2022/8/13
取材レポ
――本作に出演が決まったときの感想は?
古田「石川五右衛門はもう5回もやってるから飽きてるんですよね(一同笑)。スーパーマンで絶対死なないし、どう頑張っても勝つという決まったキャラクターだから。12年ぶりにゆりちゃん(天海)とコンビの役をやること、新しいキャストたちとどうふざけるかを考えるのは、今稽古していて楽しいです。」
天海「私はだいたい4年ごとに新感線に出演していて、今年も新感線イヤーがやってきて有難いなと思います。こういう世の中でみなさん不安と隣り合わせのなか、「明るくスカッとした気持ちで帰ってもらえるのは“薔薇サム”ですよ」と言われて、その通りだなと思いました。元気が出る作品として“薔薇サム”を、アンヌ役を選んでいただけて幸せです。今お稽古をしていて、「やっぱり“薔薇サム2”で間違いないな」と思っています。ぜひ新感線パワーでぶっちぎっていきたいです。」
神尾「僕はまだ一度しか舞台出演がなく、普段は映像の仕事が多いので、舞台の中でも最高峰の劇団☆新感線さんとご縁があるとは思わず驚きました。不安でしたがお誘いいただいたからには、自分なりにできることをやって、古田さん天海さんの背中を見て学べたらと思います。今は稽古自体にも慣れず、どう動いたらいいかなど全然分からないのですが、映像と違っていのうえ(ひでのり)さんの演出を消化していく時間がたくさんあるので、その時間を活かしていきたいです。」
――古田さん、天海さんは久しぶりのご共演ですが、稽古はいかがですか。
古田「信用している大ファンの女優さんなので、一緒にやっていてすごく楽しいです。」
天海「私の中では古田さんがいてくれるというだけで、勝ったも同然なんですよ! いろいろなことが起こっても、古田さんの存在が全てチャラにしてくれる、というくらいの力があるので。そのなかで私は気負わず伸び伸びと4年ぶりの新感線を楽しんでいます。」
――本作の見どころを教えてください。
古田「ざっくり言うと、前作で五右衛門の手助けもあってアンヌは女王様になったのですが、若い人たちに大きな役目を譲っていこうとしている、まあ代替わりの物語。分かりやすい勧善懲悪ものであり、世代交代を軸にしたお話です。」
天海「「世代交代をしろ」と暗に言われていると私は受け止めていて、作品で肩をたたかれることがあるんだと思った次第です(苦笑)。本当に新感線(出演は)最後になるかもしれないので、ぜひ大阪の方にも足を運んでいただけたらと思います。そして世代交代をさせられる……(笑顔で神尾を見る)。」
神尾「いやいや、荷が重いです(苦笑)。僕らもおんぶに抱っこではなく、頑張らなきゃいけないなという気持ちです。」
古田「あと、ゆりちゃんは今回もすんごい着替えますよ!」
天海「まあ、今回もいろいろとやらせていただきます。あれ、なかなか大変なんですよ。何着ぐらいあるのかは、聞くと気が重くなるので聞いてないです(苦笑)。」
――世代交代がひとつのテーマとのことですが、古田さん天海さんが演劇界の後輩を育てるという意味で意識していることは?
古田「昨今の演劇界はおとなしいのを憂いておりまして。演劇界は何をやってもいい世界だと思っているので、「遠慮をするな。おとなしくなるな。ひどいことをしろ」ということを後輩たちには教えていきたい。でも若い衆と舞台をやると、「そんなやり方があるんだ」と気づくこともあるので、それはそれで楽しみです。」
天海「私はあまり先輩後輩という意識がなくて。ただ、私より下の世代の方たちを見ていると、暴れる場所がない、バンと弾けられる場所がないのかなと感じます。私がお芝居を受けるときは、どういうふうに演じてもちゃんと受け止めるから好きなようにやって、とお伝えしています。」
神尾「確かに僕らの世代は監督や演出家さんはこうしてほしいんだろうな、ということを汲み取りすぎてしまうところがあると思うので、そこは壊していけるように。いろいろと自分の中で挑戦していけたらと思います。天海さんはお稽古でもすごく堂々とされていて存在感が……。」
天海「圧が!?」
神尾「いや、圧じゃないです(笑)。やっぱり見てしまう、目がどうしてもいくんですよ。」
天海「大きいから!」
神尾「いえ、そういうことじゃなくて(笑)。役柄的にも真ん中に立つ責任感をすごく感じました。僕も(映像で)主演をやらせていただいていますが、真ん中がぶれちゃいけないと、今すごく学べています。」
――12年前の前作から十数年経っているという設定ですが、五右衛門とアンヌのキャラクターはどのように変化していますか?
