2020/1/20
インタビュー
―――アルバムの収録曲「雷-IKAZUCHI-」は、ヲタ芸のグループGinyuforcEと共演し三味線の速さが吉田兄弟史上最速だそうですね。
健一「あの振りにはこのフレーズと作ったら、そうなりました(笑)」
良一郎「彼らの技がすごいんですよ」
健一「手に持つペンライトが1分過ぎると、光が段々と落ちてくるそうです。踊りの中で新しいペンライトを取って、膝であてて、また光らせるという技があるらしくて(笑)。ものすごい体力を使うからダンスとして成立するのは1分半が限界らしいです。アニソンで有名なTom-H@ckさんとの共作で電子音と融合した作品になりました」
―――三味線とアニソンが合うなんて意外でした。
健一「来年7月に全世界同時公開の日本のアニメ『ジビエート』のオープニングテーマも僕らが手掛けました。『ジビエート』はアニメだけではなく、日本のクリエイターが和をテーマに集結したプロジェクトなんです」
良一郎「世界に勝負をかけようと。日本から海外へ」
健一「吉田兄弟はポップスラインで皆さんに分かりやすく伝えてきた。20周年を迎え日本国内のコンテンツとつながり、それをどう世界に広げていくかだと思っています」
良一郎「この20年で、色んな奏者がコラボすればうまくいくというのは見えてきたと思います」
―――オーケストラと共演した『ファビア・サントコフスキー:2つの三味線のための協奏曲』は、津軽三味線のために書かれた世界初の協奏曲です。
健一「カタルーニャ人が作曲した現代音楽。自然の中を津軽三味線が旅する物語で、楽器が蝉役とか風役で、ツクツクツク、シャシャシャーみたいな感じ(笑)。即興も入るのでお客さんの前で演奏中、ロストすると帰って来られない。指揮を信じるしかなくて、僕らにとっては近年にないぐらい…」
良一郎・健一「難しかった!」
良一郎「指揮の大野和士さんは初日は分かりやすく指揮してくださったんですが、翌日は乗ってきて、どこが指揮だか分からなくなって(笑)」
健一「譜面で約束したところにマエストロと書いてあるのに、こない(笑)。国営放送も入り、冷や汗もので、とにかく演奏が無事に終われば正解(笑)」
―――永遠に演奏しても誰にも分からないですね(笑)。
健一「分かりません(笑)。今後、オーケストラとフラメンコギターと三味線の協奏曲を作ろうという話もあり、新たな夢ですね」
―――「津軽じょんがら節」は、新録音です。
健一「津軽三味線の全国大会で、皆さんよくやる曲ですが、作曲は自分でするんです」
良一郎「決まった曲はないんですよ」
健一「その人を表すのがじょんがら節で、盛り上げ方や波をどうするかがテーマ。僕らも小学生のころから始めて、年代を追うごとに全然違うんですよ。だから新録音に意味がある。20年経て感じたものが出るので、ライブでは毎回、違います」
―――2016年の動画を拝見しましたが、正座して聴く雰囲気です。
健一「どこで息したらいいか分からないとよく言われます(笑)」
―――お二人が弾いているときはライバルなのですか。
健一「あの曲にかんしてはそうですね。二人で全国大会(笑)」
良一郎「どっちが拍手を多くもらうか(笑)。本当にそういう曲なんです」
―――良一郎さんは笑顔で弾き、健一さんはシリアスです。
健一「僕は笑わないけど、口は開いています(笑)」
良一郎「あの曲は荒波や吹雪みたいなイメージがあると思いますが、僕たちはそんな中で育っていないので、楽しんで自然に演奏したい。それが表情に出るんでしょうね」
―――ほかの曲でもライバルですか?
健一「ライバルと思うと合わなくなるので、共存するようにしています(笑)」
良一郎「アッハッハッ」
健一「作曲者がどちらかにもよるんです。片方がメインで、片方がベースラインで合いの手を入れるような感じ。でも、じょんがら節で雰囲気が一気に変わる。聴きやすさのもとに、僕らが津軽三味線の引き出しを開けていく作業をしていますが、最後にいきつくのはこの曲。僕らの芯や幹ですね」
良一郎「お客さんもそれを求めていると思いますし、僕らも弾きたい」
―――コンサートが楽しみです。
健一「ギターや太鼓などの約10人編成で、代表曲もやりつつ、未来につながるものにします。オリンピックの年に、日本人としてのアイデンティティーを感じるようなコンサートにしたいですね」
良一郎「ぜひ、会場に来てください!」
TEXT:米満ゆうこ
★LIVE INFORMATION
吉田兄弟 20周年記念コンサート
-The Yoshida Brothers-
2020/2/1(土) 17:30
2020/2/2(日) 14:30
NHK大阪ホール
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