2022/10/20
連載コラム
―前々回、前回と、グループに加入する前のことから聞いてきたので、お二人にもまずはそこを聞ければと思います。
チバゆな「きゅるしてをやる前ですか?」
島村嬉唄「それは私も知りたい」
チバ「きゅるしてに声をかけていただく前は、コンカフェでアルバイトしてました。人間に興味があって。ひとりひとりの感性や人生経験って違うじゃないですか。人と話すと、自分とは違う考え方を入れることができるんです。コンカフェは1対1で話す機会が多いので、好きなことをしてお金も稼げるのがいいなと(笑)」
―人と話すのが好きなんですね。
チバ「もともとは嫌いだったんです。でも、自分があまりに閉鎖的すぎるのはこのままじゃよくないなと思って。メイドさんは可愛いし、やってみたいなというのもありました」
―友達は多い方ではなかった?
チバ「そうですね、学校は不登校でしたし。高校は単位のために必要最低限は行ってたんですけど、ギリギリすぎて担任の先生から連絡がくるくらいは行ってなかったです。小さい頃からそういう機関に通うのが苦手で、小学校も馴染めなくて。多分、何かを持っているのかなと思うんですけど、提出物とかがしっかりできないし、忘れ物をしてしまうんです」
―ああ、自分もそうです。電車も行きたいところと逆方向に乗ったりしませんか?
チバ「わかります!それでなかなか辿り着けなかったり。部屋も片づけられなくてゴミ屋敷ですし......。お姉ちゃんがいるんですけど、しっかり者なんです。その差がひどすぎました。私は勉強もできなければ友達もいないし、忘れ物をして先生に怒られるしで、全部がイヤで、小学校は行かなかったです。中学生になると女の子からの嫌がらせが多かったので、行かなくなりました」
―特に小さい頃は環境に適応できないことがコンプレックスになって足枷になりますよね。
チバ「そうなんですよね。私、おばあちゃんにもいじめられたんですけど、そのとき、別に自分がダメだから今まで全部うまくいかなかったというわけじゃなくて、いじめてくる側にも何かしらの原因があるんだと思ったんです。そこから他人と関わろうと思って、コンカフェで働いてみることになりました。あとは......自分がちょっと可愛いということに気づいちゃった(笑)」
島村「あはは!可愛いなぁ」
チバ「本当にちょっとだけね(笑)。TikTokで喋ってる動画がちょっとバズったりして、それでコンカフェに来てくれるお客さんがいたりしたんですけど、自分の話すことに対していいねと思ってくれる人がいると知って。自分はそんなにおかしい人間ではないと思えたのがよかったです」
―居場所が見つかったわけですね。コンカフェで働くことで自身の気持ちにも変化が芽生え、そこからアイドルになっていくと。続いて島村さんですが、きゅるりんってしてみての誰かと知り合いだったりしたのでしょうか。
島村「それが、私はプロデューサーもきゅるちゃんのメンバーの誰とも知り合いじゃなかったんですよね」
―まったくのゼロからだったんですね。個人的には、島村さんがカムバックすることは二度とないだろうと思っていたんです。
島村「私もそう思ってました(笑)。もう普通に仕事もしていたし、前のグループを辞めてから結構時間が経っていたので、まぁやることはないだろうと。お話をいただいたときも、ないかなと思ったんです」
チバ「へー!」
島村「でも、とりあえず1回ダンスレッスンやるから来てみてよと言われて、試しにということで行ってみたら、待って?楽しいぞ?となってきてしまいました」
―楽しくなってしまった。当時は働いていたんですね。
島村「はい。大学に行きたいとかもなく、母子家庭なので、ちょっと早めに働いて少しでも親を楽させたいなという気持ちもあったりしたので、とりあえず働いてはいたんですけど......という感じでした」
―やりたいことがないなかで、レッスンを受けたら道が拓けてしまったんですね。そのときにメンバーには会いました?
チバ「最初は(逃げ水)あむだけいなくて、他はいた気がします」
島村「当初は壁がすごかったです。全員に距離感がある(笑)。仲良くなれるのか心配でした」
―メンバーと仲良くできたわけではないけれど、それでも活動をやってみようと決断したのは、そのレッスンが相当楽しかったということですよね。
島村「そうです。歌って踊るのがもともとすごく好きで、昔の活動を辞めてからもひとりで家でずっと踊ったりしていたんです。だから、久々にそういうレッスンを受けてみて、やばい、楽しい!となりましたね」
チバ「逆に私はダンスとか歌がめっちゃ苦手で。楽しいというより、やるって言っちゃったからにはちゃんとやり遂げなきゃという思いでレッスンに行ってました。まわりを見ると自分だけできてなかったんですけどね。こんなに準備してくれてるし、やらないという選択肢は自分のなかではなかったので、頑張ろうと思いました。ただ......」
―ただ?
