2022/4/1
その他
今夏の話題作として注目を浴びる「パンドラの鐘」。
今回は主演のお二人の意気込みを新たなビジュアル写真と共に掲載 、そして作者 野田秀樹、演出家 杉原邦生、ビジュアル撮影を担当した写真家 蜷川実花が作品への想いを語る。
主演を務めるのは、TVドラマや映画でめざましい活躍を見せる成田凌と、朝ドラヒロインから近年では多くの舞台に出演し、存在感ある演技を見せる葵わかなだ。
そして成田にとっては、今作が舞台初出演となる。スクリーンを飛び出し、舞台上でどのような好演をみせてくれるかに期待が高まる 。
また、今から23年前に野田秀樹が蜷川幸雄の指名によって書き下ろした日本のタブーへも挑む戯曲を蜷川の影響を受け、シェイクスピアや歌舞伎など様々な演出を手がける気鋭の若手演出家 杉原邦生によってどのように蘇らせられるかも注目すべき楽しみのひとつである。
物語は太平洋戦争開戦前夜の長崎から始まっていく。出会うはずのない成田演じる葬儀屋の“ミズヲ”と、葵わかな演じる古代王国の女王“ヒメ女” はある出来事をきっかけに急接近する。そして二人は“賭け“をする…。
脇を固めるのは前田敦子、柄本時生、南果歩、 白石加代子など確かな演技力を持つ豪華俳優陣の面々。
大阪公演は、森ノ宮ピロティホールにて5公演のみ。
ぜひご期待ください。
※3/27(日)~4/10(日)23:59まで公演ページにて 主催者先行実施中。
20年前から様々な方々が演出され、演じられてきたこの『パンドラの鐘』、“ミズヲ“を演じさせていただきます。自分自身、初めて舞台に立たせていただきますが、気の知れた方や信頼できる方、大先輩方に支えられながらしっかりとミズヲを演じられたらと思います。葵わかなさんは前回お母さんだったのでまた違うお芝居ができるのをたのしみにしています。迫力のあるものをお見せ出来ますよう、頑張ります。
脚本を初めて読ませていただいた時の気持ちが、今も強く残っています。不思議で突拍子もなくて、巧妙で、切なくて…色々な気持ちが浮かびすぎて、なんて言葉で表したらいいのかわからないくらいなのですが、それを表現する立場に加われることがとても嬉しいです。成田凌さんとは親子という間柄を演じて以来の共演なので、不思議な気持ちもあるのですが、とても心強いです。この作品ではどんな関係性をお見せできるのかとても楽しみです。演出の杉原邦生さんをはじめとする座組の皆さんとご一緒させていただけることに、とてもワクワクしています!精一杯頑張りたいです。
蜷川幸雄は、20も年下の私を、人前では必ず「野田さん」と呼んでくれた。それは蜷川さんの律儀な「他の演劇人」へのリスペクトの表れだった。ただ、話し込んでいくといつの間にか「野田、お前さあ」に変わっていった。私は、律儀なリスペクトが親愛の情に変わるその瞬間が好きだった。
あの日もそうだった。
「野田さん」で始まった対談が終わる寸前、「野田さあ、お前、俺になんか書けよ」になっていた。私は「蜷川さん、有難い話だけれど、自分の芝居を書くのに精一杯ですよ」そう答えながら、ふと突拍子もなく図々しいことを思いついた。「でも蜷川さん、これから僕が自分で演出するために書く芝居を、蜷川さんも演出してくれるんだったら、書きますよ」当然、「バカ、ふざけんな!」という答えが返って来るとニヤついていたら
「いいよ、それでも」という真顔の返事だった。私は驚きと半信半疑で「え?でも、それは僕だけが得しますよ」私は、どう考えても蜷川さんに失礼この上ない事を言ってしまったと思い直した。けれども蜷川さんは「そのくらいのことをしなけりゃ、硬直した演劇界は面白くならねえんだよ」「いや、でも…」「大丈夫だよ、それで。俺の方がいい演出してやるから」「ほんとに?」「ほんとだよ、バカ!」…ほんとなんだ、本気なんだ。しまったこれはもしかしたら、大変な約束をしてしまったかもしれない。臆した時にはもう遅い。話は決まってしまった。
こうして私は蜷川幸雄を意識しながら懸命に芝居を書いた。そして「パンドラの鐘」という作品が世に生まれた。
あの日、私は蜷川幸雄に演劇人としての懐の深さと演出家としての芯の勁さを感じとった。
蜷川さんのその深さと勁さがなければ、この「パンドラの鐘」は生まれなかっただろう。
その深さと勁さを、この度は、若くして才ある演出家杉原邦生さんに委ねる。杉原さんもこれだけ言われるとプレッシャーを感じるだろうが、大丈夫、白石加代子を始めとした、海千山千の「深く」「勁い」役者ばかりだ、好き放題にやっていただきたい。
バトンは渡された。
僕たちが生きるこの世界から争いが消えることはない―――そんなかなしい確信を抱かざるを得ない現実を目の当たりにする日々の中で、野田秀樹さんがこの戯曲に託した〈希望〉の意味を改めて噛み締めています。そして、このシアターコクーンで生前数々の名作を生み出した蜷川幸雄さんの七回忌を迎える本年、「NINAGAWA MEMORIAL」と冠した公演で演出を託されることの重責を強く感じています。それと同時に、二人の偉大な演劇人のレガシーを僕たちが繋いでいけることの〈希望〉に、これまでにない大きな興奮をおぼえています。
成田凌さん、葵わかなさんというフレッシュなお二人をはじめとする魅力的すぎるキャスト陣に加え、異種混合で多彩なスタッフの皆さんとともに、パンドラの鐘の中に残された人類の〈希望〉を、その鐘の音に乗せ、古代から現代、そして遠く未来へと響かせたい。それが僕の願いです。
撮影 細野晋司
父が亡くなって6年経っても、こうして「NINAGAWA MEMORIAL」と題して公演をしてくださること、ありがたく思っています。
そして、その公演にビジュアル撮影という形で参加することができて、とても嬉しいです。本当にありがとうございます。1999年の公演も両パターン観ているので、今回はどんなことになるのか楽しみです。
【公演概要】
COCOON PRODUCTION 2022
NINAGAWA MEMORIAL
『パンドラの鐘』
作:野田秀樹
演出:杉原邦生
出演 :成田凌 葵わかな
前田敦子 玉置玲央 大鶴佐助
森田真和 亀島一徳 山口航太 武居卓
内海正考 王下貴司 久保田舞 倉元奎哉 米田沙織 涌田悠
柄本時生 片岡亀蔵 南果歩 白石加代子
【大阪公演】
公演期間 2022年7月2日(土)~5日(火) 全5回公演
会場 森ノ宮ピロティホール
公演詳細はコチラ