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【取材会】「もうがまんできない」阿部サダヲ&皆川猿時、大阪公演を語る!

2023/3/4

インタビュー

ウーマンリブVol.15「もうがまんできない」 阿部サダヲ&皆川猿時

宮藤官九郎が、何ものにもとらわれず、今やりたいことを自由にストレートに表現する大人計画の“ウーマンリブ”。1996年にスタートした不定期公演で、作品ごとに個性豊かなメンバーが集まる超人気シリーズだ。大阪には2003年に『熊谷パンキース03』で初登場。前作『七年ぶりの恋人』から5年を経て、2020年に上演されるはずだった『もうがまんできない』は、コロナ禍のため無観客で収録・放送するというスタイルに。そして2023年、ついにパワーアップして上演が決定。「演劇は生で観てこそ!」と言ってきた宮藤の思いが実った。昨年末、ロームシアター京都で『ツダマンの世界』に出演していた阿部サダヲと皆川猿時が終演後に会見。作品のこと、大阪公演への思いなどを語ってくれた。

あらすじ

舞台は渋谷。ラブホテルや雑居ビルが立ち並ぶ猥雑な裏街。出来たばかりのセレブなマンション前に、古びたビルがある。そんな猥雑な街の一角で、メジャーになれない解散寸前のお笑いコンビ、デリヘル嬢と店長、浮気男と間男など、訳ありな人々がたまたま出会って…。


「舞台的にもお芝居的にもおもしろい」(阿部)

「この役、オレ、すごく上手だと思う」(皆川)

 

公演中止への思い

2020年1月、宮藤官九郎が来阪し『もうがまんできない』の会見が行われた。が、新型コロナウィルス感染症の感染拡大により公演は中止。5年ぶりの“ウーマンリブ”を楽しみにしていた多くのファンが落胆した。が、それ以上につらかったのは、カンパニーや参加メンバーだろう。阿部サダヲは「稽古だけやって本番やらないなんて、そんな経験を今までしたことなかったから。つらかったし、すごく悔しい思いもあった」と話す。

無観客収録→今回の阿部サダヲ

せっかくの作品、観客のいない劇場で収録・放送された。が、経験した阿部は「無観客ってこんなに演った気しないんだ、と。宮藤さんがカット割りを考えて、カットごとにドラマの撮影みたいな感じでやったんですが、スタジオじゃなくて空席がいっぱいの劇場が目の前ですからキツかった。お客さん、大事だなって感じました。その時から宮藤さんと『お客さんの前でやりたいね』って話してて」。そして今回の上演へ。「お客さんの前で出来るのはすごくうれしい。笑い声を聞いてないんで。シーンとした中でやる芝居じゃないと思っていたから」。阿部が演じるのは、ゲーム会社勤めの男。同じマンションに住む上司(宮藤)の奥さん(平岩紙)と不倫中。ほかにストレスになりそうなことを「なんかいろいろ抱えているイメージ。これまで“ウーマンリブ”でやったことないようなキャラクターで、同期の宮崎吐夢くんとずっと一緒だし、なかなかないパターンでおもしろいなぁと新鮮に感じました」。

放送→新キャストの皆川猿時

放送を自宅で観ていた皆川猿時。「でも、お酒を飲みながら観ていたので、あんまり覚えてないんですよね(笑)。なんかヒリヒリした感じで、すごいなという印象です。松尾(スズキ)さんが、すごいしゃべっていたなぁって。あれを今回は僕がやんなきゃいけないんだ、ちょっと大変だなぁ」。前作の『七年ぶりの恋人』への出演から8年。今回演じるのは風俗店の店長だ。「宮藤さんの作品で芝居っぽいのは久しぶり。僕が出演した作品は歌ったり踊ったりが多かったから。『七年ぶりの恋人』とは全然毛色が違って楽しみです。でも、この役、オレすごく上手だと思うな、風俗ちょっと詳しいから(笑)。期待してください」。松尾から皆川へ。「宮藤さん、書き直すかも」と阿部。

