2022/10/5
公演レポ
体の芯にまで響くような生バンドのロックに乗せ、貫禄に満ちた天下の大泥棒・石川五右衛門役の古田新太と、ダイナミックな華のある海賊女王・アンヌ役の天海祐希が登場! 二人が背中合わせでポーズを決めると、前作『薔薇とサムライ~GoemonRock OverDrive』から12年という月日の長さが吹っ飛ぶ。待ちに待った続編に、圧倒的な存在感を放って並ぶ主演のふたり。絆はより強固に、最強コンビが復活した。
本作は劇団☆新感線(以下、新感線)の4年ぶりとなる“音モノ”Rシリーズで、中島かずきが書き下ろす『五右衛門ロック』シリーズのスピンオフ作品。9月9日に富山で開幕し、新潟公演を経て、新感線の地元・大阪のフェスティバルホールで10月5日にスタートした。前作で海賊アンヌは五右衛門の協力を得てコルドニア王国の女王になったが、本作はその10数年後、17世紀初めのヨーロッパが舞台。アンヌが統治する小国の近辺では政治不安が続き、特にソルバニアノッソ王国の女王、マリア(高田聖子)は隣国を強引に併合するなど傲慢で、アンヌと対立する。一方、五右衛門は料理人の顔を持つボルマン(生瀬勝久)の策にはまり、身動きを封じられてしまう。さらに驚愕のピンチがアンヌに訪れて――。
舞台後方上部ではバンドメンバー5人が演奏し、クセの強いキャラクターたちの歌やダンス、迫力ある殺陣との一体感が感じられ痛快。巨大な船や大海原、華やかな宮殿、トロピカルな島などが、盆を駆使したスピーディな転換で次々と現出し、臨場感あふれるLEDパネルの映像でもさまざまな笑いを誘う。さらにいくつもの光が交錯し、目と耳と心に明るい灯を強烈にともしてくれる。
その中でも、本作の主軸となっているアンヌの生き様が観客に勇気を与える。国民のために尽くし、才能ある人にはチャンスを与えようとする心意気。若い世代を見つめる温かな目線が、天海祐希の懐の深さと合致し、舞台上はもちろん客席にまで「ついていこう!」と奮い立つ空気が流れる。また今回も、神々しい白のドレス姿などそのオーラに釘付けとなる七変化を披露。演出のいのうえひでのりが熱望したというシーンは、想像の上をゆく格好良さでしびれる。
頭が切れる陰のヒーロー的な存在で、アンヌを支える用心棒の五右衛門は、新感線の看板役者・古田新太。やはり彼が見得をきり、大暴れしている姿は最高にスカッとする。変幻自在、神出鬼没。いかつい風貌なのに、女性に「助かった命、無駄にするなよ」とさり気なく言う五右衛門が心憎い。今回はソロナンバーまであり、ある極意を余裕の熱唱で聴かせる姿も必見だ。
新感線の舞台に初参加となる石田ニコル、神尾楓珠、西垣匠は激しい立ち回りを身軽にこなし、それぞれが物語の中で成長していく姿が頼もしい。アンヌに才覚を見込まれた王女ロザリオを演じる石田は、本格ミュージカルにも出演している圧巻の歌声と男勝りな演技で確かな説得力。麗しい宮廷服を見事に着こなすラウル役の神尾は、兄・シャルルへの思いや葛藤をシリアスに見せたかと思えば、オモシロ芝居もこなす振り幅に驚かされる。ちょっと頼りない騎士のベルナルドを演じる西垣は、ロザリオへほのかな恋心も見える役作りで目が離せず、殺陣では長いフェンシング歴を裏付ける美しい構えなどにハッとさせられる。
ドーナツを手に妙な動きで歌い出すボルマン宰相の生瀬勝久は、新感線に2回目の出演だがなんの違和感もない。古田との台詞の掛け合いは、どのボールもスパッとストライクゾーンに入るような心地よさ。裏ボス的な存在感で物語を盛り上げる。陰謀を企む大ボスと言えるのが、紫の蛇がからまったような魔女的衣装を着こなし、高笑いを見せるマリア・グランデ女王の高田聖子。“怖い”と“面白い”が詰まったキャラクターを演じられる稀有な表現力が、ますますパワーアップしていた! そのマリアの内気な息子、マクシミリアン王子の早乙女友貴は金髪ヘアをフワフワさせながら、「ゴエモンLOVE」と飛び跳ねる。やんちゃな弾けっぷりと、斬新な設定で見せる鮮やかな殺陣との対比に驚嘆。
また前作と同じエリザベッタ役の森奈みはるは、アンヌの教育係から出世したものの、やはりハイテンションに言葉をまくしたてては、たしなめられる。美声でアンヌとデュエットする場面など感涙ものだろう。医者や科学者の肩書をもつケッペル役の粟根まことや、マクシミリアンに母のような愛情をそそぐアーヤ役の村木よし子など、劇団員の安定した活躍と立ち位置が、まさにこの物語をがっちり支えている。
生バンドでの臨場感がたまらない本作では、セットリストが25曲もあり、台詞の多くが歌でつづられるミュージカル仕立てに。リプライズの構成など「あの曲が、その曲調でここに!」など、王道的な演出に目を見張る。世の中の争いを憂う歌詞(森雪之丞)など、今の時代に繋がる普遍的なメッセージもときに飛び出し、自然とパワーをもらえる。また、山本カナコ、冠徹弥、教祖イコマノリユキの3人が吟遊旅団として登場し、ボルテージをマックスにさせる歌声で物語を運んでいくのも新鮮だ。最後は縦ノリで拳を突き上げ、“薔薇サム”復活を祝いたくなる至福のカーテンコールが待っている。万歳!
