ストリートアートが盛んでどこもかしこもグラフィティだらけ!
私も実際に作品と遭遇するのは、想像以上に一苦労でした。見つからないなーと思っていたら自分の足元に、なんてことも!
周辺を散策し、そこにいる人たちの様子を感じながら”なぜこの場所にこのタイミングで描かれたのか” そんなことに想いを巡らせながらバンクシーの魅力に触れました。とにかく面白い!知れば知るほど、たくさんの疑問が浮かんでき、まだまだ奥が深そうです。
開催中の「バンクシーって誰?」では活動の主戦場である“ストリート” に焦点を当て、見事な街並み再現展示で、実際の空間を体感できるようです。世界で注目を集める“バンクシー”のその活動の意味を、楽しく理解していただける貴重な機会となります!
ぜひ会場で体感してみてください。
それでは、また次回お会いしましょう。
「バンクシーって誰?展」
2022/06/12(日)まで開催中
平日 11:00~20:00
土日祝 10:00~19:00
ナレッジキャピタル EVENT lab.
>>公演詳細はこちら
【KEP特派員スタッフ タニモト】
約4年間キョードー大阪の広報として勤務、その後2021年秋からロンドン留学へ。
日々英語を学びながら、海外のエンタメに触れるためライブハウス・劇場に通う。