2024/2/21
インタビュー
――正体を明かした時のファンの方の反応はいかがでしたか?
「もともとTiUを知っていた方は役者の方に驚いていたし、役者の方で応援してくださっていた方は“こんなことをやっていたんだ!”って、それぞれのファンがポジティブな驚きをしてくれていたので嬉しかったですね」
――キャッチコピーに“若きショーマン”とありますが、アーティストではなくショーマンとした意図は?
「TiUはライブを軸にやっていきたくて。というのも、僕は映像作品が多い役者なので、その場でお芝居をしていても正直、届けている対象が不特定多数で誰なのかが分かっていないんですよ。でも、アーティストはライブという場所があって、目の前の人に届けるチャンスがある。そこが一番素敵なところだなって思うし、僕もライブを見ていつも元気をもらってきたので、自分もライブを軸に活動していきたいっていう意味でのショーマンです。でも、実は僕の意見ではなくて、チームが僕のことをショーマンって言い始めてショーマンになったんです。だから、“彗星のごとく現れた若きショーマン”っていうのは僕が考えたわけではないってことだけは言っておいてください(笑)」
――分かりました(笑)。2022年からTiUの活動を始められました。もともと音楽活動は視野に入れていたのですか?
「そうですね。2歳からピアノ、10歳くらいからジャズピアノに切り替えてやっていてルーツが音楽にあったので、役者として今の事務所に所属したのも音楽ができるから、というのも大きかったです。ただ、音楽活動をするのはまだ先の予定でした。時が来たら――とは思っていたんですけど、コロナ禍の時にアーティストの方が弾き語りの動画をあげて、たくさんの人に勇気を与えているのを間近に見て、僕自身も勇気をもらったことで、早く音楽活動をしたいと思ったんですね。それで作曲をやろうと心に決めて、コード理論や音楽理論を学んで、曲を聴いて分析して、こういう風に曲が作られているんだっていうのを独学で学び、最初のデモを事務所の人に聴いてもらって今があるという感じです」
――楽曲を聴くと洋楽が好きなのかなと思いました。
「基本的に洋楽しか聴いていないです。小学1年生の時に母親がiPodをおさがりでくれたんですけど、そこにジャミロクワイとレディオヘッドのアルバムが入っていて。さすがにレディオヘッドは理解できなくて、なぜかジャミロクワイにはハマったんですよ。そこからブルーノ・マーズやジャスティン・ビーバー、スティーヴィー・ワンダーやホイットニー・ヒューストンなども聴くようになりました。曲の意味が分かっていたわけじゃないですけど、自然と体が揺れちゃうような音が好きでハマっていましたね」
――それが今のTiUの音楽に反映されている感じがします。
「まさにそうですね。自分で曲を作るまで、僕はあまり歌詞を意識したことがなかったんですよ。音として乗れるのが音楽だと思っているので、まずは単純に音で体が揺れてくれればそれでいいなと。その後で、歌詞を読んでくれればもっと嬉しいなくらいに思っています。今も曲を作る時は降ってきた心地よいメロディと間を残しながら歌詞を作っています」
――3ヵ月連続配信リリースの最後を飾る最新曲『HERO JOKER』はシンセサイザーのリフなどが印象的で、これまでとはまた違った曲調ですね。
「これはけっこう挑戦的な曲ですね。音で楽しんでほしいという僕の願望もあって、歌詞を初めて全部英語にしたんですよ。日本語だと意味が入ってきて純粋に音として楽しめないですし、表現がけっこうストレート過ぎるので、あえて英語というフィルターを挟んだところもあります。シンセのリフは音で楽しみたかったのと、今回からショルキー(ショルダーキーボード)を導入しようと思っていたので、弾きやすいリフがいいなと思って考えました。昔からオールドスクールな曲というか、ジャズやR&Bとかの古いテイストが好きなので、この曲は80年代で流行った雰囲気をリバイバルさせて落とし込んだ感じです」
――TiUさんと同世代の方には新しく、上の世代には懐かしい感じがするかもしれません。
「それはある種、TiUのテーマでもありますね。やっぱり全世代の方に幅広く聴いてもらいたいっていうのがあるので」
――その楽曲を生で聴く機会として、Zeppでのライブが決まっています。
「ライブハウスなので、お客さんとライブを作り上げていきたいと思っています。僕が歌っているのをただ観てもらうというよりも、一緒に盛り上がって、一緒にライブを完成させたい思いが一番強いですね。これまでの曲はもちろんやりますし、まだリリースされるのか分からない曲などもやっていこうと思っているので、もしかしたらこのライブ以降、聴けない曲もあるかもしれません。しかも、生セッションで自分たちのグルーヴで奏でていくような曲もあるので、ライブならではの雰囲気で楽しんでもらえたらなと思います。大阪は『NBDK feat.梅田サイファー(peko,KOPERU&KennyDoes)』でコラボレーションさせてもらった梅田サイファーの御三方が出てくださるのでそこも楽しみですね」
――では、改めてライブへの意気込みとメッセージをお願いします。
「初めてのフルサイズのライブなので、ここで“This is TiU”っていうのをしっかり示しながら、『ライブって楽しい!』『TiUのライブって最高だ!』となってもらえたらいいなと思っています。ライブを軸に活動していくので、毎回、毎回、ライブを楽しみに思ってもらえるように頑張りたいです」
――TiUはご自身にとってどういう存在ですか?
「憧れでもあるのかもしれないです。曲を書いている時は、藤原大祐という一人の人間としての思いを歌詞と音にしているんですけど、TiUとして表現する時は活動のメインであるライブで夢を見せたいし、自分も夢を見たいと思っています。ライブって夢の景色なんですよ。多くの人が自分のために集まってくれているという、こんなにありがたいことはないと思っていて。だからこそ、みんなに勇気と希望を与えたいし、ライブでは思いを込めて寄り添った曲をショーマンとして届けたいという思いがあるので、ライブ会場を夢の国にしたいです」
TEXT:金子 裕希