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宇宙船を舞台にした上田誠の新作
SFコメディで新境地に挑む!

2025/5/18

インタビュー

舞台『リプリー、あいにくの宇宙ね』

ニッポン放送と上田誠(ヨーロッパ企画主宰)のタッグで届けるエンタメ舞台シリーズ第5弾『リプリー、あいにくの宇宙ね』が、5月4日開幕の東京公演を皮切りに、高知公演を経て、6月6日(金)~6月8日(日)に大阪・森ノ宮ピロティホールで上演される。宇宙船を舞台にトラブルが次々と巻き起こる、“スペースオペラ活劇”と謳ったSFコメディ。ミュージシャンや芸人など多彩なキャスト陣に交じり、副航海士と航海士のバディ(!?)を演じる伊藤万理華と井之脇海が、上田作品ならではの見どころや、初共演となるお互いの印象などを穏やかに語った。

――おふたりは上田さんの舞台には初出演となりますね。

伊藤「私は2年前に『時をかけるな、恋人たち』という上田さんが脚本を手掛けられたドラマに出演し、「舞台でもご一緒できたらいいな」と思っていたので、念願がかなって嬉しいです。上田さんの作品は、日常に紛れているSFというか、日常から一歩踏み出すと宇宙に行っちゃうような、時空を超越する瞬間があり、そういう世界がユーモアのある温かい雰囲気で展開していく印象があります」

井之脇「僕は上田さんの作品を映画やドラマ、舞台といろいろ観てきて、時間を操るのが上手で、“時の魔術師”のような方だなと、完全に観る側として楽しんでいました。僕は演劇でコメディをやったことがないですし、上田さんの世界には縁がないと思っていたので、お話をいただいて「なんで僕なんだろう?」と最初に思いました(笑)。でもすぐ、「上田さんの世界に飛び込んでみたい。すごくいいチャンスかもしれない」という思いが湧き上がってきましたね」

――プレ稽古が始まっているそうですが(取材時)、作品の印象や見どころを教えてください。

井之脇「今回は上田さんの作品とはいえタイムリープするわけではないのですが、宇宙空間ってどこか地球の時間の流れ方と違うところがあり、そういう独特な面白い時間が流れている作品だなと思います」

伊藤「多種多様な方が出演されていて、その多様性も宇宙っぽいなと思う瞬間があります。そして会話が面白いですよね。キャラクターも濃いです!」

井之脇「うん。あと歌もね!」

伊藤「“スペースオペラ”とあってとてもプレッシャーを感じるのですが(苦笑)、歌い上げるというよりは、私が演じる副航海士・ユーリの心の声を、リズムに乗せてポツリポツリと囁くような感じなので……。でもがんばります!」

井之脇「見どころというと、ドタバタコメディがずっと続くのですが、上田さんの本は無駄がなく、キャラクターに沿って進んでいくのが素晴らしいなと思います。観に来られる方の日常のストレスが軽くなるような、純粋にワハハと笑ってもらえるような作品になりそうです」

伊藤「言葉遊びにも注目してほしいですね」


――芸人の方も出演されるなかで、コメディを演じる難しさや共演者の方から学びたいことは?

伊藤「やっぱりお笑いのプロの方の間のとり方、会話劇のレスポンスは稽古場ですごく勉強になります。素で笑ってしまうぐらい面白いので、もっと学びたいです」

井之脇「皆さん本当に面白いのですが、特に野口かおるさんは唯一無二です!」

伊藤「野口さん! 思い出すだけで笑っちゃいます(笑)」

井之脇「エンジン全開でブレーキがない感じですよね。笑いという意味で皆さんと同じ土俵に立つと飲まれてしまいそうですが、僕のキリトという役が“宇宙ガチ勢”で、熱が入ると周りが見えなくなるキャラクターだから、その熱で皆さんを巻き込んでいけるようにしたいです」

伊藤「私は実際、稽古中に芸人の方たちの作り出される空気感に巻き込まれて、リアルにあたふたしちゃっているのですが、今回演じる副航海士のユーリも、巻き込まれてどうしようもなくなるキャラクターなので、実際の焦りや戸惑いも私自身楽しめると、余裕をもって演技ができる気がします」

少年心の夢が詰まった舞台

――役のお話が出ましたが、おふたりの絡みや関係性についても教えてください。

伊藤「キリトとユーリはバディと紹介されているのですが……バディなのでしょうか!?」

井之脇「まだ序盤の稽古しかしていないので、ちょっと絶妙な距離感ではあるかなと(苦笑)。でもお互い実年齢に近い役だと思うので、船内クルーの中では近い関係だと捉えています」

伊藤「たぶん宇宙に行く前に、一緒に試験を受けるなど切磋琢磨してきた仲間で、そういった絆はあるのではと思っています」


――伊藤さんと井之脇さんご自身のお互いの印象は?

