2023/3/27
取材レポ
ハンガリー・ブダペストの香水店を舞台に繰り広げられるロマンティック・ミュージカルの名作『She Loves Me』が、関西では6月3日・4日に東大阪市文化創造館 Dream House 大ホールで上演される。2009年にも同作で主演した薮宏太(Hey! Say! JUMP)が、約13年ぶりに主人公のジョージ役に再挑戦。新たに荻田浩一の翻訳・訳詞・演出で生まれ変わるなど話題が多い。
東京で開催された製作発表には、薮をはじめキャストの綺咲愛里、宮澤佐江、竹内將人、岡田亮輔、坂元健児が出席。ときにコミカルにテンポ良く展開する作品の雰囲気そのままに、出演者が和気あいあいと意気込みを語った。
ミュージカル『She Loves Me』は1963年にブロードウェイで初演され、トニー賞5部門にノミネート。時代を超えて愛され、数々のミュージカルリバイバル賞も受賞している。日本では1995年に市村正親と涼風真世のコンビで日本初演を果たし、再演を繰り返す人気作だ。香水店で働くジョージと、新人店員のアマリアは犬猿の仲。実は二人の心の中には、まだ見ぬ文通相手の想い人がいて……。
製作発表で薮はジョージ役について、「生真面目な性格だけど、芯があってチャーミングな部分も。13年前、19歳で演じた時は、少し背伸びをして演じている感覚がありましたが、今回は“にじみ出る大人”を目指したい」と話す。ジャニーズ事務所の先輩、錦織一清の演出のもと体当たりで臨んだ2009年から、ミュージカル出演を重ねた薮。「人前で歌う自信がつき始めた今、集大成とは言わないまでも、13年前より成長したと思っていただけるように頑張りたいです」と意欲を見せる。
また、アマリアを演じる元宝塚歌劇団星組トップ娘役の綺咲愛里は、自身の役について「とてもまっすぐな女の子。お手紙を通じて恋に恋した女性の、何とも言えない気持ちを丁寧に演じていきたいです」と話し、「キュートで可愛くてチャーミングな作品の世界観に飛び込めるのがとても嬉しいです!」と、歴史ある作品に携わる喜びも語った。
――約13年ぶりの再演、作品について今だから分かるなと思うことは?
「19歳の当時はデパートなど高級なお店には行かなかったので、“接客ってなんだろう”と思いながら演じていました。所作は振付を覚える感覚でやっていて。今は大人になり、デパートにも行くようになったので、そういった部分での見え方の違いはあるかなと思います。」
――『She Loves Me』の魅力について
「男女のすれ違いから生まれるものや、そのやり取りが面白いですよね。近しい人が実は文通相手だった! というのをお客様も(キャラクターと)一緒に体験していただく形になると思うので、ぜひドギマギしてほしいです(笑)。また、この作品は台詞の掛け合いがとても多く、アマリアとのケンカや、シーポスとの友情での掛け合いで、言葉遊びがふんだんに出てきます。さらに1930年代のブダペストが舞台ということで、懐かしさの中に今風のオシャレさがあるところも魅力です。」
――アマリア役の綺咲愛里さんについて
「今日(製作発表で)初めてお会いしましたが、凜とされている方だなと感じたので、ジョージもそうですが感情の起伏が激しいところをどのように演じられるのだろうと、楽しみになりました。」
――好きなシーンは?
「やはり文通相手が誰なのかが分かるレストランのシーンがすごく好きです。13年前の錦織さんの演出では、相手に見られないように壁に沿ってそっと歩き、シーポスと隠れながら喋る芝居だったのをとても覚えています。」
――好きな楽曲は?
「アマリアが歌う『バニラアイスクリーム』は、とんでもない高音なのですが、これをまた聴けるのはすごく楽しみです。僕が演じるジョージの曲では、タイトルにもなっている『シー・ラヴズ・ミー』。想いが通じているのがわかった!という瞬間の歌なので、めちゃめちゃ解放的なんですよ。ジョージの悩みが全て解消される曲なのでやはり好きです。」
――荻田浩一さんの演出で楽しみにしていること
「経歴を拝見すると、すごい数のミュージカルを演出なさっている方。とにかくミュージカルに詳しいと周りから伺っているので、ミュージカルへの取り組み方や演出を通して多くのことを学びたいです。」
――近年数々の作品に出演されるなかで感じる“ミュージカル”の印象や面白さ
「稽古中や本番も規則正しい生活ができる。朝起きた瞬間『アー』と声を出して、今日はこんなコンディションだからと本番までの時間を逆算し、準備できることを精一杯するなど、生活がルーティン化され律せられるので、とても健康です。アスリートの皆さんもこうやって毎日自分の体調を気にしているのかなと思いました。最近は『ジョセフ・アンド・アメージング・テクニカラー・ドリームコート』など、1カ月近い公演で主演し、波がなく安定して歌えたというのは自信につながったので、いい経験になりました。」
――『She Loves Me』をご覧になる方へメッセージ
「個性の際立ったキャストばかりで、僕自身稽古場が楽しみです。この作品をご存じのお客様は、ご自身の想像との答え合わせをしていただければ。初めてご覧になる方も、愛せるキャラクターばかりだと思うので、ぜひお気に入りのキャラクターを見つけて帰ってください。」
取材・文:小野寺亜紀
ミュージカル『She Loves Me』
■出演
薮 宏太(Hey! Say! JUMP)
綺咲愛里、宮澤佐江、竹内將人、岡田亮輔、岸 祐二、坂元健児
港 幸樹/小原悠輝、折井洋人、福永悠二、
天野朋子、樺島麻美、笘篠ひとみ、藤咲みどり
■台本
ジョー・マスタロフ
■作曲
ジェリー・ボック
■作詞
シェルドン・ハーニック
■翻訳・訳詞・演出
荻田浩一
【大阪公演】
日時:2023/06/03(土)~2023/06/04(日)≪全3回≫
会場:東大阪市文化創造館 Dream House 大ホール
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