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指揮者・藤岡幸夫&ピアニスト・南杏佳インタビュー

2025/7/8

インタビュー

関西フィルハーモニー管弦楽団 東大阪特別演奏会

門真市に拠点を置きながら、東大阪でも定期的に演奏活動を広げている関西フィルハーモニー管弦楽団。8月31日(日)に開催される今年の特別演奏会は、大阪府出身のピアニスト・南杏佳を迎える。南杏佳は、昨年若手ピアニストの登竜門であるピティナ・ピアノコンペティションの特級部門でグランプリを受賞し、日本各地における演奏活動を精力的に展開している。東大阪での活動を大切にしているという指揮者の藤岡幸夫とともに、この演奏会への意気込みを語ってもらった。

――関西フィルハーモニー管弦楽団との共演が決まったとき、どんな気持ちでしたか?

南「関西フィルさんは雲の上のような存在なので、飛び跳ねるくらい喜びました。また、藤岡マエストロは、私の母校・大阪府立夕陽丘高校音楽科の演奏会に何度か客演指揮者として出演されていて。私はすでに卒業していて指導を受ける機会がなくとても悔やんでいたので、このような形で共演できるのが本当に嬉しいです。」

藤岡「夕陽丘高校は本当にいい学校で、すでに優秀なピアニストを輩出していますよね。僕は南さんにも期待しているので、共演がとても楽しみです。」

――今回演奏されるのは、リストのピアノ協奏曲第1番。この作品について教えてください。

南「リストは私にとって愛してやまない作曲家で、中学・高校時代から何度も演奏してきました。煌びやかで華やかさが注目されがちな作曲家ですが、彼の作品からは内面にある温かい人間性や経験の深さ、人間としての成熟度も感じられます。今回はそんな彼の内面の深い部分にフィーチャーしたいと思い、この作品を選びました。」

藤岡「このピアノ協奏曲第1番は、コンパクトでありながら、無駄がない。演奏時間も長すぎないから、クラシックのビギナーの方にも楽しんでいただけると思います。」

――南さんは、昨年の第48回ピティナ・ピアノコンペティションの特級部門でグランプリを受賞されました。そこからピアニストとしての活動も大きく広がったと思いますが、その中で変化したことを教えてください。

南「2021年よりアメリカのボストンに留学しているのですが、グランプリを受賞後は日本での演奏活動がグッと増えました。日本は休暇のために帰ってくる場所だったのが、今ではお仕事のために帰国してアメリカと行き来する生活に。
 国内での移動も多く準備時間が圧倒的に減ってしまったことで、プライドを持って納得できる状態にもっていくハードルが格段に上がり、受賞直後は悩んだ時期もありました。でも、それを師匠に相談したところ、「君の仕事は、音楽に真摯に向き合ってそれをお客様に届けること。お客様が本当に欲しているのは君ではなく君が届ける音楽だから、自分自身に対してハードルを上げすぎなくてもいいのではないか」とアドバイスをもらい、音楽そのものよりも自分を前面に出そうとしていたことに気づいたんです。音楽に対する取り組み方や考え方がガラリと変わりました。」

――今回は、出身地である大阪での公演になります。意気込みも併せて、今後の目標を教えてください。

南「昨年以降、本当にたくさんの演奏会を経験させていただきましたが、大阪でここまで規模の大きなコンサートに出る機会はまだありませんでした。私自身、地元愛は強い方で(笑)、育ってきた町に感謝の気持ちを抱きながら演奏したいと思っています。
 また、来年5月に完全帰国し、日本で活動を展開する予定です。アメリカではクラシックを学ぶだけでなく、ロックやポップスのバンドにも参加していたので、その経験を活かしていけたらと思っています。」

――関西フィルハーモニー管弦楽団は、東大阪と「文化芸術のまち推進協定」を締結されていて、東大阪市文化創造館でも定期的に公演をされていますね。

藤岡「10年以上前、野田義和市長と初めてお話する機会があり、関西フィルの活動に関心を持っていただいたことが最初のきっかけでした。翌日に事務局の方に電話があり、すぐに東大阪での公演が実現して。そこから何年か連続で公演を実施し、毎回好評だったんですよね。2019年の東大阪市文化創造館の竣工にあたっても、ホールの設計や響きについてさまざまな意見を交わしました。大阪には他にもいいホールはありますが、この東大阪文化創造館も屈指の素晴らしいホールだと思います。」

――最後に、今回のコンサートの聴きどころを教えてください。

藤岡「今回は、小学生時代の僕が心を奪われたくらいすべてキャッチーで、普段はオーケストラに馴染みがなくとも楽しめる王道プログラムです。大阪期待の星である南さんの演奏で華やかなピアノ協奏曲を聴けるだけでなく、後半のチャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」は僕が初めて関西フィルと共演したときに演奏した思い入れのある作品です。絶対に損はしないと思うので、ぜひ来てください!」

取材・文=桒田萌

 

関西フィルハーモニー管弦楽団
東大阪特別演奏会


■指揮
藤岡幸夫
■ピアノ
南杏佳
■管弦楽
関西フィルハーモニー管弦楽団

■演出予定曲目
【第1部】
グリンカ:歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲
リスト:ピアノ協奏曲 第1番 変ホ⾧調(ソリスト:南 杏佳)
【第2部】
チャイコフスキー:交響曲第6番 ロ短調 作品74「悲愴」

※曲目は変更になる場合がございます。予めご了承ください。

▶▶オフィシャルサイト




大阪公演

|日時|2025/08/31(日) 15:00
|会場|東大阪市文化創造館 Dream House 大ホール
▶▶公演詳細

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