取材・文:小野寺亜紀
撮影(富山公演):田中亜紀
■作:中島かずき
■作詞:森 雪之丞
■音楽:岡崎 司
■振付・ステージング:川崎 悦子
■演出:いのうえひでのり
■出演:
古田新太 天海祐希 /
石田ニコル 神尾楓珠 /
高田聖子 粟根まこと 森奈みはる 早乙女友貴 西垣 匠 /
生瀬勝久
右近健一 河野まさと 逆木圭一郎 村木よし子 インディ高橋 山本カナコ
磯野慎吾 吉田メタル 中谷さとみ 保坂エマ
村木 仁 川原正嗣 武田浩二 冠 徹弥 教祖イコマノリユキ
藤家 剛 川島弘之 菊地雄人 あきつ来野良 藤田修平 北川裕貴 紀國谷亮輔 下島一成 米花剛史 駒田圭佑 前原雅樹 津曲希昌 上田亜希子 森 加織 島田風香 髙橋優香
【Musicians】岡崎 司(Guitars) 松﨑雄一(Keyboards) 髙井 寿(Guitars) 大桃俊樹(Bass) 松田 翔(Drums)
|日時|2022/10/05(水)~2022/10/20(木)≪全17回≫
|会場|フェスティバルホール
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『薔薇とサムライ2ー海賊女王の帰還ー』【大阪公演】当日券受付の詳細です。
下記方法にて実施いたします。
当日券の販売につきまして、購入希望のお客様は、先に【①当日引換受付ページ】をご覧いただき、当日引換の予定枚数が終了の場合は【②キャンセル待ち受付】をご利用ください。
【③当日券窓口での直接販売】希望の場合は、キャンセル待ち受付の後ろにお並びいただきます。
※座席位置の指定はお断りしております。
※未就学児入場不可。
※営利目的の転売禁止。
※公演中止以外での払い戻しはいたしません。あらかじめご了承ください。
■①当日引換受付について
【販売期間】各公演前日の正午12:00~各公演の3時間前まで(※先着販売/無くなり次第販売終了)
【当日引換券受付ページ】https://w.pia.jp/t/barasamu2/
【枚数制限】お1人様2枚まで(各回ごと)
【席種】S席15,800円(税込)
【引換方法】
公演当日、開演の1時間前より、受付にて当日引換券と座席指定券とお引換えいただきます。お座席はお選びいただけませんので予めご了承ください。
【注意事項】
※支払方法はクレジットカードのみとなります。
※当日引換受付は、ご本人のみ有効となります。当日引換券の譲渡・転売は禁止です。
■②キャンセル待ち受付について
【受付期間】各公演前日の14:00~各公演の3時間前まで(※先着受付/上限に達し次第受付終了)
【キャンセル待ち受付ページ】http://cncn.jp/barasamu2-c/
【枚数制限】お1人様1枚まで(各回ごと)
【キャンセル待ちとは】
キャンセル待ちのお客様には、お席がご用意できた場合のみご案内となります。
チケットの購入を保証するものではございません。予めご了承の上、お申込みくださいますようお願い申し上げます。
【注意事項】
※整理番号でのご案内となります。
※キャンセル待ちの整理番号は、ご本人のみ有効となります。
※キャンセル待ちの整理番号をお持ちのお客様は、公演当日の開演30分前から15分前の間までにお集まりください。時間を過ぎてご来場された場合、ご案内順は無効となります。その場合、キャンセル待ちの最後尾にお並びいただくこととなります。
※整理番号順にお並びいただき、お席のご用意ができた場合のみチケットをご購入いただけます。お席のご用意ができた場合、席種・お座席はお選びいただけません。
※お座席へのご案内が開演直前となる可能性がございます。
※お支払いは現金のみで、クレジットカードはご利用いただけません。
■③当日券窓口での直接販売について
公演当日、キャンセル待ちのお客様の後ろにお並びいただきます。お座席へのご案内が開演直前となる可能性がございます。予めご了承ください。
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