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立川談春が芸歴40周年の節目に10ヵ月連続独演会に挑む!

2024/4/12

インタビュー

芸歴40周年特別企画 立川談春 独演会

圧倒的な存在感と抜群の巧さで、絶大な人気を集める落語家・立川談春。天才と謳われた立川談志に17歳で入門。独演会や落語会で全国各地を忙しく飛び回る中、数々の人気ドラマや映画に出演するなど多彩で意欲的な活躍を続けている。「古典の名手」の称号を手中にしながら、甘んじることなく挑み続け、新しい「伝説」を打ち立ててきた勝負師の彼が、今年迎えた芸歴40周年の節目に、東京と大阪で1月から10月まで10ヵ月連続の独演会を行う。彼は何を考え、どこに向かおうとしているのか。その思いを聞いた。

――落語家として、全国各地の名だたるホールで独演会を開催し続けることも偉業ですが、常に新しい試みにも挑んでおられます。そして今回は大阪で10ヵ月連続の独演会。舞台はキャパ約1000人の大阪・森ノ宮ピロティホールです。東京でも、大阪と同時期に10ヵ月連続で計40席を演じる記念の独演会を開催されますね?

「節目の会を芸歴20年から始めて、5年おきにやってきて、40周年を集大成にしようと思っているんです。集大成にするにはまだ早いんじゃないかという意見があるかもしれないし、プレイヤーとしてはまだまだうまくなりたいと思っているけど、もしかして今が体力的にも最高潮の可能性もあるよねと。これまで次へ次へと挑戦してきて、この40周年に特別な思い入れもあって。17歳で入門した時に思った。40年やっても60歳にはならないんだと。当時は落語が真冬の時代で、落語でご飯が食べていけるなんて全く想像がつかなかった。落語っていう娯楽がそういう立ち位置、存在だったんです。売れるなんてことは毛頭考えられなかった。これは自分が思っているより将来は厳しい。でも、落語家になれたら、談志の弟子になれたら、それで十分と思ってたんです。それが、平成に入ってから落語ブームみたいなのが起きて、信じられないくらい落語という芸能の観客動員が増えて。まさか大阪でも自分の独演会ができるなんて思ってなかった。でも、幸運だと言っている限り前に進めない。幸運なんて甘ったれたことを言っていてはいけない。今年40周年を迎えました。今、年末に2700人のキャパのフェスティバルホールで独演会をやるのが自分の立ち位置なら、さらに発展させる、最低でも維持していくためにはもっと何かをしなきゃいけない」

――2008年12月25日、閉館直前の大阪・旧フェスティバルホールでホール史上初の大独演会に挑み、2700人の満員の観客を魅了した夜は今も伝説となって語り継がれています。年末に開催される現在のフェスティバルホールでの独演会も恒例となりました。同じネタでも聞くたびに進化しているし、大きく変わっていることもあって、驚かされることが多いです。何がその原動力でしょうか?

「『来てよかったね』と言うリアクションよりは、性格的に啞然とされる方が向いているんだよね。そこで充実感を感じるし、生きているような気がする。『これはすごい!』と思うリアクションが返ってくるには今後どうすればいいのか。『持ったが病』みたいな価値観がそこにあるんじゃないかな。もうちょっと言うと、師匠の談志を見て、さだまさしを見て、憧れてしまった。俺が憧れている人はずっと歩みを止めない。十分世の中に受け入れられ、日本を代表する人に限って、見に来てくれるお客さんが見たことがない自分を見せようとあがいている。その姿を見せられると、もっとやんなきゃと思う。そういうと格好いいけどね、これが正しいとは毛頭思ってないです。でも、そこをなくしちゃうと…。明日は今日よりよくなると思ってるから、まだしゃべってるんだから」

――大阪は10ヵ月で20席、東京では40席を演じられます。今回はどういうネタをされますか? 大阪と東京で違いはあるんでしょうか?

「東京がアーティストで言う『ベストアルバム』とするなら、大阪は『チャレンジ』です。いつか大阪でやりたいと思っていたとか、談志がやった噺で、現存の落語家では俺しかやらないとか。1月のテーマは『冬』で『夢金』、そして『明烏』。2月の『白井権八』は桂米朝師匠の前でやって、『あんた、珍しい噺するな。ええもん聞かせてもらった』って言われました。談志がやって格好いいなと思った最初の噺です。3月の『たちきり(たちぎれ線香)』、4月の『百年目』は、上方の名作と言われるものを談春テイストにして、大阪でどこまで受け入れられるのか。5月、6月の『慶安太平記』、7月の『妲己のお百』は談志がこよなく愛し、教わった噺。東京と大阪で同じネタをやりますが、会場によってお客さんの空気感も気質も違います。落語という話芸をきちんと聞こうとしているお客さんの密度の濃さは大阪が一番と思っています。落語に関して、一番ちゃんとやらないと聞いてくれないのは大阪ですよ。同じネタでも会場が変わると全然違うので、楽しめますよ」

――2012年に大阪と神戸で開いた12ヵ月連続の独演会も前代未聞でした。その時にご覧になった方もおられるし、今回が初めてのお客さんもおられますね。

「節目の会ではツアータイトルをつけているんですが、今回は『これから』。あの頃から興味を持って、見てくださっている方はこの12年間、何をしてきたかというのをわかってくれると思います。12年間、だてに年を取ってませんよ。初めての方にもぜひ来てほしい。そのお客さんに対するメッセージが『これから』です。俺も年を取るけど、あなたたちも年をとる。どうやって生きる?そこに俺の落語を通じてメッセージを送るつもりです」

TEXT:日高美恵

  

芸歴40周年特別企画
立川談春 独演会

1~10月森ノ宮ピロティホールにて独演会開催!

▶▶公演詳細

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