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400年の歴史ある京都四条南座で
演劇最先端のイマーシブシアターを開催!

2019/12/19

取材レポ

イマーシブシアター サクラヒメ ~「桜姫東文章」より~

記者会見レポート
イマーシブシアター『サクラヒメ』~『桜姫東文章』より~
サクラヒメと結ばれるのは誰なのか――
決めるのは観客(あなた)です!

イマーシブシアターとは、ロンドンやニューヨークで超話題の没入型演劇のこと。日本でも、ダンスカンパニーDAZZLEやユニバーサル・スタジオ・ジャパンが数年前から挑戦し、大成功を収めている。舞台上の芝居を観客席から傍観するのではなく、演者と観客が同じ空間にいて、そこで同時多発的に行われるパフォーマンスを観客自らの意思で選んで見たり、時には物語の一部に入り込むという、よく言われる参加型演劇の中でも、とびきり最先端の演劇手法だ。

そんな作品を、日本最古の歴史を持ち、歌舞伎発祥の地に400年ある京都・南座で、上演する。最先端の演劇手法と、歴史的劇場の、驚くべきタッグ。日本におけるイマーシブシアターのパイオニア、DAZZLEが、脚本・演出・振付を手掛け、2020年1月24日(金)~2月4日(火)、イマーシブシアター『サクラヒメ』~『桜姫東文章』より~を上演する。

物語は、意に添わぬ縁談から逃れるため心中した一組の男女、その女が、サクラヒメという花魁に転生し、前世の記憶をたどりながら、運命の相手との再会を願うというもの。転生したサクラヒメが出会う男は5人。運命の人は、5人のうちの誰なのか。男たちに記憶はない。運命の男の記憶がよみがえるのは、雲上人が裁決するクライマックス――。つまり、5パターンの結末が用意されている。

 
記者会見に登壇したキャストは、サクラヒメ役の純矢ちとせ、陰陽師役の川原一馬、浪人役の荒木健太朗、義賊役の世界 (EXILE / FANTASTICS from EXILE TRIBE)、鳶役の平野泰新 (MAG!C☆PRINCE)、町医者役のToyotaka (Beat Buddy Boi)ら5人の男と、盗賊役の高田秀文 (DAZZLE)、雲上の導者役の新里宏太。

宝塚・宙組の娘役スターとして活躍し、2019年7月に退団したばかりの純矢は、本作が、退団後初の舞台となる。「幼少期から17年間日舞を習っておりますが、この作品でご披露できることをうれしく思います。お三味線にお唄、ダンスも、精一杯に務めます。5人の男性に思いを寄せてもらう幸せな役。毎回エンディングが違うということで、とても楽しみです」

純矢の言う「毎回エンディングが違う」は、本作における注目すべき仕掛けを指している。

1、2、3階に座席がある南座。1階は、南座独自の機構であるフルフラット化(約100名収容)となり、観客はスタンディングで間近に演者たちの芝居やパフォーマンスを見ることができる。観客自体が、都人(みやこびと)として物語の一部になるのだ。そして、2、3階の観客は、眼下で繰り広げられる物語全体を俯瞰する雲上人(うんじょうびと)であり、毎回、「誰がサクラヒメの運命の人か」を裁決(投票)する権限を持つ。

5人は「われこそは」と、特技と魅力を最大限にアピールしてくる。

陰陽師役の川原一馬は、「イマーシブシアターは初挑戦です。しかもクライマックスは2、3階のお客様次第。選んでいただけるよう全力でパフォーマンスします。1階のみならず、上階にも上がって得意のタップダンスで魅了したいと思います」。

浪人役の荒木健太朗は、殺陣が見どころ。「私見ですが、刀は武器であるけれど、日本の美しさですし、色気を感じます。海外の方が見に来られても、日本の美のアピールができるのではと思っています。間近にいるお客様に刀を抜くことはできませんが、「触ってみます?」と話しかけるかも(笑)」。また、「今年の4月、祇園の桜を見た後、南座に来て、ここの舞台に立ちたいと心で思いましたが、まさかこんなに早く実現するとは。願えば叶うんです!本作でも、僕しか選ばれない!と願いをかけています」。

義賊役の世界 (EXILE / FANTASTICS from EXILE TRIBE)は、「得意のヒップホップで猛アピールします。大きな会場と違い、僕らとお客様の間に垣根がまったくないイマーシブシアターですから、表情一つ、指先一つひとつ、隅々まで見ていただけるかと。上階にも行くチャンスがあると思いますが、チューチュートレイン♪……、そう演出もあるかもしれませんね(笑)」。

鳶役の平野泰新 (MAG!C☆PRINCE)は、これが初舞台。新体操出身で、驚異的な身体能力が持ち味。「新体操をやってきた僕にしかできないことをお見せしたい。縦横無尽のアクロバットが得意ですから、2、3階まで届くよう高く飛びます!」。

町医者役のToyotaka (Beat Buddy Boi)は、ストリートダンス歴16年。「そもそもストリートダンスに正面はないので、前にも後ろにも横にも上にも、全方向にアピールできます。町医者らしく繊細で、みなさんが毎日病院に行きたくなるダンスをします」。

めくるめく物語を、かく乱するのは、盗賊役の高田秀文(DAZZLE)。「イマーシブシアターの経験者として、稽古場でもみなさんを引っ張っていければ。サクラヒメの相手にエントリーされていませんが、選ばれるようにがんばります」。

一方、見守る雲上の導者役の新里宏太も、「間違いで選ばれるようにしたいです」と笑いを誘った後、「得意の歌唱を披露します。雲上の導者ですから、2、3階のお客様と一緒に過ごす時間が長いのでは?」と期待を語った。

記者会見では、「クライマックス(=運命の人)を観客が選ぶとはどういうことか?」の一端が経験できるデモンストレーションも行われた。当日これができるのは、2、3階の観客のみ。

フォトセッション用のポーズを、5人がそれぞれ考えてきている。それを一斉にやって見せ、集まった記者の投票により、「どのポーズがいいか?」を裁決。投票の仕方は、事前に配られた5人のテーマカラーの色紙から自分が投票する色を選び、上に掲げる。

さて、……選ばれたのは、世界 (EXILE / FANTASTICS from EXILE TRIBE)のポーズ!

右手の人差し指と親指を立て、あごに添えるポーズで、出演者8人のグループショットが決まった。選ばれた世界はちょっぴり照れ臭そう。

その日の観客の投票により、サクラヒメと結ばれる運命の人が決まる。

「あなたは、どの人とのエンディングが見たいか?」

観客自ら見るパフォーマンスを選ぶので、何度見ても違うものを見ることができる。

「今回はこっち、次回はあっち、その次は上階で。なんて懐が深い作品!」

日本で一番新しい演劇は、新しい年の幕開けにふさわしい。

日本の美、世界が驚く演出、そして卓越したパフォーマンスを、お見逃しなく。

 取材・文/丸古玲子

2020/01/24(金)~2020/02/04(火)<全26公演>
南座
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