古田「五右衛門はヨーロッパに腰を据え、各国が覇権争いをしているところを海賊として邪魔してるんだけど、世の中のためになる義賊に成り下がってる。あまり悪いことはしてないですね。アンヌは一国の女王として国を盛り立ててるというかね。」
天海「はい。コルドニアという小さい国の将来や国民のことを考えつつ、周りの信頼できる小さな国々と協力しながら大きな国と戦っています。」
古田「今回アンヌという人間が持っている平等性が、裏目に出ちゃうんだよね。あらゆる人たちにチャンスを与えようとする性格が逆の結果に出てしまい、大変なことになる。」
天海「アンヌは結局、それまでの(海賊としての)生き方を変えて、国を治めるという立場になったのですが、国の人たちのため国益のためにという考え方や、“私を頼ってきた人は誰でも助けるよ”という博愛のところで足をすくわれます。」
――神尾さんの役は、12年前に浦井健治さんが演じられたボスコーニュ公国の国王シャルル一世の弟、ラウル・ド・ボスコーニュですね。
神尾「シャルルと真逆のキャラクターというか、明るくて何事も恐れずにやる長男の陰に隠れていた次男、というような内気なタイプです。」
天海「堅実なんですよね。「世界中、僕のことが好き!」というお兄さんに比べて、「大丈夫か?」と常に思っている。」
神尾「そうですね、現実主義というか。僕も最初、シャルルのようなお芝居がくるのかと思ったんですけど、そういうシーンはあんまりなくて……。」
天海「後半に「ちょっと似ているのかも」というのを出せば!?」
神尾「出すチャンスありますかね?(笑)」
古田「(笑)」
――歌はどうですか?
神尾「歌は2曲、稽古をしましたが、今のところ僕のパートはそんなにないです。」
――では最後に大阪公演に向けて意気込みをお願いします。
古田「最初に勧善懲悪の分かりやすい話と言いましたけど、実はヨーロッパの情勢を鑑みたり、日本の政治のことを考えたりすると深読みもできる話になってます。まあ、分かりやすい話なんですけどね。コロナの感染者数が増えてきてますが、我々も十分気を付けて稽古して、しょうもない話を持ってくるので、ぜひみなさんお越しください。」
天海「こういう状況だからこそ楽しいものを体験したいという思いはみなさん一緒ですよね。私たちも万全の準備をして大阪公演に臨みます。12年ぶりにアンヌと五右衛門が戻ってきますし、フレッシュな面々も揃っているので、ぜひ楽しんでいただけたらと思います。」
神尾「この作品自体すごいパワーがあって、最後はスカッとなり、確実にエネルギーをもらえると思うので、ぜひそのエネルギーを受け取ってもらえたら嬉しいです。」
取材・文=小野寺亜紀
PHOTO=ハヤシマコ
ヘアメイク=[天海]林智子 [神尾]内藤歩
スタイリスト=[天海]えなみ眞理子 [神尾]杉本学子(WHITNEY)
衣装協力=
[天海]ドレス→divka
問い合わせ先→03-5468-2118
イヤリング→Donatella Pellini
問い合わせ先03-3274-8248
バングル→Pellini
問い合わせ先03-3274-8248
■作:中島かずき
■作詞:森 雪之丞
■音楽:岡崎 司
■振付・ステージング:川崎 悦子
■演出:いのうえひでのり
■出演:
古田新太 天海祐希 /
石田ニコル 神尾楓珠 /
高田聖子 粟根まこと 森奈みはる 早乙女友貴 西垣 匠 /
生瀬勝久
右近健一 河野まさと 逆木圭一郎 村木よし子 インディ高橋 山本カナコ
磯野慎吾 吉田メタル 中谷さとみ 保坂エマ
村木 仁 川原正嗣 武田浩二 冠 徹弥 教祖イコマノリユキ
藤家 剛 川島弘之 菊地雄人 あきつ来野良 藤田修平 北川裕貴 紀國谷亮輔 下島一成 米花剛史 駒田圭佑 前原雅樹 津曲希昌 上田亜希子 森 加織 島田風香 髙橋優香
【Musicians】岡崎 司(Guitars) 松﨑雄一(Keyboards) 髙井 寿(Guitars) 大桃俊樹(Bass) 松田 翔(Drums)
|日時|2022/10/05(水)~2022/10/20(木)≪全17回≫
|会場|フェスティバルホール
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