チバ「ダンスレッスンを重ねても、行くたびにあまりいい雰囲気ではなかった(笑)。誰かがこの場をどうにかしないと一生このままだと思って」
島村「この方(チバ)は誰とでも仲良くなれるタイプの人なんですけど、ほかのみんなは重度の人見知りなので誰からも話さなかったんです」
チバ「私も人見知りで根暗なんだけど、きゅるちゃんがみんな喋らなさすぎなので謎に責任感がはたらいて、自分が話し掛けなきゃと思ったんです。これはスベってるかな~と思いながら(笑)」
島村「ごめんね、頑張らせて。たしかにゆなちゃんはすごく頑張ってくれました。最初はそれでなんとかなってた」
チバ「仲よくなれてよかった!私は嬉唄のことをあまり知らなかったんですけど、じつはモーニング娘。が好きで。のちにハロプロの人だったと知ってめっちゃびっくりしたし、嬉しかったです」
島村「そうだったんだ。私のことなんて誰も知らんと思ってました」
―準備段階で練習はするものの、なかなか距離は縮まらず?
チバ「デビューライブのあとくらいからやっと、という感じです」
島村「あれでだいぶ団結したというのはある」
―ライブ自体はいかがでした?島村さんは久々の、チバさんは初めてのステージですよね。
島村「アドレナリン大放出で、楽しすぎてハイになっちゃいました。その日は親の迎えがあったんですけど、『超楽しかった!』ってテンション上がりっぱなしで話したのを覚えてます。懐かしい顔とかも見ることもできて、色々な感情になりましたね」
チバ「感動だね」
―親御さんも島村さんがやりたいことをやっているのは嬉しいでしょうね。
島村「そうだと思います。前の活動をしていたときは私の意志があまりなくて、勝手にお母さんがオーディションに送って、というよくあるパターンで。ありがたいことにトントン拍子で受かったんですけど、始めてみたら忙しくて記憶もないくらいだったし、まだ子供で、言われたことをただやるみたいな感じだったんです。今は自分の意志で楽しいなと思ってやっていることなので、すごく応援してくれています」
―チバさんはどうでしょう。
チバ「私以外の4人は活動歴があったりSNSのフォロワーがすごく多かったりするなかで、私だけド素人の一般人だったので、ずっと緊張していて。ステージに立ったときも、終わったあとも手が震えてました。今まで準備したことちゃんとできたかなという不安しかなかったです」
―コンカフェ時代のお客さんは来てくれたんですか?
チバ「ほぼゼロです(笑)。自分だけファンがいないというのはめっちゃこわかった」
島村「そこからゆなちゃんのファンがたくさんできていったというのは本当にすごいよ」
チバ「応援してくれる人には感謝しきれないです」
―お披露目以降、少しずつメンバー同士の仲も深まっていくんですよね。
チバ「環やねさんが、このあと何かあるかな、っていう雰囲気を出してくるんですよね(笑)。それのおかげでご飯に行けるようになった気がします」
―前回の兎遊たおさんと逃げ水あむさんの話にも出てきました。環さんが寂しがりやで、一緒にご飯に行きたがると。
チバ「そうです!やねは早く帰りたいタイプの人だと思ってたのに、違ったんですよ。さびしがりやのやねちゃんがいたから、メンバーってご飯に誘っていいんだとわかりました」
島村「たしかに、一緒にご飯に行くという概念がなかったね。そこからプライベートのことも話せるようになったよね」
チバ「仕事以外の話はしちゃいけないと思ってたからね」
島村「あの距離感はなんだったんだろう。でも、そうなれたのも結構最近のことで。前回のツアーくらいから変わってきて、より切磋琢磨していけるようになっている感覚はあります。それまでは遅刻するメンバーがいてもちゃんと注意できなかったくらいなので」
―ポジティブな変化ですよね。きゅるしてを続けているなかで、たくさんの新しいことを経験している最中だと思うのですが、チバさんはファンの存在について改めて感じることはありますか?
