2023/6/3
インタビュー
――今回のアルバムは“宇宙人のいる生活”がテーマとのことですが、なぜこのユニークなテーマになったのでしょう?
西山「宇宙人ってけっこうサイファイ(SF)なイメージがあるので壮大な感じがするんですけど、自分と文化や感覚が全然違う人のことを『宇宙人みたいな人だな』って言うじゃないですか。ポジティブに捉えると、そういう宇宙人みたいな人が生活にいっぱい現れることで日常がけっこう楽しくなるかもしれない、煌めくものがあったりするんじゃないか、という思いがどんどん強くなり、そういうアルバムを作ってみようと。あと音楽的にも作家仕事としてポップスものの編曲と、自分たちが好きなクラブやダンスミュージックという少し文化圏の違う音楽をやっているので、それを1つのアルバムに混ぜたいという思いもありました。ポップスが好きな人から見るとクラブミュージックなどは宇宙人のように映るというか、音楽的にもそういうのがあると思うので、ちょうどいいテーマだなって思っています」
――ポップスとダンスミュージックが混ざり合った中で、インスト曲とフューチャリングアーティストを招いての歌もののバランスもすごくいいですし、ダンスやクラブミュージックに馴染みのない人にとっても聴きやすい1枚になっていると思います。
柴田「歌の入っている曲とインストゥルメンタル曲のバランスについては、これまでのアルバムでもその2つを平等に扱いたいっていうのがずっとあって。ライブではインストが多いですが、今回、“僕ららしさって何だろう?”って考えたときに、やっぱりアルバムで歌の曲とインストの曲が交互にあって、ポップに聴けるというのが自分たちのカラーなのかなって改めて思ったので、こういう風になりました。今作ではM-7の『Omitnak』から宇宙人がDJをしているところに迷い込むみたいなシチュエーションなので、自分たちがライブでやっているようなダンサブルな音楽を流れで入れられたらなと思って設計しています」
西山「うちの母親とか普段は僕のやっている音楽は全く分かっていないですけど、今回、『Day After Day』とかを聴いて「いい曲だね」って連絡をくれたので、音楽に詳しくなくても伝わりやすいものができたのかなって思います。いろいろ考えて作ってはいるんですけど、真剣に聴かなくてもいいし、聴けば聴くほどこだわりに気づいてもらえたり、人によって聴き方を自由に選べるアルバムにできたんじゃないかなと思うので、好きなように楽しんでもらえたら嬉しいです」
――お二人の歌も聴きどころのひとつでは?
西山「そうですね(笑)」
柴田「二人で一緒に歌うのは初めてでしたけど、けっこうミックスされた不思議な音像になっているので、この曲(『Terminal』)にはよかったかなって思いました」
――ライブでも歌声を披露することになりそうですか?
西山「そうですね。歌うことになると思います(笑)」
――そういう部分も含め、楽しみの多いリリース記念ライブが決まっています。
西山「今回のライブは初めてやることがすごい増えるんじゃないかなと思います。特に楽曲が幅広いですし、宇宙人とかアイコンになるものや映像もたくさん作っていますし、そういう素材を使ってライブ自体もちょっとカラフルに見えるようにしたいなと思っています。今回の曲を生でボーカリストの人たちが歌ってくれるのを聴くのは自分たちも初めてなので、それがすごい楽しみで。エレクトロニックミュージックですけど、今作では歌声の力というか、声の印象が音楽を決定づけている曲も多いので、そのあたりも楽しみにしてもらいたいです」
柴田「アルバムの世界観をより展開できたらいいなと思っているので、音楽と合わせてそちらの演出も楽しんでもらえたら何よりです」
――アルバムに参加したアーティストの方々も来られるんですよね?
西山「はい。ゲストボーカルとしてThe Hair Kid、髙橋芽以(LAUSBUB)さん、古くからの友人でもある林青空さん、ライブアクトとしてはThe Hair Kidが所属している2人組ユニットのMilk Talk、僕たちが大阪で活動していたときからずっと見てくれているちょっと年上のトラックメーカーのin the blue shirtさんをお呼びしています」
――ちなみに、お客さんの層はどういう感じですか?
西山「本当に幅広くて。若い子だけじゃなくてお母さん世代もいます」
柴田「僕、お母さんがほんまに来ていてびっくりしましたけどね(笑)」
西山「藤井(隆)さんとのライブの時ね(笑)。僕らの音楽って、歌を聴いてくれている人もいればダンスミュージックとしての4つ打ちとかテクノが好きって言ってくれる人、あとはクラブカルチャー、クラブミュージックとして聴いてくれる人もいて、さらにはYMOとか電子音楽が好きで――っていうそういう上の世代の方もいるので、一堂に会すと不思議な客層だと思います」
柴田「電子音楽だったりクラブに来慣れていない人の入門としても面白いと思いますし、かつ慣れている方が来ても満足する内容になれたらいいなと思っているので頑張りたいです」
――では、最後にメッセージをお願いします。
西山「今回の作品は僕たちの音楽を初めて聴く人にもいいんじゃないかなと思っていまして。これを聴いてもらって、どういうグループなのかが雰囲気で分かるような作品にできた気もするので、気に入ってもらえたらライブとかにお越し頂けたら嬉しいですし、あまり触れてこなかった楽しみを見てもらえるかもしれないなと思っています」
柴田「僕たちの音楽に興味を持ってくれるのも嬉しいんですけど、これがきっかけでクラブに行ってみたり、新しい刺激とか音楽に触れて、聴いてくれた人の人生が楽しくなったらよりいいなって思っているので、このアルバムの全体のプロジェクトの何かに触れてもらって、誰かの何かのきっかけになればいいなって願っています」
取材・文:金子 裕希
パソコン音楽クラブ
アルバムリリースパーティー2023
「FINE LINE」~Green Boy Festival~
■ゲストアクト
in the blue shirt / Milk Talk
■ゲストボーカル
髙橋芽以(LAUSBUB)/ 林青空 / The Hair Kid(Milk Talk)