2024/10/22
インタビュー
――まずは昨年配信されたデジタルシングル「ゴロワーズを吸ったことがあるかい」についてお聞きします。
「あの曲は私の従兄であるムッシュ(かまやつひろし)のオリジナル曲で、彼のヒット曲のシングル「我が良き友よ」のB面曲でした。昨年が彼の七回忌だったのがきっかけでカバーしました。彼が生きていたら「やめろよ」と言ったかも(笑)。」
――当時は時代を先取りしたAcid Jazz風の斬新でおしゃれで音楽センス抜群のカッコいい曲でした。
「彼は音楽に関しては全くの自由人。ジャンルにこだわらず、気になった音楽を探求し、音楽そのものを楽しんでました。私も少なからず彼の影響を受けています。」
――森山さんは子どもの頃からジャズシンガーになりたかったんですね。
「父がジャズトランぺッター、母がジャズシンガーという家庭環境だったので。でもデビュー曲「この広い野原いっぱい」がフォーク調だったので、世間的にはフォークシンガーとして見られていました。でもそこはムッシュのようにそれまで自分の中になかった音楽を楽しんじゃおうと気持ちを切り替えて、色々なジャンルにチャレンジしました。」
――それが今のオールマイティーな森山さんに繋がっているんですね。2003年にはアルバム「The Jazz Singer」が発売されました。
「いわゆるジャズのスタンダード曲を私の感性でカバーしました。もちろんどの曲も子どもの頃から耳にしてきた大好きな曲ばかりではありますが、このアルバムを作ったことでもっと本物のジャズを深堀というか追求したいなとの思いが強まったのは確かです。」
――今回のニューアルバムは大江千里さんのプロデュースですが、大江さんとの出会いは。
「もう10年前になります。私の娘が大江さんのファンクラブに入っていて、家で大江さんの曲がよく流れてました。私もだんだん好きになって、名古屋のブルーノートでの大江さんのライブを観に行き、そこで色々とお話をさせていただきました。」
――大江さんの印象はいかがでしたか。
「音楽はもちろんですが、日本での音楽キャリアを封印してまで2008年にご自身の夢であるジャズピアニストを目指し、単身でニューヨークに移住されたというその生き方の潔さ、思い切りの良さに共鳴、感服しました。」
――ニューヨークは森山さんにとっても縁の深い街ですね。
「もちろん若い頃は憧れの地でした。1996年にカーネギーホール、2004年にはブルーノート・ニューヨークに出演させて頂きました。今思えば、80年代初めにニューヨーク・フィルハーモニーとのレコーディングで出会った世界的なアレンジャー、ゴードン・ジェンキンスの「誇りを持って歌いなさい」との言葉が私に自信を与えてくれて、それが今も心の支えになってます。とても素晴らしい思い出です。」
――アルバム制作の件は大江さんからの提案ですね。
「ふたつ返事でOKしました。ジャズの本場のニューヨークでジャズの本質をいちから勉強できるのも嬉しかった。本当は長期間滞在したかったけど、私の日本での仕事の都合もあり、東京とニューヨークを4回往復しました。レッスンはとても厳しかったけど、今のジャズを教えて頂き、発声の仕方やリズムの取り方など新たな知識を得てとても楽しかった。子どもの頃からの夢は叶ったし、これで歌手生命が伸びます(笑)。」
――10/18にアルバムから「Life Is Beautiful」が先行配信されます。
「アルバムは今年8月にニューヨークでレコーディングしました。大江さんが書き下ろした新曲7曲、「涙そうそう」のラテン調にアレンジしたセルフカバー、そして大江さんの曲「Gloria」のカバーと全9曲を収録してます。演奏は大江千里トリオ。「MORIYAMA」なんていう曲もあるけど、大江さんが作る曲はとにかく愉快で楽しい。たくさんの人に是非聴いてほしい日本語のジャズアルバムです。」
――大阪公演へ向けての意気込みをお願いします。
「今年もまた大好きな大阪・フェスティバルホールで歌えてうれしいですし、私も楽しみにしています。もちろんニューアルバムから何曲か聴いて頂きますが、全体的にはいつものように歌は真剣勝負、トークはリラックスした雰囲気とメリハリつけたコンサートにしたいなと思います。楽しんで頂けたら幸いです。」
TEXT・石井誠
森山良子コンサートツアー
~My Story~ 2024
【大阪公演】
|日時|2024/10/27(日) 16:00
|会場|フェスティバルホール
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