“僕らの夏が、あなたの夏になりますように”
「走り出したら止まらない」を合言葉に39年突き進んできたTHE CONVOYの最後の夏。

オリジナルメンバー全員が還暦を迎える2025年2月をONEDAYと定め、昨年夏にはLAST CONVOY SHOWとなる「ONE DAY～Last Run! Run!! Run!!!～」を上演した。そして2025年の今夏を“さよならの夏”とし、満を持して『THE CONVOY 祭 2025』を打ち上げる。

THE CONVOYは今村ねずみが立ち上げたスーパーエンターテインメントバラエティパフォーマンス集団。1986年から、今村自身が作・構成・演出を手掛け、“全員が主役で、全員が脇役”のノンストップステージを展開してきた。その独自のステージングは劇場を飛び出し、一流ホテル、コンサートホール、日本武道館へも進出。オリジナルメンバーに若手を加えた新体制でも新作を次々と生み出し、老若男女問わず幅広いファンを魅了し続けた。
経験と年齢を重ねてこそあふれ出るオリジナルメンバーの円熟した魅力と、そんな彼らに憧れ超えようと挑むフレッシュな若手たちのエネルギーが、ぶつかり、溶け合い、幾層にも重なる。これが、その時々のTHE CONVOYに触れた者をあっという間にとりこにしてきた理由だ。

彼らの情熱と秘密がたっぷり詰め込まれた『THE CONVOY 祭 2025』。
東京でのゲネプロをレポートする。

初日を明日に控えた最終リハーサルのゲネプロとしても、これがラスト・ゲネプロになると思うと感慨深い。
冒頭、強い意志ある楽曲から幕開けした。
15人のメンバーがいっせいに姿を見せ、まず思うのが、“とにかく全員スタイルが良い”だ。
21歳から67歳までが入り乱れ、同じ振り付けで疾走する。
タップダンス、ヒップホップ、ストリートダンスと、かっこいい踊りを容赦なく畳みかけ、フォーメーションも編成も自由自在。見ていて気持ちいいほど揃った動きと目を見張ったかと思えば、各人の個性も光り出してくる。
“次のスポットライトを浴びるのはだれだ？”と、スピーディな展開にこちらのボルテージもどんどん上がった。

前半はノンストップのダンス＆ソング。
全員の熱唱はもちろんのこと、今村、瀬下尚人、石坂勇、舘形比呂一、徳永邦治らオリジナルメンバーがソロでつないでいくバラード、若手とオリジナルメンバーによる唯一無二のハーモニーも聴きごたえたっぷり。

客席をノセるのも実に巧みで、メンバーのボディパーカッションに合わせてリズムを刻んでいると、あれよあれよのうちに自分も楽曲の一部になっていた。“参加型のライブ”とはよく聞くが、これほど一体感を味わえるライブはほかにないのでは。心の底から、楽しい！と叫びそうになる。

まさに“祭”。客席でじっと我慢などせず、メンバーと同じくらい汗をかきたい。手拍子、ステップ、声援、どれもが確実にステージへと届いている。客席が盛り上がれば、ステージもいっそう祭りを華々しくしていくのだから。

途中のトークでは、15人の素のクロストークが繰り広げられた。これ、もしかして、毎日違う内容なのかも？　THE CONVOYやメンバー一人一人の秘話が聞けそうで、ポロッとこぼれる本音に超期待してしまう。

客席へと語りかけるように聴かせてくれる、THE CONVOYオリジナルの楽曲の数々。
ファンもおのおのに思い入れの一曲があるはず、歌詞につい自分を重ねて聴き入ってしまう。
ダンスのときもそうだが、歌うときのメンバー同士の目くばせや、交わされる微笑みに気づくのも小さな感動だ。
信頼し合い、認め合い、高め合う彼らの関係性を、思いがけず目撃したようで、うれしくなる。

クライマックスが迫るにつれ、見せ場が増えていった。
全員で打ち鳴らす和太鼓はとくに圧巻だ。お腹の底から全身を揺らして駆けめぐるビートに客席も息を呑む。会場いっぱいに響き渡る正確なリズム、踊るようにポジションを変えて打ち続けるメンバー。
ときに真剣な表情を隠さないオリジナルメンバーを、若手がじっと見つめていた。それは、最後の最後まで盗めるものは盗んでやるという貪欲な視線かもしれない。THE CONVOYのDNAが確実に受け継がれていく瞬間だ。

時間を忘れ没頭しつつも、終わってほしくない気持ちが心を占領し始めた。すべての楽曲を、踊りを、トークを、まなざしを取りこぼさないよう、最大限に集中する。
こんなにも盛り上がって興奮していながら、安心して楽しんでいる自分にも気づいてハッとした。
まるでゆりかごに揺られているような、THE CONVOYという大きな腕の中に抱かれているような感じ、といえばいいだろうか。これが、THE CONVOYの包容力か。

立ち止まらず最後まで走り続ける彼らの雄姿を、どうぞ最後まで笑顔で見届けてほしい。
長年のファンも、最初で最後のTHE CONVOY目撃者も、
最後の花火をぶち上げて、最高の夏の思い出をあなたと共に！
ワッショイ！

取材・文：丸古玲子
撮影：Kota Aoki
　

大阪公演

『THE CONVOY 祭 2025』
｜日時｜2025/09/13(土)13:00、2025/09/14(日)13:00≪全2回≫
｜会場｜ COOL JAPAN PARK OSAKA ＷＷホール
▶▶公演詳細