2023/12/16
公演レポ
2024年1月13日(土)・14日(日)に兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールにて上演される、屋良朝幸主演Special Entertainment Show THE CIRCUS Presentsオリジナル・ミュージカル『The Agent 』。2016年より4年連続上演し話題となったミュージカル『THE CIRCUS!』シリーズのTETSUHARUと屋良朝幸がタッグを組む最新作だ。この日を待ちわびたファンは多いはず。12月6日に東京・有楽町よみうりホールで実施された公開舞台稽古& 取材会の様子をお届けします!
これぞTETSUHARUワールド!
実はこれ、ゲネプロ後の取材会で、シリーズ初参加の愛加あゆが発した一言。舞台上のスクリーンいっぱいに展開されるオープニングのアメコミ映像の段階から、観客たちは「これぞTETSUHARUワールド!」を目撃することになる。
元FBI捜査官でいまは地下賭博場ファイトクラブのファイターに落ちぶれた主人公のレン=屋良朝幸と、突然現れた謎の男ザック=植木 豪が繰り広げるダンスアクション。世の中にどれほどデジタル技術が進歩しようとも、生のステージに立つ生身の人間のバトルほど白熱するものはない。呼吸の音や光る汗にも興奮が高まる。レンを慕うT.J.=寺西拓人も加わり、物語の冒頭からかなり怪しい雲行きに……!
続いて艶やかに登場したのは、コスメブランド「マーダーズ」のマリー=可知寛子とミリー=なかねかなのローズ姉妹。ハイトーンボイスの圧倒的な歌で客席を魅了したかと思えば、ストーリー展開において大きなカギとなる心の暗黒、そして陰謀を匂わせていく。クセが強めの悪党ホセ=北園 涼、派手な暗殺者リッキー=高橋駿一の存在感も目を引き、これからどんな悪事を働くのか、レンたちとどう関わるのか、ばらまかれる伏線が気になって仕方がない。
過去のトラウマに縛られるレン(屋良)に、なんとか近づきたいT.J.(寺西)、2人のダンスはさすがのシンクロ率。
さらに見どころは、プライベートでは大の仲良しの寺西と原 嘉孝(カート)が、物語の上では「水と油」なこと。立場上、犯罪組織やテロ集団に対抗する国連の諜報組織U.N.I.S.の仲間として手を組まねばならないのに、顔を合わせれば丁々発止。ゲネプロ後の取材会で、「演じるキャラクターのせいもあるけれど、物語上で2人はものすごく絡んでいくんです」と寺西が、「僕ら2人を知っているファンの方々にはエモいシーンが多いと思います」と原がアピールするが、ここのシーンのことか!とワクワク。息もぴったりに、軽業師のようなアクションで魅せてくれる。
レン(屋良)がもう一度立ち上がるきっかけは、姉のライラ=愛加あゆの身に起きる事件。レン(屋良)とT.J.(寺西)、カート(原)、デュプリー=木内健人、ザック(植木)らは、ホセ(北園)やリッキー(高橋)の悪党と対峙。一幕ラストの大バトルは、本作の激しいダンスアクションシーンの一つ。スピード感もMAXに疾走する。屋良は、「短距離走を走った直後の肺がきゅっとなる感じ、わかりますかね。あんな感じになるんです。ここまでのダンスステージはTETSUHARUさん以外にないです」とゲネプロ後の取材会で打ち明けるほど。
そんな一幕と休憩をはさんだ二幕冒頭、またしてもレン(屋良)&ザック(植木)のダンスアクションが炸裂する。「植木さんとのバトルシーンのダンスは、TETSUHARUさん演出の大筋を元に、2人で合わせて考えました」と屋良、植木も「阿吽の呼吸です」と意気込む場面だ。2人の鍛錬と自信がぞんぶんに味わえる。
ライラ(愛加)は無事なのか、レン(屋良)はトラウマから解放されるのか、そして、ローズ姉妹の陰謀の結末は――。
どのシーンの楽曲も耳に残るリズムとメロディーライン、キャストらの声量が素晴らしい。目に見せるダンスアクションのみならず、耳を通して心にしっかり聞かせる歌声、おしゃれな映像を駆使した場面転換と、新感覚ミュージカル・エンターテインメントの誕生に酔いしれる。
ゲネプロ後の取材会で「これぞTETSUHARUワールド!」と発した愛加は、「初参加の本作は稽古場からドキドキで、みなさんには、骨格と筋肉はどういう構造になってるの?と驚かされっぱなしでした」。この発言を裏付けるように、キャストからも、「個人的にここまで踊るのはTETSUHARUさんの『THE CIRCUS!』シリーズだけ。とても刺激的です」(寺西)、「『THE CIRCUS!』シリーズは初参加。過去舞台を観てはいたけれど、あの中に自分も入るのか!?と緊張感いっぱいでしたが、屋良さんの大きな背中を追いかけてがんばります」(原)、「『THE CIRCUS!』シリーズの集大成といえるもので、本気で挑まなければなりませんでした。それだけのエナジーをお客様に届けたい」(植木)と、各人の力を最大限に出して振り切っている様子が語られた。
企画・演出・上演台本を手掛けるTETSUHARUは、「今回も素晴らしいキャストが揃い、プレッシャーのなかでの出発でしたが、本当にみなさんがんばっていただいた成果がお届けできることをうれしく思います。キャラクターが持っているそれぞれの人生観や、物語の大きな意図を感じながら、のびのびと演じている姿をぜひ見てください」と語る。さらに、本作『The Agent 』ならではのポイントとして、「屋良くんのキャラクターについては、これまでは屋良くんをどう素敵に見せようかと考えて演出しましたが、今回は屋良くんを頼って、彼の持つ素晴らしいデフォルトをどこまで引き出せるかを考えました」とアピール。
屋良は、TETSUHARUと植木を先輩にダンスを教わり、その背中を追いかけてきたという。寺西や原にしてみれば、そんな屋良の背中を追いかけて食らいついているところ、とのこと。先輩に触発される素敵な連鎖だ。本作ではこの連鎖が一気に目撃でき、堪能させてもらえる。
最後に屋良は、「2023年ラストにとんでもなくしびれる作品が来たな、と。40歳になりますが、ここまで動くのか!?と自分でもびっくりするほど、想像以上に戦っています。TETSUHARUさんとのこのシリーズは、一度は打ちのめされるんです。だから、もがく。もがきながらもやっていく、必死なんです。最高に熱いステージをお届けしたいと思います」と語った。
文:丸古玲子
撮影:引地信彦
※マスコミ公開時はライラ=彩吹真央、ミリー=BON.井上で実施。
Special Entertainment Show THE CIRCUS! presents
オリジナル・ミュージカル「The Agent」
■企画・演出
TETSUHARU
■脚本・作詞
福田響志
■音楽
坂部 剛
■出演
屋良朝幸
愛加あゆ
寺西拓人 原 嘉孝 木内健人 高橋駿一(PADMA)
なかねかな
北園 涼 可知寛子
植木 豪 他
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|日時|2024/01/13(土)~2024/01/14(日)≪全3回≫
|会場|兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
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