2021/11/2
公演レポ
『王と花魁』は、古今東西のエンタテイメントをワハハ流にアレンジして詰め込んだ、歌とダンスと笑いのレビューショー。WAHAHAの文字があしらわれた緞帳が開くと、オールキャストによる弾けるような賑やかなダンスで、一気に盛り上げる。
飛沫感染防止のため、本公演では出演者が舞台から客席に降りて提供する、ワハハお馴染みの濃密で濃厚な“おもてなし”は徹底して封印。オープニングで久本が「今回はお客さんとのやり取りができない」と残念がると、柴田も「皆で猿になって、客席のお客さんのカバンをのぞいたり、頭をなでまわしたりもできません」と寂し気な表情をみせた。しかし、次の瞬間には2人とも笑顔と元気いっぱい。お客様を前に生の舞台に立てる感謝を述べ、「皆さまに喜んでいただけるよう、一座でがんばっております。最後まで楽しんでください!」と呼びかけ、これに答えるように客席から拍手が送られた。
鼻から豆を飛ばすことでおなじみの歌姫・梅垣義明は、豆を飛ばせない今、ただの歌姫になってしまうのか!?そんな心配をよそに、巨大な○○○に包まれ笑いを誘い、美声を響かせた。佐藤正宏、すずまさ、大久保ノブオたちが語尾を“ありんす”に花魁姿でジャズのネタ合戦を繰り広げ、宝塚のコスチュームの女性団員はズンドコ節でフランス革命を歌い上げる。
久本と柴田の応援団は、新たなアイデアで「お客さんとのやり取り」を実現。自身に、お客様に、爆笑のエールを送る。柴田の一人芝居は、1本の映画を観たような舞台愛と情感に溢れるドラマをみせた。久本は漫談で、自虐も下ネタも力技でキラキラに輝かせ、客席を自由自在に盛り上げる。コンテンポラリーダンスによるワハハ流のオリンピックや、伝説のボディスーツによるジャズダンスなど、バカバカしさてんこ盛りのネタからスタイリッシュなステージまで、バラエティに富んだ構成となった。
そして後半の『歌舞伎ミュージカル』。歌舞伎の名場面、『白浪五人男』から始まるが、いつの間にか往年のミュージカルナンバーに。馬にまたがった楠木正成がロバにまたがるあのレジェンド俳優のミュージカルになり、弁慶があのミュージカル曲で六方をふみ、新選組が大ヒットミュージカルのフォーメーションで踊る。おバカな笑いとパロディの楽しさがあり、立廻りもダンスあり、劇団の底力が試されるステージ。見どころにつぐ見どころに、幾度も拍手が起こった。
ショーの終盤には、喰始のオファーに答えて泉谷しげるが書き下ろした楽曲「風の時代」に、会場のお客様の思いが重なるスペシャルな映像も披露された。エンディングで全員が揃うと、いま再び、ステージはエネルギーに溢れる。ソウルフルな音楽をバックに、座長・大久保を始め座員からこの舞台に込める熱い思いが語られ、お客様の拍手に包まれる中、終演を迎えた。
愛知、大阪、兵庫ほか全国を巡演予定。
2021『王と花魁』©ワハハ本舗
WAHAHA本舗全体公演「王と花魁」
■構成・演出
喰 始
■出演
柴田理恵、久本雅美、佐藤正宏、梅垣義明、すずまさ、大久保ノブオ、タマ伸也、トニー淳、正源敬三、我善導、清水ひとみ、兵頭有紀、大窪みこえ、星川桂、矢原加奈子、犬吠埼にゃん、鈴木千琴、石原奈津美、コースケ☆原澄人、村本准也、噛家坊、哀原友則、吉川元祥、三宅潤、観月ゆうじ、杉田のぞみ、新美たま希
【堺公演】
2021/11/13(土)18:00
フェニーチェ堺 大ホール
https://kyodo-osaka.co.jp/search/detail/2605
【神戸公演】
2021/11/14(日)18:00
神戸国際会館こくさいホール
https://kyodo-osaka.co.jp/search/detail/2604
【大阪公演】
2021/12/03(金)~2021/12/05(日)≪全3回≫
COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール
https://kyodo-osaka.co.jp/search/detail/3282