チバ「きゅるりんってしてみてのメンバーの方々はめっちゃ可愛いじゃないですか。だから、なんで自分には何もないのに会いに来てくれるのかなって」
島村「謙虚やな!」
チバ「おっぱいが出てるからなのかなと思ったり(笑)。特典会に来てくれる子と話しているうちに、見た目以外の部分、自分の発言とか考え方に何かを感じくれて好きになってくれる人もいるというのがわかったりして、自分も存在価値が多少はあるんだなと気づけました。だから外見だけじゃなくて内面も高められたらいいなと思ってます」
―グラビア展開はどう捉えていたかうかがっていいですか?
チバ「自分は人気もそんなにないと思うので......こう言うと私のファンの人に失礼になっちゃうかもしれないですけど、それは事実としてあります。だから、伸ばせるところがあるのであれば全部やってみようと思ったんです。でも、一度やってみて、そこはもういいかなと」
―チャレンジしてみてわかったこともあるわけですね。人気がそんなに......なんて考えなくていいと思いますが、だからこそやれることはやってみるというのはグッときてしまうところです。
チバ「ありがとうございます。やねちゃんが写真集を買ってくれたのが嬉しかったです(笑)」
―島村さんがファンの存在について思うことはどんなことでしょう。
島村「昔好きでいてくれて、今も来てくれる人が結構いて。一度、ちゃんとしたお別れも言えないまま消えてしまったという経験があるので、今、こうして当たり前に会って言葉を交わしたりできていることを思うと、たまに泣きそうになります。ここを大切にしようといつも思ってます。きゅるちゃんに拾ってもらえてありがたいです」
―本当によかったですね。やはり後悔の念がなかったわけではない。
島村「その時の決断自体に後悔はないけど、好きでいてくれた人にできたことはあったな、という後悔はいっぱいありました。辞めたあとも色々考えましたし。だから今は本当に現実なのかなと思うくらい幸せなんですよね。メンバーにも恵まれて、平和な人たちが集まりのなかで楽しくやらせてもらっていますし、みなさんと会える機会も多いので、色んな方が来てくれて、話したりできるのも嬉しいなと思います」
―チバさんは島村さんをどう見ていますか?
チバ「嬉唄ってスター性というかカリスマがあってキラキラしてるんですよ。私は今でもステージに立つのが不安だなと思うときがあるんですけど、嬉唄はいつでも完璧にパフォーマンスしてくれるので、今年の私の生誕で嬉唄と歌ったんです。一人は無理だけど、二人だったらできるかもと思って。そうしたら安心して歌えたので、やっぱり嬉唄ってすごい人なんです」
島村「これは恥ずかしいな」
―島村さんから見たチバさんはいかがですか?
島村「いや、魅力しかないんですよ、この女は(笑)。じつはメンバーそれぞれ自信がなかったりするんですけど、おい!と言いたい。こんなにも可愛くて、何でもできる人たちなのに。ゆなちゃんはお喋り上手だし、ダンスもセクシーに踊るし、最年少なのに気が利くし、こんなにできた子はいないと思ってます」
チバ「ええ~(笑)。人をすごく元気にする力を持っている人だ......」
―素敵なやりとりをありがとうございます。そろそろ締めになるのですが、いよいよ11月のツアーが目前に迫っていますね。
島村「いい方向に向かっていってるなというのはメンバーもファンの人も感じていると思います」
チバ「ソロ曲ができて、ツアーで披露することになると思うですけど、楽しんでもらえたらなと思います」
―生誕イベントでは一人で歌えないと思っていたけれど、もう大丈夫?
チバ「いや、嬉唄には隣に立ってもらいます(笑)」
島村「あはは、棒立ちでよければ(笑)。これはメンバーの誰かが言ってたことなんですけど、街行く人に『きゅるちゃんじゃね?』って気づいてもらえるくらいになりたいという願望がやんわりとあるんですよね。せっかくこんなに魅力的で内面までいい子たちなので、もっと世間に知ってもらわないともったいないなと思うんです。そのためにはまずこのツアーを頑張りたいなと思っています」
チバ「あとは、とにかく(ツアーファイナルの)チッタは絶対みんなに来てほしい!」
島村「そう!それだけは言おうと思ってた。友達をできるだけたくさん連れて来てください!」
チバ「ビラ配りせん?」島村「しようしよう。ハチ公前とかで。休みの日とかに一人でも配ろうかな(笑)」
インタビュアー:南波一海
日時:2022/11/02(水) 16:30 / 19:00
会場:TAKARA OSAKA
公演詳細はコチラ