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『パンドラの鐘』出演の成田凌×葵わかな、演出の杉原邦生が語る。

2022/5/13

取材レポ

COCOON PRODUCTION 2022 NINAGAWA MEMORIAL 『パンドラの鐘』

蜷川幸雄と野田秀樹が、野田の描き下ろした新作を、キャスト・演出を変えて同時期に上演する──このあまりにも大胆な試みで、1999年の初演時に一大センセーションを巻き起こした『パンドラの鐘』。その公演スタイルだけでなく、1つの鐘を通して、日本の禁断の歴史と純粋な愛を浮き彫りにした戯曲も、高く評価された。その傑作が、NHKの朝の連続テレビ小説『わろてんか』(2017年)で親子を演じた2人──これが舞台初出演となる成田凌と、ミュージカルを中心に数々の舞台を踏んできた葵わかなによって上演される。演出は、蜷川幸雄の祝祭性を受け継いだ演出スタイルで、スーパー歌舞伎Ⅱ『新板 オグリ』などを手掛けている新鋭・杉原邦生が担当。現在絶賛稽古中の、成田と葵と杉原の取材会が行われた。

久々の共演に対して「(ドラマ撮影中は)ずっと『お母ちゃん』と呼んでましたね(笑)。葵さんは当時から、すでに成熟してバランスの取れた人間でした。柔軟で無邪気な所もあるけど、確固たるものも確実にある」(成田)「前回の役を引っ張ることは意外となかったけど、一緒の作品に出ていた信頼みたいなものは、すごく感じていました。成田さんはクールそうに見えるけど、実はすごく熱い人。ただテンポ感が独特なので(笑)、不思議な人という感じもあります」(葵)と、当時からずっと続いていた信頼関係と、お互いの印象を語った。

成田いわく「柔らかいけどしっかりしている。すごく良いベッドみたい」な演出をするという杉原は、2人について「成田君は『何でも吸収しよう』『何でも来い』みたいな、すごく自由でオープンなマインドを持っている人。葵さんはすごく真面目で、しっかり意見を持っているけど、自分が作ったものを自分で壊すことができる。お二人とも演劇を作るのに向いていて、何も心配することがないですね。このまま一緒に作業をすれば、絶対にいいミズヲとヒメ女になってくれる信頼があります」と自信を見せた。

現代の遺跡発掘現場から、一本の釘が発見される。
遺跡の謎を探る考古学者&助手のドタバタや、 発掘の裏にある陰謀の物語と並行して、古代王国の女王・ヒメ女( 葵)と、彼女に命を助けられた葬儀屋・ミズヲ(成田) の話が描かれていき、やがて2つの時代の物語と登場人物たちは、 時空を超えて融合していく。 古代の異国の地でミズヲが発見した大鐘とその鐘が閉じ込めた、 ヒメ女とミズヲの悲しくも気高い決断が明らかになる……。

この作品について、成田は「ミズヲは(99年初演は)勝村(政信)さんや堤(真一)さんが演じられて、映像で見てもすごいエネルギーがありました。すご過ぎてちょっと打ちひしがれたんですが、それだけだと一緒にやってる人たちに失礼なので、お二人とはまた違う自分のエネルギーを発信できたらと思っています」、葵は「冒頭はすごくポップなテイストで進むけど、すごく深いテーマも抱えている作品です。言葉遊びがたくさんあるけど、本当に大事なことだけは言葉で説明しないで、作品の流れとして見せる。それが緻密で巧妙だし、優しいなあとも思います」と、自分の役や物語の印象を語る。

また杉原は演出プランとして、ビジュアル面でも「古代と現代の融合」を目指すそう。「99年に上演したものを映像で拝見した時に、歌舞伎の『京鹿子娘道成寺』のイメージがパッと湧いたので、そのファーストインプレッションを大事にしたい。また野田さんの世界って、いろんなイメージが乱反射して、次第に一つの物語に集約するので、それを空間やビジュアル的にも体現しようと思います。そして野田さんが、この作品で伝えようとした『希望』というメッセージを、未来にどうやってつないでいけるのか? ということも考えたいです」と構想を明かした。

現在稽古は「ひとまず僕の完成図、イメージを共有するため」(杉原)かなりハイスピードで進行中。「何回でも、何をやってもいいということを先輩方が示してくださっていますよね。でも毎日すごく濃厚で、新たに知ることばかりなので、頭がパンクしそう(笑)」(葵)「みんなで『これはどういう意味か?』と突き詰めていく時間が、すごく楽しい。ずっと舞台を経験したかったけど、今本当に『これがやりたかったんだ!』と思ってます」(成田)と、意欲と楽しさにあふれた稽古場であることが、伝わってくるコメントを寄せてくれた。

23年前の戯曲ながら、今現在TVから繰り返し流れてくる報道とも、悲しいぐらいにリンクしたテーマもはらんでいる『パンドラの鐘』。この時代に、フレッシュな演出とキャストによって上演されることに、運命的なものすら感じるこの舞台に向けて、3人はこのようなメッセージを送ってくれた。

「やっぱり演劇って、観て華やかで楽しいものであってほしいと僕は思っているので、そこを第一に考えて、作っている最中です。今の社会状況の中では、ライブを観に行くこと自体、腰を上げるのが重くなっているかもしれません。それでも『観てよかった』と思えるものを作ることが、僕らの使命だと感じていますので、ぜひ生のエンターテインメントを体験しに来ていただきたいと思います」(杉原)

「本当に良い作品は、時代を超えて現代とリンクする所があるけれど、それはすごく悲しいことかもしれません。でもエンターテインメントの持つパワーが、またこの時代に作用して、今を生きている方たちに何かを届ける。そういう力を持っている作品だと信じているし、楽しんでいただけるようにがんばりたいと思います」(葵)

「すごく楽しい言葉遊びがあるけど、すごく壮大で難しいことも描いていて、どれだけ自分たちが深くそれを掘っていって、エンターテインメントにできるかですね。主要キャスト以外の、ダンサーの皆さんの動きもすごく魅力的で、視覚的にも見ごたえがある舞台になると思うので、本当に楽しみにしていただきたいです」(成田)

撮影:宮川舞子

COCOON PRODUCTION 2022 
NINAGAWA MEMORIAL 
『パンドラの鐘』

作:野田秀樹
演出:杉原邦生
出演 :成田凌 葵わかな
前田敦子 玉置玲央 大鶴佐助
森田真和 亀島一徳 山口航太 武居卓
内海正考 王下貴司 久保田舞 倉元奎哉 米田沙織 涌田悠
柄本時生 片岡亀蔵 南果歩 白石加代子

【大阪公演】
公演期間:2022年7月2日(土)~5日(火) 全5回公演
会場 森ノ宮ピロティホール

>>公演詳細

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