伊藤「井之脇さんをいろいろな作品で拝見していますが、同い年とは思えない大人っぽさがあり、実際にお会いしても受け答えが大人っぽく、おとなしい雰囲気で、だからこそ内面が気になります(笑)。稽古初日の本読みでは、航海士キリトへの切り替えが想像以上で、やっぱりすごい俳優さんだなと思いました」

井之脇「恥ずかしいですね。ありがとうございます(笑)。僕は伊藤さんの作品を拝見して、役柄のせいもあるんでしょうけど、瞬発力のあるお芝居をされる方だなと思っていました。稽古に入ると、ユーリとして戸惑っている中にも強い芯があり、上田さんとお話をしているときは、柔和な方だなという印象です。僕、本当に人見知りで……。先輩とか立場がはっきりしていると話せるんですけど、同い年っていつタメ口にしたらいいんだろうとか、戸惑っています(苦笑)」

伊藤「人見知りですよね?(笑) 私も同い年の役者の方とご一緒する機会がなくて。いつタメ口にしたらいいんでしょうね」

井之脇「話しかけてもらってすごく嬉しかったので、早いうちに仲良くなれたらなと思っています」

――井之脇さんが演じられるキリトは“宇宙ガチ勢”ということですが、おふたりとも宇宙やSFにもともと興味がありましたか?

井之脇「僕は正直、宇宙オタクではないですが映画オタクではあって、ジャンルを問わず映画を観てきたので、稽古のときに上田さんが参考として説明してくださることの、7、8割はわかるかなという感じです。まあ、タイトルが“リプリー”から始まりますし、上田さん自身がSFオタクでいらっしゃるので、本当に少年心の夢が詰まった舞台になっていると思います」

伊藤「上田さん脚本のドラマに出演したとき、宇宙用語などを話す役だったのですが、その前からSFファンタジーに惹かれることは多かったです。だからといって、宇宙に詳しいわけではないのですが、星に詳しくなりたくて先日もプラネタリウムに行きました。この作品で宇宙用語や船内の難しい言葉を歌詞として歌っていたりもするので、きちんと自分も把握したうえで、しっかり届けたいです」


――大阪公演を楽しみにされている方にメッセージをお願いします。

伊藤「私は生まれが大阪なので大阪には思い入れがあり、やっぱり「帰ってきた!」という気持ちになります。舞台は皆さんの反応次第で空気が変わっていきますが、リアクションがいい覇気のある大阪の皆さんに、大いに笑えるこのコメディがすごく刺さると思っています。私自身としては、個性豊かなキャストの皆さんに一歩でも追いつき、ユーリの成長とも重ねて見ていただけるように、コメディのお芝居も歌もすべて“挑戦”の気持ちでがんばります」

井之脇「僕はこの数年、毎年大阪の舞台に立たせていただき、やっぱり大阪のお客様は温かいなと思いました。コメディ作品で大阪に来るのは少し怖さもあるのですが(苦笑)、同じ関西圏である京都出身の上田さんを信じていれば、皆さんに温かく観てもらえるのではと楽しみです。最初、宇宙船の話と聞いて想像するのが難しかったのですが、「演劇の劇場って、宇宙船みたいだな」とふと思ったんですよ。2時間ぐらい密室に大勢が閉じ込められ、何かを見て旅をするような感覚。この作品はワンシチュエーションの話ですが、劇場全体がひとつの宇宙船となり、お客様も僕たちと一緒になって舞台上で起こることに巻き込まれ、笑っていただけたら嬉しいです」

取材・文:小野寺亜紀

 

『リプリー、あいにくの宇宙ね』

■脚本・演出
上田 誠(ヨーロッパ企画)
 
■出演
伊藤万理華
井之脇 海
シシド・カフカ
石田剛太(ヨーロッパ企画)
中川晴樹(ヨーロッパ企画)
金丸慎太郎(ヨーロッパ企画)
野口かおる
浦井のりひろ(男性ブランコ)
平井まさあき(男性ブランコ)
槙尾ユウスケ(かもめんたる)
岩崎う大(かもめんたる)

▶▶オフィシャルサイト


大阪公演

|日時|2025/06/06(金)~2025/06/08(日)≪全4回≫
|会場|森ノ宮ピロティホール
▶▶公演詳細

 

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