仲野太賀と永山絢斗のこと

大人計画の舞台に初出演となる仲野太賀。宮藤作・演出の舞台は、大パルコ人②バカロックオペラバカ『高校中パニック!小激突!!』以来約10年ぶりの永山絢斗。今回、2020年の放送版で柄本佑・要潤が演じた売れない漫才コンビに挑む。「太賀くんが20歳ぐらいの時に一緒に舞台をやっています。すごく成長しているので期待しています。絢斗くんとは高校生ぐらいの時に会ったけど熱い男。初めて一緒にやるのは楽しみです。2人の感じはすごくいいと思う。おもしろいですね」(阿部)。「2人とも舞台で共演しています。絢斗くんは『高校中パニック!』の時はやんちゃな芝居をする人で、すっごいおもしろかった。太賀くんは赤堀(雅秋)さんの舞台で一緒にやったけど、芝居上手だなぁと。念願なんじゃないかな、宮藤さんの作・演出ものに出演するのは。タイプの違う2人がコンビ組んで漫才やって…すごく楽しみです」(皆川)。

シチュエーションのおもしろさ

ビルの屋上、マンションのバルコニー、ラブホテルの窓。芝居は、ほぼこの3ヵ所だけで展開する。「舞台にはめずらしく真ん中に人がいないんです。最後の方にちょっと仕掛けがありますが、動きは少ない方ですね」。さらに芝居の2時間、リアルに時間は動いていく。阿部は「2時間の芝居にしては濃いな。3つの話が交差して、いろんなことが起きています。舞台的にもお芝居的にもおもしろいですね」と印象を語る。前の会見で「その場で初めて会った人たちの中でどれだけドラマが動かせるか、2時間でどれぐらい人間は関われるか。やってみたい」と話していた宮藤。今回の作品には、さまざまな宮藤のチャレンジが含まれている。

一幕もの、短い上演時間、ヤング券も用意

『ツダマンの世界』は舞台転換を多用、上演時間は休憩込みで約3時間半。『もうがまんできない』はワンシチュエーションでノンストップの約2時間だ。また「料金が1万円以上だと敷居が高い。若い人たちに『行ってみるか』と思ってもらえるのは3800円ぐらいかなと」話していた宮藤。生の舞台の魅力を多くの人に。宮藤の切なる思いが込もった舞台だ。

2人の「もうがまんできない」こと

「マスク!マスクしながらの稽古はほんとにつらくてキツイです。ストレスたまります」(阿部)。「食べちゃうこと」(皆川)。皆川は昨夏からパーソナルトレーニングを始めたが、食事は自己管理。「昨日はギョーザ2人前にポテトサラダとチャーシューの盛り合わせ。そこで我慢できなくて、牛スジの煮込みと醤油ラーメン。食事代がえらいことになってます。京都に来て、おいしいからどんどん太ってきて。5月の大阪公演には15キロぐらいやせて90キロぐらいでお会いできるといいですね。夢です」。

大阪公演に向けて

「サンケイホールブリーゼは『ドライブイン カリフォルニア』以来ですね。その時が初めてでしたけど、すごくやりやすい劇場だったので、また出来るのはうれしいです。大阪公演は毎回楽しくやれるので。皆川さん、また太っちゃうかもしれないけど、ぜひ、観に来てください」(阿部) 「“グループ魂”のライブをやっていても、大阪はお客さんがあったかいですよね。だから、ついつい調子に乗っちゃって。あぁ、大阪に来てるなって感じます。」(皆川)

取材・文=高橋晴代
撮影=河上良

  

ウーマンリブVOL.15「もうがまんできない」

■日時
2023/05/18(木)~2023/05/31(水)≪全14回≫

■会場
サンケイホールブリーゼ

▶▶ 公演詳細

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