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KEP ONLINE Online Magazine

【ライブレポ】Nothing's Carved In Stone
2019.11/28 神戸VARIT.

2019/12/20

公演レポ

NCISと共にもっと遠くへ
『By Your Side』を体現した激情の夜

ニューアルバム『By Your Side』を携えて2019年10月からスタートした“By Your Side Tour 2019-20”。対バン形式で行うアルバムツアーは約9年ぶりであり、若い世代の11バンドをメンバー自らがセレクト。2019年11/28、神戸VARIT.では今ロックシーンをざわつかせている奈良県出身の「Age Factory」を迎えた。

Age Factoryとの対バンを望んだのは村松拓(Vo/Gt)だ。清水エイスケ(Vo/Gt)のパフォーマンス・歌声に「とんでもないヤツがいる」と驚き、今回オファーに至ったという。その感想どおり、決してホームとは言えない先輩バンド・Nothing's Carved In Stoneのツアーで完璧に“食いにかかった”彼らの鬼気迫るステージに、観客も拳を突き上げずにはいられなかった。ステージ袖でその様子を見ていた村松の「もう少し攻めよう」という提案で、その日のセットリストが変更されたというのだから、そのヒリヒリとした緊張感は想像に難くないだろう。


Nothing's Carved In Stoneが『Who Is』からスタートすると、生形真一(Gt)が奏でるポリリズムに1曲目から客席はすさまじい熱気に包まれ、Aメロの歌に被さるまで歓声が鳴りやまない。その後も間髪入れず『Spirit Inspiration』、『In Future』と飛ばしまくる。大喜多崇規(Dr)の正確なリズムに支えられた日向秀和(Ba)がタイトなフレーズを刻み、余裕の笑みを浮かべながら会場の空気を掌握していた。そして披露された『November 15th』。興奮と戸惑いが混じったような歓声が上がる。ファンにとっても特別なこの曲は、まさに直前にセットリストを変更し、加えられた曲だ。『By Your Side』と題された今回のツアーが、ただアルバムタイトルを冠しただけのものではないことを誰もが察した瞬間だった。会場全体に降り注ぐようなギターで『Alive』が始まると、『Still』、『Bridges』と切なさを孕んだミドルチューンへ続き、『Milestone』、『The Savior』で再び熱を帯び始めた客席に向かって村松が語りかける。「皆にもっと近付きたくて『By Your Side』を作りました。俺は音楽を自分のためにやってる。今日、ここにいる人の心に刺さりたくて、ただそれだけのために音楽をやってる。薄っぺらく聞こえるかもしれないけど、本当なんだ」。村松の言葉は「信じて」とは続かなかった。けれど、彼らの音楽とステージがそれを痛いほどに訴えかけていたし、終盤で披露された『Music』が何より顕著だった。『僕らが鳴らすミュージック いつか誰かを救えるような 僕ら不意に不安になるけど 大丈夫 僕らは共に行ける』---“いつか誰かを救えるような”と込められた願いは、この日確かに客席に届いた。本編ラストナンバーとなった『One Thing』で歌われた通り、“全ての孤独な友に”捧げられたのだ。



アンコールで村松は「バンドを続けてると、自分が自分でいることが難しくなる。でも、皆が皆でいてくれるから俺も孤独が和らいだりするんだ。それがライブなんだよ。すげえ良いところまで連れて行ってくれよ神戸!」と叫ぶと、アカペラで『Isolation』のサビを歌い始めた。「もっと来いよ」と煽りながら焦らすように歌われ、客席からも思わず「もっと行こうや!」「最高だな!」と声が漏れる。この日を締めくくったのは『Beginning』。翌日のインタビューで、村松は『By Your Side』を「1stアルバムを作るような気持ちで作った」と語った。Nothing's Carved In Stoneはまたここから始まる。今日も私たちのすぐそばで、“大丈夫 僕らは共に行ける”と背中を押してくれるのだ。




TEXT:鷲野恭子(ヴエロ)
PHOTO:西槇 太一

★LIVE INFOMATION

"By Your Side Tour 2019-20"
Nothing's Carved In Stone

2020/01/18(土) 18:00
Zepp Osaka Bayside

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