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三戸なつめがタクフェスに初参戦!
慣れずに新鮮な気持ちで役を生きる

2022/11/8

インタビュー

タクフェス第10弾『ぴえろ』

脚本家・演出家・俳優として活躍する宅間孝行が主宰するエンターテインメントプロジェクト、タクフェス。そのタクフェス第10弾の舞台「ぴえろ」が大阪で上演される。本作は2001年初演で、2005年に再演の後、古田新太主演のドラマ化で話題を呼んだサスペンスコメディ。間抜けな泥棒コンビの沢木(宅間)とヤス(佐野和真)は、東京の下町の寿司屋に忍び込むが、あっけなく見つかりボコボコにされ気絶する。しかし、翌朝、目覚めた沢木を出迎えたのは「お帰り、テル!」という勘違いの歓迎の嵐だった。公演に先駆け、スピンオフのミニドラマ19話もYouTube、TikTokで公開された。今回、タクフェスに初参戦する三戸なつめが、作品や宅間との仕事、スピンオフのドラマなどについて話してくれた。

――現在、東京、仙台、青森などの公演が終わりましたが、手ごたえは感じていますか。

「タクフェスに来るお客さんは皆、ノリが良くって、お祭りに来たみたいな感じなんです。笑い声や、感動するシーンでは鼻をすする音がめっちゃ聞こえてきて、真剣に見てくれているんやなというのはすごく伝わってきました。私もテンションが上がりますね。宅間さんに『お客さんに育ててもらう感覚だよ』と言われていたんですが、すごくよく分かりました。」

――三戸さんは寿司屋の大将の次女の春子を、長女の秋子を鈴木紗理奈さんが演じます。稽古から本番に移り、何か変化はありましたか。

「稽古中に積み上げてきたものが、ずっと保てている感覚があります。何公演もしているので、自分が春子に慣れちゃったらどうしようと不安はあったんですけど、それが全くなくて、ずっと新鮮な気持ちでできている。今、半分ぐらいの公演が終わったんですけど、後半もそのままの新鮮な気持ちで演じたいと思っています。」

――宅間さんは作・演出も兼ねていますが、以前、お話を聞いた時に「基本のラインがしっかりとしていれば、アドリブもOK」と言われていました。そのあたりは?

「自分のセリフがないところでも、結構、なんだかんだしゃべっているので、その場で春子として生きられていると思います。」

――宅間さんから、役を生きてほしいと言われたのでしょうか。

「そうですね。また、タクフェスは最初からテンポがめちゃくちゃいいので、そのテンポとスピード感をすごく大事にして稽古をしていたんです。でもそれに慣れちゃうと、テンポがいいだけで感情がないふうになっちゃう。宅間さんに『慣れずに新鮮な気持ちで、スピード感を大事にして』とも言われています。」

――物語についてはどう思いましたか?

「展開が早くて面白いです。稽古が始まって、あっ、ここってこういう意味やったんやとか、一個一個のセリフが受け狙いだけで言っているわけではなく、伏線になる部分があるので、物語の見方がすごく変わりました。沢木はテルに間違われただけではないという部分を宅間さんがトリックのように描いていて、めちゃくちゃ面白いなと思いました。皆の演技がどこまで本当なのか、というのも伏線になっているので、1回観るのと2回観るのでは、全然違う。できれば2回以上観てほしいです。」

――台本を読んで、春子は沢木に恋心があるのかな?と思いました。

「2001年の初演では恋心だったらしいです。それは宅間さんの年齢もあったんですけど、今回は、宅間さんが年齢を重ねて沢木を演じる中で、近所のかわいがってくれたすごい大好きなお兄ちゃんという風に変えてみようと。私は宅間さんのことをすごく尊敬してますし、大好きなお兄ちゃんというよりは、大好きなオジサンで(笑)、そっちのほうがやりやすいので、良かったなと思います。」

――キャストの皆さんとは温泉に行かれたそうですね。

「すごい仲良くなっちゃって。仙台と青森の移動日が完全にオフだったので、その日、お仕事がないメンバーだけで行って、夜通ししゃべっていました。めちゃくちゃ楽しかったですね。」

――舞台と同じように和気あいあいとしているのですね。

「宅間さんは稽古中、『三戸ちゃん、ご飯食べてる?』と毎日気にかけてくれて、ほかの女子メンバーにも『飯、ちゃんと食えよ』と炊飯器を買ってくれて、皆でいつも玉子かけご飯を食べているんです。釜の飯を食った仲ですね。そのおかげで、オフの日でも玉子かけご飯が食べたくなって、毎日食べています(笑)。」

――姉役の鈴木紗理奈さんとはいかがですか?

