詳細検索
  1. ホーム
  2. KEPオンライン
  3. 【美弥るりか】ハイイロオオカミのジュノを歌と朗読で表現。「溌剌とした魅力を登場シーンから出せたら」
詳細検索

KEP ONLINE Online Magazine

new

【美弥るりか】ハイイロオオカミのジュノを歌と朗読で表現。「溌剌とした魅力を登場シーンから出せたら」

2025/8/18

インタビュー

Reading Musical「BEASTARS」episode 1

主要マンガ賞4冠受賞、世界190ヶ国以上でアニメ版が配信されている板垣巴留の人気漫画『BEASTARS』。肉食獣と草食獣が共存する全寮制の学校を舞台に、本能と理性の間で揺れ動く動物たちの感情は、ときに人間の世界ともシンクロし幅広い層を魅了している。この漫画が斬新な“リーディング・ミュージカル”に! ハイイロオオカミの美しきジュノ役を「歌と朗読」で担うのは、元宝塚歌劇団男役スターの美弥るりか。原作を夢中で読んだという彼女に作品への意気込みや、宝塚時代からなじみ深い関西での公演についてなど話を聞いた。

――ご出演が決まったときのお気持ちは?

「昨年初演の(宣伝)ビジュアルをたまたま見かけて、どんな舞台なのだろうと興味を持ったのですが、スケジュールの関係で観れなかったんです。演出は元吉庸泰さんということで、繊細かつ華やかな元吉さんの演出を一度受けてみたい、という思いもあり、今回お声をかけていただいて率直に嬉しかったです」

――その後、原作の漫画などに触れていかれたのでしょうか?

「はい、漫画は一気に読みました。今は会う人が動物に見えてきたり、「この方は何の動物かな?」と妄想するぐらい、どっぷりとハマっています(笑)。肉食獣と草食獣が共存し、仲良くしたくても本能的な欲望が邪魔をしたり、命の危険を感じたりしてしまう。その世界観を学園の中で描いているのが、まずおもしろいなと思います。肉食獣である主人公のレゴシは、いろいろな出会いを経て葛藤しながら、みんなを助けたいという正義感のもと、心も体も成長し、強くなっていきます。その姿から他者への敬意、自分らしさ、想いを言葉にするといった、人として大切なことをたくさん学んでいます」

――演じられるジュノは、レゴシと同じハイイロオオカミの種族です。宣伝ビジュアルの柔らかい微笑みが印象的ですね。

「普段、私は笑う役があまりないので新鮮でした! ジュノは周りの目を引く、華やかで美しいキャラクターだと思うのですが、美貌の中にある自信やリーダーシップ、溌剌とした魅力を、まず登場シーンから出せたらと思っています。ただ、スキがないように見えて不器用な部分があり、応援したくなるキャラクターでもあります」

――ジュノはレゴシとの関係性もポイントでしょうか?

「レゴシのことが好きで、アピールタイムではないですが、彼女の天真爛漫さや強引さを表現できる楽曲がひとつあるので、その可愛らしさを出せればいいな、と。レゴシ役(歌い手・読み手)の三浦涼介さんと、舞台で共演するのは初めてです。これまで何度か三浦さんの舞台を拝見しているのですが、レゴシ役にぴったり。三浦さんにしか出せないオーラ、美しさはもちろん、レゴシのあまり群れない感じや、ひとりですべてを背負って解決しようとする責任感や正義感が、三浦さんの魅力とリンクするように思います」

――“Reading Musical”というスタイルについてはいかがですか。

「「歌い手・読み手」と、同じ役を身体で表現する「パフォーマー」がいるというスタイルで、とても新しい形だなと思いました。これまでも朗読劇に参加したことはあるのですが、ひとつの役をふたりで表現するのは初めて。以前、朗読劇に出演したとき、身体に頼らず心にだけ集中しながら役として言葉を発することで、気持ちが繊細に揺れ動くのを実感しました。表現をいちから学び直し、初心にかえるような気持ちになったので、ときにはこういう形で作品をお届けするのも大切だなと」

――今回も「声」での表現となりますね。

「私は幼い頃から声が低く、男役で苦労することはなかったのですが、逆に今のほうが大変です(苦笑)。今回の舞台では私生活では出さない音域で話すので、自分のなかで難しいなと思っています」

――作曲・音楽監督は、美弥さんがご出演されたミュージカル『ヴェラキッカ』や、『イザボー』、『鬼滅の刃』の舞台音楽などを手掛けてこられた和田俊輔さんです。

「ナンバーは24曲あり、とてもダイナミックかつ繊細で、素敵な楽曲ばかりです。私にとってある意味“挑戦”になると思いますが、また和田さんの音楽に触れられるのはとても嬉しいです」

――宝塚歌劇団を退団されて6周年となる今年も、ミュージカル『屋根の上のヴァイオリン弾き』や、ご自身がプロデュースされた『M FESTIVAL』など多彩にご活躍です。

「グランドミュージカルから自主プロデュース、今回のような漫画が原作のものまで、ジャンルにとらわれずにやっていきたいという気持ちがずっとあります。自分が年上の立場のカンパニーも多いのですが、あぐらをかかず、貪欲に前進していきたいです」

――大阪公演への思いや、関西のお好きなスポットを教えてください。

「関西は何年経っても「ただいま」という気持ちが強いです。どの作品も大阪公演があれば嬉しいなと思うので、今回短い日数ですが関西の皆さまにお会いできるのが楽しみです。好きなスポットといえば、宝塚時代の休演日によく買い物へ出かけていた梅田駅の周辺。今は新しいスポットも増えてその変化に驚きますが、やはりいつまでも楽しい街です。私はファッションも好きなのですが、同じブランドでも東京と品揃えが違うことがあり、色鮮やかなのが嬉しいです。宝塚から西宮方面へ行く途中の、自然豊かな場所にあるカフェも好きですね」

――最後に公演を楽しみにされている方にメッセージを。

「原作を知らずに客席に座っていただいても楽しめる作品になっていますので、「予習をしていないから……」などと気にせず、新しい形のリーディング・ミュージカルを多くの方に体感していただきたいです。ぜひ劇場にお越しください」

取材・文:小野寺亜紀

 

Reading Musical「BEASTARS」episode 1

■原作
板垣巴留『BEASTARS』
(秋田書店「少年チャンピオン・コミックス」刊)
■作曲・音楽監督
和田俊輔
■演出
元吉庸泰
■脚本
西森英行
■振付・ステージング
塩野拓矢(梅棒)
■歌唱指導
山野靖博 塚本直

■出演
≪Singer &Reciter≫
三浦涼介 崎山つばさ 風間由次郎
梅田彩佳/真山りか(私立恵比寿中学)※Wキャスト
美弥るりか

≪Performer≫
村田充 速川大弥
竹井未来望 MITSUKI(ミームトーキョー)

≪Story artist≫
髙澤礁太 松岡歩武

≪Swing≫
伊藤里紗(歌・読み手) 渡邊気(歌・読み手)

≪Live music≫
ヤマザキタケル

▶▶オフィシャルサイト




東京公演

|日時|2025/09/28(日)~2025/10/02(木)≪全7回≫
|会場|シアター1010(東京)
▶▶公演詳細

大阪公演

|日時|2025/10/11(土)~2025/10/13(月・祝)≪全6回≫
|会場|COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール
▶▶公演詳細

一覧へ戻る