2023/12/27
インタビュー
――2023年に結成10周年を迎えられました。やはり感慨深いものはありますか?
「実は名前を決めてから2、3年くらい活動していないんですよ。だから、まだ感覚としては7年目みたいな感じなんですけど(笑)、メンバーとは学生の頃から繋がっていますし、いろんなものを作って、いろんなところに行って活動してきたね、という感慨深さがありますね」
――その中でバンドとして進化を感じる部分はありますか?
「それは音作り、楽曲制作の能力とかライブパフォーマンス、全部だと思います。活動を続けるにつれて練度が上がり、自分たちがやりたいことも実現できました。11年目に出す次のアルバムは自分たちらしさが一番現れる作品になるんじゃないかなと。もともとWONKは、J・ディラ由来のビートミュージックをモードで再現するようなところがテーマ性としてあって、それができていたのが初期の頃の作品だと思っているんですね。当時よりも制作方法や音作りとかいろいろなものが進歩した中で原点に立ち返って荒田がやりたかったことや、海外のアーティストとコラボして、海外にも発信できる自分たちの音楽を作りたいと思っていたことがようやくしっかりと形になるので、そういう意味で次の作品にはWONKらしさが出ると思います」
――海外とのコラボといえば、2023年はイタリアの自動車メーカー、アルファ ロメオとのタイアップ曲『Passione』を皮切りに、11月に出した『Fleeting Fantasy feat.Kiefer』ではピアニストのキーファーさん、12月リリースの『Snowy Road feat.9m88』では台湾のシンガー・9m88さんとコラボしています。
「キーファーに関しては、もともと彼のいるレーベルStones Throw Recordsがすごく好きで、もちろん彼の楽曲もすごく聴いていたんですね。で、この曲は鍵盤の江﨑がデモを作ってきたんですけど、『キーファーにお願いしたい』ということで、オファーをしました。しっかりキーファー節が感じられるいいコラボになったと思っています。9m88とのコラボは数年前に話が出ていたんですが、コロナなど、タイミングが合わなくて実現できなくて。でも今回、彼女がまた連絡をくれて、僕らも次のアルバムの構想があったのでお願いをしたところ、実現しました。『Snowy Road feat.9m88』はいわゆるザ・クリスマスソングっぽい感じですが、クリスマスというワードを入れない冬ソングにしました。歌詞は、一緒にやるからにはお互いの言語が欲しいねということで、英語、日本語、中国語を織り交ぜたものに。サビや一緒に歌っている部分は共通言語にして、AメロやBメロはそれぞれの言語で歌うようにしています。サウンド感はクラシカルかもしれないけど、立体音響技術のドルビーアトモスでミックスしていたり、ジャケットをAIで作っていたりと、意外と新しいこともやっている曲でもあります」
――さすが新しいことに挑戦し続けているバンドです。さて、年明けの1月8日には大阪でワンマンライブが開催されます。これはどういうライブになりますか? 10周年を振り返る感じでしょうか?
「10周年を振り返るものではないです。詳しいことはあまり言えないんですけど、これまでとは全然違うものになります。ビルボード大阪やブルーノートでやってきたライブではストリングスやホーン隊なサポートを入れて同期なしの生音でやっていたんですけど、今回は真逆で4人だけでやるライブ。編成もセットリストもこれまでとは全く違う、今後も再現しないであろうライブなので、見逃し厳禁でございます! 10日の東京のワンマンには行くけど、大阪公演は迷っているという方たちにもぜひ来ていただけたらと。最近は全然演奏していなかった曲もやるので、そういう意味でも新鮮なんじゃないかなと思います」
――では、最後に読者へのメッセージをお願いします。
「WONKというバンドをやっています。東京を拠点に活動するエクスペリメンタルソウルバンドです。ジャズとかソウルとか、R&Bとかヒップホップとかいろんなジャンルをミックスしたような音楽をやっているんですけど、あくまで僕らがいいと思った音楽や新しいことにどんどん挑戦しているバンドなので、いろいろ聴いてもらえたら多分、どこかしらにいいなと思ってもらえるポイントがあるのではと思っています。一番新しいアルバムから聴いてもいいし、他のものからでもいいし、曲を聴いてみて『おっ?』って思ったら、一度ライブに来てください。きっと好きになっていただけると思います!よろしくお願いします!」
TEXT:金子裕希