「お姉ちゃんは大好きです。紗理奈さん自身もすごくいい方で後輩のフォローをしてくれるんです。宅間さんの稽古はすごく厳しいんですけど、紗理奈さんも芝居に対してストイックだから、怒られている若手に優しくて、すぐ『一緒に自主練しよう』と誘ってくれる。紗理奈さんに助けられている部分がめちゃくちゃありますね。本番中もお姉ちゃんの気持ちがすごく伝わるから、姉妹の感情が自然と沸き上がってくるんです。紗理奈さんの演技にもらっている部分がたくさんあります。」

――初演では姉妹で恋のライバル相手でしたが、今回はそういうバチバチした雰囲気はないのですね?

「ないですね。沢木とお姉ちゃんがくっつけばいいのになぁと私は思っていて。特に最後のシーンは泣けてきますね。」

――鈴木さんはバラエティー番組でもすごく面白いですよね。普段もあんな感じの方なのでしょうか。

「めっちゃおもしろいです(笑)。共演者のモト冬樹さんが下ネタばかりいうから、紗理奈さんが『うっせえ、冬樹』と言って、皆で笑っているんです。『うっせえ、冬樹と言っていいんだよ』と紗理奈さんに言われて、温泉に行くころには私も含め皆そう言っていました(笑)。モトさんも優しいから笑ってくださるんです。」

――アハハ。先ほど、宅間さんは稽古で厳しいと言っていましたが、どういうところが厳しいのですか。

「芝居に対してめちゃめちゃ愛がある人です。演出家で、俳優でもあるから俳優に自分で考えてほしい。どう動いたらお客さんが見やすいか一緒に考えようというタイプです。演出家は『こうしてほしい』と道筋を話す方が多いんですけど、宅間さんは自分で考えてアイデアを持ってきてと。また、人の目を見てしゃべらないというタクフェスのルールがあるんです。」

――えっ、どういうことですか?

「宅間さんは『普段、人の目を見てしゃべらないでしょ?』と。よくよく考えたら、こういうインタビューだったら目を見て話しますけど、確かに、人の目をジッと見てそんなに喋らないなと。友達や家族とも目を見て話しますけど、ズーッと目を見ていると、何だか気持ち悪い時がありますよね(笑)?それに、人って何かしながらしゃべるじゃないですか。宅間さんは、舞台の上ではナチュラルに動いて、いかにもという大げさな動きはしないでと言うんです。一つひとつの動きに細かくて、『三戸ちゃん、普段、そんな動きする?』と聞かれるので『しないです』と(笑)。刑事さんが寿司屋に来るシーンでは、私はお姉ちゃんを守りたいから、強めに食ってかかっていたんですけど、宅間さんに『三戸ちゃん、強いよ、強い。三戸ちゃんは気が強いかも知れないけど、春子はもうちょっとか弱いよ』と言われました」

――気が強いのですか?

「いえいえ。でも宅間さんからはそう思われています(笑)。 負けず嫌いではありますね。」

――三戸さんは奈良県の出身ですので、大阪公演は地元凱旋になりますね。

「家族や友達も観に来る予定です。昨日、新大阪に着いて、タクシーに乗って、マネージャーさんが『タクシーチケット使えますか?』と聞いたら、運転手さんが「使えんでー。アメリカまで行けんでー」と(笑)。ああ、関西に戻ってきたーっと思いました。」

――何か突っ込みましたか?

「いえ、笑うに留まりました(笑)。」

――今回、舞台に先行してスピンオフのドラマが公開されています。スピンオフはいつ撮影されたのですか。

「稽古が始まる前です。スピンオフを見ると、舞台がより分かるようになっているんです。」

――皆さんの演技が自然で、稽古をじっくりやった後に撮影されたのかと思いました。

「稽古で迷った時に、19話あるので自分たちもスピンオフを見返して、『ああ、あのキャラクターはこういう性格なんだね』と確認しているんです。」

――春子のお父さんの演技に、三戸さんと鈴木さんが笑いをこらえているのが面白かったです。

「お父さんカミカミやし(笑)、一回、噛んでセリフをとちったら、リセットして撮り直しなんですが、宅間さんはそこを切らないで使っているのでめっちゃ面白いんです。」

――舞台の前にスピンオフのドラマを作るのは珍しいですよね。気分も盛り上がりますね。

「宅間さんはお客さんファーストなんですよ。東京公演では見てない人が多かったので、大阪公演は絶対見てから舞台に来てください。また、前説から宅間さんと佐野君が出ていて、最初から最後までお客さんを楽しませてくれるので、早めに劇場に来たほうがいいですよ。そこを推しておきます!ぜひ、楽しんでいただきたいです。」

取材・文 米満ゆう子

タクフェス第10弾『ぴえろ』

■作・演出
宅間孝行

■出演
宅間孝行、佐野和真/鈴木紗理奈、浜谷健司(ハマカーン) /
三戸なつめ、太田奈緒、竹内茉音
柴田理恵/モト冬樹
西村佳祐 遠藤龍希

大阪公演

|日時|2022/11/23(水・祝)~2022/11/27(日)≪全6回≫
|会場|シアター・ドラマシティ

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