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【髙木雄也】10の情事の前後を描く問題作「人間のリアルを楽しんで」

2024/3/8

インタビュー

PARCO PRODUCE 2024 『東京輪舞』

世界的に支持される海外の傑作戯曲「輪舞」を、現在の東京に翻案して贈る『東京輪舞』。10の情事の前後の会話をリレー形式で描写するこの作品は、映画化やオペラ化もされ、98年には当時の時代背景に合わせてデヴィッド・ヘアーが翻案し『ブルールーム』というタイトルで二人芝居として上演された。新たに山本卓卓の台本、杉原邦生の演出・美術で生まれ変わる今作に、初共演の髙木雄也(Hey! Say! JUMP)と清水くるみが挑む。稽古開始間もないタイミングで、髙木が大阪での取材会に出席。配達員やインフルエンサーなど8役に挑む心境や、「第二のホーム」と打ち明ける大阪での公演に向けて意気込みを語った。

――出演のオファーを受けたときの率直な思いからお聞かせください。

「作品自体が面白いのでどうしてもやりたいという気持ちと、まだ実力がともなっていないのでは、という葛藤が自分の中でありました。でも挑戦しないで後悔するより、努力することを選んだ方が今後の自分のためになる、と出演を決めました」

――髙木さんが8役、清水さんが6役を演じられるとのことですが、稽古に入ってみていかがですか。

「読み合わせの段階で、役によって声のトーンを変えてみたりしたら、杉原さんから『無理に変えようとしないで。役が入っていけば、自然とそっちになっていくから』と言われ、今は役を(身体に)入れていくことに集中しています。8役というのはやはり多くて、まだ自分の中で定まっていないからこそ、これからそれぞれの役のテンションなどを見つけていきたいです」

――8役の中で『この役を演じる自分は新しいな』と感じる役は?

「夫やインフルエンサーですね。夫は、そもそも僕がまだ結婚していないので、女性に対して付き合っているときと言葉の重みとか違うのかな、と思って難しい。不倫や浮気みたいな感情が恋愛のときとはどう違うのか、そのあたりがわからないので、結婚している友達に訊いてみたいです(笑)。
インフルエンサーはまだ稽古段階ですが、『イェーイ!』みたいな感じが、普段の自分がそうではないので、ちょっと作ってしまっている感じがあって。以前『裏切りの街』のとき演出の三浦大輔さんに、『テンションを上げてやるのがすごく苦手だね』と言われて、自分の課題でもあります」

――特に今回の舞台で注目してほしいポイントなどありますか?

「役が変わっていくわけですが、ひとつの役が違う役と接していくときに、この人には感情的に甘える、この人には常にクールとか、同じ役でも感情の移り変わりがあるので、そういうところを見てもらえたらいいですね」

――ちなみに髙木さんご自身、普段キャラクターを演じ分けることは?

「意外と何でも表情に出ちゃうので、あんまり演じ分けるということはないですね。偉い人の前でいい顔をするだけです(笑)」

――これまで『裏切りの街』の三浦大輔さん、『ブロードウェイと銃弾』の福田雄一さんなど、さまざまな演出家の方と組んでこられましたが、杉原邦生さんとの創作で楽しみにしていることは?

「杉原さんの舞台は、この作品をやると決まってから観に行ったのですが、時代物の作品にラップが急に出てきたり、観たことのない演出法や空間の使い方をされていて、いろいろな世代の方が楽しく観られるなと感じました。だから、今回の舞台がどのようになっていくのか楽しみです。まあ、ラップは入ってこないでしょうけど……(笑)。杉原さんご自身、すごくお話ししやすく、言葉のキャッチボールをしてくださるので、自分の可能性を広げてもらえたらいいですね」

――共演される清水くるみさんの印象は?

「お会いする前に『月とシネマ2023』という舞台を拝見し、ステージでの存在感があり、すごく目のいく方だなと思いました。これからの稽古で、たくさんお話ししていきたいです」

――男女の情事の前後が描かれるということですが、そもそも情事についてどのようなイメージがありますか?

「人間だけではなく、命をもって生まれたら起こり得ることなので、すごく大切なことだと思っています。僕は“人間のリアルさ”というのをこれからも追求していきたいと思っていて、この作品でしっかりそれを表現できたら、この先もどんどんチャレンジできるようになるかなと思っています。
『東京輪舞』は東京のリアルとエロス、10の情事の前後の物語です。でもその、情事の描写はたぶん作品に出てこないからこそ、すごく言葉が大切になってくると思います。『うわー、そういう(情事)のは観たくないよー』というファンの方の言葉も届いていますが、そういうのはないので!(笑) 人間のリアル、会話のリアルを楽しんでいただけたらと思っています」

――3月の東京公演を経て、4月に大阪・森ノ宮ピロティホールで上演されますが、大阪という場所についてはいかがですか。

「僕は出身が大阪ですが、本当に幼い頃しかいなかったので思い出や記憶は少なくて。でも、ご縁があって大阪で仕事をする機会が多く、“第二のホーム”という感覚がありますね。去年は約1ヵ月大阪で過ごしていましたし。僕は舞台が終わった後に結構散歩するのですが、『裏切りの街』の大阪公演のときは、毎日劇場近くの大阪城公園を散歩していました。今回もまた散歩できる楽しみがあります」

――最後に今作への意気込みをあらためてお願いします。

「これから先も8役を演じるというのはなかなかないと思いますし、この経験は自分の中で大きいです。『東京輪舞』に描かれている感情は、見方を変えればピュアなのかなとか、人それぞれ感じ方が異なると思うので難しい。でもそういう人間のリアルを体現できるような役者になっていきたいです」

取材・文:小野寺亜紀

 

PARCO PRODUCE 2024『東京輪舞』
 
 ■原作
アルトゥル・シュニッツラー
■作
山本卓卓
■演出・美術
杉原邦生
■出演
髙木雄也 清水くるみ

▶▶オフィシャルサイト

大阪公演

|日時|2024/04/12(金)~2024/04/15(月)≪全5回≫
|会場|森ノ宮ピロティホール
▶▶公演詳細

 

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