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30年ぶりの復活公演で見せる、東京サンシャインボーイズの新たなる笑い

2025/3/8

公演レポ

パルコ・プロデュース2025 東京サンシャインボーイズ 復活公演 『蒙古が襲来』

三谷幸喜が学生時代に旗揚げし、「東京で最もチケットが取れない劇団」とまで言われた「東京サンシャインボーイズ」。しかし人気絶頂にあった1994年、劇団は充電期間へと突入し、メンバーは個々の活動を開始することに。その後の活躍は周知の通りだ。そんな東京サンシャインボーイズの30年ぶりの復活公演『蒙古が襲来』が東京公演を終え、いよいよ岡山、京都、長野、宮城、北海道、大阪、愛知、福岡、沖縄と全9都市を回る。

物語の舞台となるのは、鎌倉時代、対馬のとある漁村。漁師のニラブはある音が気になってしょうがなく、その妻カメは鎌倉からの客人をもてなす準備で忙しい。カメの兄のトラジは、下足番をやめて昨晩故郷に帰って来たばかり。トラジとカメの父オンゾは、新しい妻ウツボと別宅で暮らしている。歩き巫女のおばばは、予言を与えるのと引き換えに今日も朝食にありつき、トラジの幼馴染のタマオは、鎌倉の客人にいいところを見せようと必死だ。鎌倉武士の訪問はあれど、いつもと変わらぬ穏やかな対馬の朝。しかし蒙古の襲来はすぐそこまで迫っていた――。

東京サンシャインボーイズと言えば、映画化もされた『12人の優しい日本人』や、2022年に28年ぶりに再演された『ショウ・マスト・ゴー・オン』など、誰もが笑えて楽しめる作風で人気を博してきた。個性豊かなキャラクター、緻密に張り巡らされた伏線、ウィットに富んだ笑い、登場人物たちの奮闘に、気持ちがいいまでの大団円。それらが複雑に絡み合い、東京サンシャインボーイズにしか出来ない数々の笑いを生み出してきた。そして本作がそういった作品かと言えば、もちろんいくつかの要素はあるにせよ、決してそうではない。三谷自身「僕らにとっても冒険」と語りつつ、「それでもきっと楽しんでいただけるのではないかと思います」と自信をのぞかせる。

その変化の理由は三谷も、演じる劇団員も、30年歳を取ったということが大きいだろう。テンポのいい会話やキレのある動きが続くわけではなく、たわいもなく思えるやり取りも多い。だがこれだけのベテランぞろい。そして同じ劇団で時間を共にしてきた歴史が、なんとも味わい深い、笑えるシーンへと昇華させている。三谷も「どうせみんなが集まるんだったら、新しいものをやりたいという想いが僕の中にありました。みんなに当然以前のようなパワーはありませんが、これまでの経験という蓄積がある。今の僕らが出来る芝居とはなにか、そう考えて作りました」と語っている。

キャストは以下の14人。相島一之、阿南健治、伊藤俊人、小原雅人、梶原善、甲本雅裕、小林隆、近藤芳正、谷川清美、西田薫、西村まさ彦、野中イサオ、宮地雅子、吉田羊。今や日本のエンタメ界に欠かせない名優、名バイプレーヤーぞろいだ。飄々と軽やかな梶原に、ちょっと面倒くさい小林、チャキチャキの中に乙女心も滲ませる宮地など、「そうそう、この俳優のこんな一面が見たかった!」というところをしっかり押さえてくれている。なお2002年に40歳の若さで急逝した伊藤は、過去公演の音源を使用し声で出演。ファンならずとも嬉しいサプライズとなっている。

また2009年に開催されたシアタートップス閉館イベント『returns』に続いての出演となる吉田は、東京サンシャインボーイズ“研究生”という位置づけ。数々の作品で主演を務めてきた吉田だが、今回は最年少として“フレッシュ”な演技を見せてくれている。さらに作品のテーマ曲で、ラストにキャスト全員で歌い上げる『どんちゃんの歌』は、甲本の実兄である甲本ヒロトの制作という豪華さ。加えて上演前後の館内アナウンスも、三谷の遊び心とサービス精神がたっぷり。ぜひともお聞き逃しなきよう。

取材・文:野上瑠美子
撮影:細野晋司

 

パルコ・プロデュース2025
東京サンシャインボーイズ 復活公演
『蒙古が襲来』


■作・演出
三谷幸喜
■出演
相島一之 阿南健治 伊藤俊人 小原雅人
梶原善 甲本雅裕 小林隆 近藤芳正 谷川清美
西田薫 西村まさ彦 野仲イサオ 宮地雅子 吉田羊

▶▶オフィシャルサイト

京都公演

|日時|2025/03/13(木)~2025/03/16(日)≪全5回≫
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大阪公演

|日時|2025/04/11(金)~2025/04/14(月)≪全5回≫
|会場|SkyシアターMBS
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