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劇団☆新感線45周年は「忠臣蔵」。ネタもの、笑い満載のお祭りに

2025/9/4

取材レポ

2025年劇団☆新感線45周年興行・秋冬公演 チャンピオンまつり いのうえ歌舞伎 『爆烈忠臣蔵~桜吹雪THUNDERSTRUCK』

劇団☆新感線の誕生から45周年を祝い、2025年劇団☆新感線45周年興行・秋冬公演チャンピオンまつり いのうえ歌舞伎『爆烈忠臣蔵~桜吹雪THUNDERSTRUCK』を10月9日(木)~10月23日(木)フェスティバルホールにて上演する。大阪市内で開かれた取材会では、いのうえひでのりや看板俳優の古田新太をはじめ、何度も新感線の作品に出演してきた、今回客演の小池栄子、早乙女太一、向井理が勢ぞろい。和気あいあいで会場を笑いに包んだ取材会の模様をお届けする。

――まず、演者の皆さんの役どころを教えてください。

古田「闇歌舞伎という幕府に逆らってやっている歌舞伎の座長・弾兵衛役です。劇中劇があって、いろんな役をやるんですけど、全部自分に近づけようとしている人で、役の分けようがない。全部、弾兵衛じゃねえか、何役もやる必要はあるのか?と(笑)。まぁ、確かめに来てください」
小池「私はお破という猪突猛進型のとても活発な女の子の役です。山で橋本じゅんさん演じる親父さまに芝居とは何ぞやというのを教えてもらって育ち、江戸で花形役者になるんだと、いろんな人と関わりながら、最後、念願の『忠臣蔵』をやることができるのかという物語です」
早乙女「僕は江戸で芝居小屋をやっている一座の跡取り息子で、看板役者で女形の夜三郎という役です」
向井「僕は二役で真狩天外という劇団の座付作家と、それに相対する藤川采女という幕府の若年寄でいろんなエンターテインメントを押さえつける側の対極にある二役です」

――いのうえさん、座付作家の中島かずきさんが書き下ろした今作について教えてください。

いのうえ「芝居者たちが江戸幕府の弾圧にめげずに、『忠臣蔵』を上演しようとする熱い話なんですけど、古田が言うように、劇中劇のシーンが多くて、いのうえ歌舞伎と付いていますが、ネタものやお祭りもののテイストが感じられる作品です」

――古田さん、劇団員や元劇団員が31年ぶりに集結しますが、聞いた時はいかがでしたか。

古田「別段、何も感じない(一同笑)。羽野(晶紀)や(橋本)さとしにはしょっちゅう会ってるし。(橋本)じゅんさんとは久しぶりという感じですね。大阪芸大の学食にいるみたい」

――客演のお三方については?

古田「リーくん(向井)も太一も栄子もうちの劇団に出ている人たちだから、何の感慨もないですね(一同爆笑)。初めてうちの劇団に出る人がいたら、そいつを何とかしようという気持ちにもなるけど」

――小池さん、台本を読んだ時の感想は?

小池「めちゃめちゃ楽しいと思いましたよ。実際、今、稽古を重ねて、啖呵を切ったり、走り回ったり、殺陣やったりなので、体力をつけなきゃいけないなと。12歳~15歳ぐらいの本当に若い女の子の役なんですが、板の上では年齢はごまかせるので」
古田「栄子、いくつだっけ?」
小池「45歳です(笑)。鬼だよね、かずきさんと思いましたが、やりがいはあります」

――早乙女さんは女形の役ですが、意識されていることは?

早乙女「今回はセリフの言い方や振付もご指導していただいているので、それに沿ってできたらと思っています」

――向井さんは二役ですね。

向井「以前、新感線で出演した2つの作品も、急に豹変したり、狐に取りつかれたりする役だったので、今までとしては一番、役柄が少ない感じです。しかも対極にいて、言葉遣いも違うからやりやすいですね。ただ、座付作家の役はやったことがなくて、かずきさんの思いがすごく乗っかっているキャラクターだと思います」

――新感線の魅力や、出演されて印象に残っていることは?

小池「ステージを見ると大がかりなんですけど、現場は本当に手作り感満載で、部活に参加しているみたいに熱いんですよね。いのうえさんがお芝居上手なので、演じて見せてくれるのがすごく面白くて、『今日はこうしろと言われたけど、明日にはきっと変わるんだろうな(笑)』と思いながら」
いのうえ「ハハハハッ」
向井「劇団員のインディ高橋さんは、立ち回りして、いなくなったなと思ったら、小道具を作っている(笑)」
小池「何役もされているという」
早乙女「どんな人が見ても楽しめることがすごい魅力ですね。印象といえば、小池さんと初めて共演させてもらったのは13年ぐらい前の僕が19歳の時で、僕が思春期といいますが、ひねくれ小僧で…」
小池「目が合わなかったもんね。会話もない」
早乙女「はい。今回、はじめましてという気持ちです(笑)」
小池「部屋に籠ってたもんね」
早乙女「ただの引きこもり少年でした(笑)。改めて共演ができてうれしいです」
小池「こんなに笑うようになったんだというのが、うれしくて、うれしくて(笑)」
古田「ほんと、人付き合いヘタだったもんね(笑)」
小池「人って変わるんですね」

――今作で見どころのシーンは?

