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【インタビュー】『橋からの眺め』伊藤英明

2023/8/29

インタビュー

PARCO PRODUCE 2023 『橋からの眺め』

喜怒哀楽、感情を色濃く出す舞台で
芝居に向き合える幸せを感じる

妻ビアトリス、17歳になる最愛の姪キャサリンと3人でブルックリンに暮らす港湾労働者のエディ。密入国してきたビアトリスの従兄弟、ロドルフォにキャサリンが惹かれると、エディは自分の気持ちを抑えきれなくなり……。アーサー・ミラーの傑作戯曲をイギリスのジョー・ヒル=ギビンズが演出する注目作に、伊藤英明が主演する。13年ぶりの舞台出演で、骨太な社会派ドラマに挑戦する彼に話を聞いた。

――ジョー・ヒル=ギビンズさんは日本での演出は初となりますが、稽古はいかがですか?

「ジョーさんの人間力や優しさに日々触れることで、自分の使っていなかった部分が呼び覚まされるような感覚です。感情を色濃く出す舞台ですが、ジョーさんのその感情の引き出し方がすごいなと思いますし、日々大きな気づきがある。毎日約8時間稽古をしていますが、楽しくて仕方がなくて、あと1年ぐらい稽古をやりたいです(笑)。」

――どのような「気づき」があるのでしょうか?

「映像はアップでの撮影やカット割りなどもあり、どこか〝監督のもの〟という認識がありますが、舞台では役は自分のものなんだなと。また、これまで舞台は声や身振り、感情を大きく表現する、という捉え方だったのが、舞台こそ細かい表現で伝わるんだなと気づきました。」

――稽古を重ねるなかで見えてきた、この作品の魅力を教えてください。

「誰にでも起こりうることでシンプル。それが負の連鎖によって、負の着地点に辿り着くんです。アーサー・ミラーのこの戯曲の時代は、働いて家族を守り、シンプルに生きて死んでいくものだという考えがどこかにありますが、その考えや、死に対しての観点が日本人と違うのが興味深いです。日本人はどこか死に関して悲観的だなと思います。」

――演じられるエディの言動や感情については?

「人間の見たくない部分、隠したい部分かもしれないですね。誰しも人に言えない過去や恥ずかしい部分がありますよね。そこに向き合い、表現することで、何か皆さんの人生にタッチできるものになればいいなと思っています。」

――エディとキャサリンとの関係は独特で、いろいろな感情が織り交ざっているようにも感じるのですが……。

「二人の間にはシンプルに〝愛〟しかないのではと思います。愛から始まり、自分の思考による掛け違いから崩れていく。今は台詞の力を信じ、感情が陰(いん)に入りこみやすいエディの芝居を、作りこみすぎないようにと意識しています。」

――6人のキャストのみの濃密なお芝居です。キャサリン役の福地桃子さんとは、以前からお知り合いだったと伺いました。

「はい。福地さんはとても明るく一生懸命で、目がキラキラしてます。他にも高橋克実さん、坂井真紀さん、松島庄汰くん、和田正人くんと6人、ジョーさんの演出に導かれ、ひとつになっていく幸せを感じています。」

――『ジャンヌ・ダルク』以来13年ぶりの舞台、どのような思いで臨まれているのか改めて教えてください。

「30年ぐらい芸能界にいますが、点で散らばっていたものが、線で繋がり出したような感覚です。今48歳で、50歳までの2年間にしっかり芝居に向き合いたいと思っていたら、こんな素晴らしい演出家の方に演技を学べて幸せ。この舞台は自分の中ですごく特別ですね。」

取材・文:小野寺亜紀
ヘアメイク:今野富紀子
スタイリスト:根岸豪
撮影:源賀津己

 

PARCO PRODUCE 2023
『橋からの眺め』

■作
アーサー・ミラー
■翻訳
広田敦郎
■演出
ジョー・ヒル=ギビンズ

■出演
伊藤英明 坂井真紀 福地桃子 
松島庄汰 和田正人 高橋克実

京都公演

|日時|2023/10/14(土)~2023/10/15(日)≪全3回≫
|会場|京都劇場

▶▶公演詳細
▶▶オフィシャルサイト

 

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