古田「アンサンブルかな(笑)。いろんな役をやるので、アクション、ダンス、コーラスもやらなきゃいけないし」
小池「私としては、久々にめちゃくちゃ熱いじゅんさんを稽古場で見ている感じですね。やれることをすべて出し切って、顔芸もありみたいな。轟天のファンだった方は喜べると思います」
古田「顔芸は栄子も負けてない!」
小池「じゅんさんに聞いて、それを真似て、親子なんだなというのを感じていただきたいと、参考にしています」
早乙女「じゅんさんの芝居を目の前で見ている、小池さんの顔を見るのがすごく好きです(一同笑)。コロッケさんを見ていると、顔が勝手に動いていく感じがあるじゃないですか。そんな感じなんですよ、小池さんが」
小池「意識しちゃう。恥ずかしいよ(笑)」
早乙女「だんだん顔がじゅんさんみたいになっていく。今の時点でもう親子です」
向井「小池さんが一番話を回す役なので、台風の目みたいに自分も動いて。長時間になると思いますが、それを感じさせないぐらいのスピード感になるはずです」
小池「古田さんの登場はカッコいいです。私がお客さんだったら、『待ってました!』になる」
古田「カッコよくはない」
いのうえ「ネタバレになるのであんまり言えないけど、お客さんは大喜びすると思います。このメンバーなんで、いろいろと寄り道はしますけど、話は普通に進むから、過去の作品を見ておかなきゃということはないです。ただ、『忠臣蔵』は見といてもらいたいな。『忠臣蔵』をやりたい人たちの話なので、知らないと何をしているか分かんないですよね(笑)」
古田「さとしも相変わらずバカだしね(笑)」
いのうえ「でも、頭のいい役だからね、説明セリフが多い」
小池「昨日も自分の名前、言えてなかったですよね(笑)」
いのうえ「あいつは稽古場のほうがもっと面白い」
小池「いない人のことを(笑)」

――古田さんのすごさはどのようなところから感じますか。

小池「いるだけで存在感があって、場面が締まる。この間、古田さんとアクションのシーンがあって、めっちゃ怖い (笑)。ちょっと、稽古つけてもらっただけなんですよ。でも、こんな目は見たことない、普通に暮らしてちゃいけないと思いました(一同笑)。狂気みたいなものをすごく感じる役者さんで、静かだけど炎が燃えている。それがバッと大きくなったり、小さくなったりと。勉強になってすごく面白いですね」
早乙女「過去に古田さんと刀を交えて対峙したシーンがあるんですけど、大きくなる、怪獣が現れた感じ。ただ立っているだけでズルいなと。何もしてないのに、ほんとに何もしてないんですよ(笑)。でも、色っぽさとかが全部含まれているんです」
向井「僕の中では昭和の俳優。良くも悪くも。なかなか今、めずらしいと思います。SNSなどが発達した時代で、昭和のまま生きていられるというのはすごいことだなと。アップデート、する気ないですもん(笑)。携帯もないし」

――逆にお三方のすごい所は?

古田「皆、フラットですね。うちはミュージカルの劇団みたいに、立ち位置とかをすごく細かくつけてからやるんですけど、この3人はちゃんとやれる。これが、「自分の気持ちが」とか言い出す俳優もいて、『知らんがな。お前の気持ちは』と(一同笑)。そこが、リーが言う、オイラの昭和なとこですね」
いのうえ「やりやすくて余計なことがないんですよ。そこを探るのが一番時間がかかるので。そこで、『自分の気持ちが。そこには行けないんです』と言われたらね(笑)」

――最後にメッセージをお願いします。

古田「ちょっと『忠臣蔵』を勉強しといたほうがいいかなぐらいで、お金は高いけど敷居は低いんで、普段、お芝居を見ない方でも楽しめる。ぜひ、見に来ていただきたいです」
小池「45周年ということで、思い入れのあるファンがたくさん見に来られると思うんですよね。その方たちにも納得していただけるように、絶対後悔させないように、日々、一生懸命稽古していますので、期待してください。頑張ります」
早乙女「45周年という記念すべき公演に、僕は本当に感動していて。貴重な奇跡のような舞台になると思うので、ぜひ、劇場で見ていただきたいです」
向井「『爆烈』と書かれている通り、爆発するような話で、歌も踊りも立ち回りも派手。新たに新感線が始まるんじゃないかなという舞台です」
いのうえ「いのうえ歌舞伎ではドラマチックな話が多かったりするんですが、以前、上演した『月影花之丞大逆転』のテイストなんで、そんな作品で45周年を迎えられるのが幸せです。ぜひ、その楽しさを感じていただきたいです」

取材・文:米満ゆう子
写真:西木義和

 

2025年劇団☆新感線45周年興行・秋冬公演
チャンピオンまつり いのうえ歌舞伎
『爆烈忠臣蔵~桜吹雪THUNDERSTRUCK』


■作
中島かずき
■演出
いのうえひでのり

■出演
古田新太 橋本じゅん 高田聖子 
粟根まこと 羽野晶紀 橋本さとし /
小池栄子 / 早乙女太一 / 向井 理

右近健一 河野まさと 逆木圭一郎 
村木よし子 インディ高橋
山本カナコ 礒野慎吾 吉田メタル 
中谷さとみ 保坂エマ
村木 仁 川原正嗣 武田浩二

藤家 剛 川島弘之 菊地雄人 あきつ来野良 
藤田修平 北川裕貴 寺田遼平 伊藤天馬
米花剛史 武市悠資 NaO 千葉恵佑 
山崎朱菜 松本未優 河野瑞貴 
井ノ口絹子 古見時夢

▶▶オフィシャルサイト




大阪公演

|日時|2025/10/09(木)~2025/10/23(木)≪全17回≫
|会場|フェスティバルホール
▶▶公演詳細

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