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【インタビュー】童謡からミュージカル、ロック、昭和歌謡まで36年の人生を辿る“一人紅白歌合戦”のようなライブ / 山崎育三郎

2022/6/10

インタビュー

山崎育三郎 LIVE TOUR 2022 ーROUTE 36ー

『青天を衝け』などのドラマや映画、全国高等学校野球選手権大会開会式での「栄冠は君に輝く」独唱など、ミュージカルで培った歌声と表現力を、幅広い分野で披露している山崎育三郎。その魅力は映像でも充分伝わってくるが、やはり劇場で味わう彼の歌声は特別な感動がある。今年4月からは、過去最大規模となる17都市18公演の全国ツアー『山崎育三郎 LIVE TOUR 2022 ―ROUTE 36―』を開催。その最終地・東京の前、6月23日には京都でのライブが予定されている。自身の36年を辿る趣向を凝らした今ツアーへの想い、活動の原動力、今後の目標についてまで熱く語ってくれた。

現在、全国をツアーで回られているなかで感じることは?

「赤ちゃん連れのママからご年配の方まで、幅広い層のお客様がいらして下さり、7年前に思い切ってテレビの世界にチャレンジしてから、多くの方に存在を知っていただけたのを実感します。皆さん僕を知ったきっかけは様々で、そういう方が集まる場所ってなかなかないと思うし、いろんな景色が見えて毎回新鮮な気持ちです」

サブタイトルの「ROUTE 36」の通り、36歳になった山崎さんのこれまでの人生を辿るような構成になっていますね。

「前半はミュージカル仕立て。物語を進行していくような形で人生を辿るので、自分の想いを乗せやすいです。曲を歌いながら子どもの頃の記憶がよみがえったり、ミュージカルの場面が見えてきたり、曲ごとにその時の自分になれる瞬間があり、僕自身楽しませてもらっています。12歳でミュージカルの世界に入り、29歳までミュージカルひと筋でやってきて、その後映像の世界に飛び込みました。ちょうど12歳が寅年で、初めて帝国劇場で主役をやらせてもらった作品(『モーツァルト!』)との出会いが24歳の寅年。寅年というのが人生の節目となっていて、今年36歳でまた寅年を迎え、一度今までの自分の人生を振り返り、また次のスタートを切りたいなという想いを、そのまま物語にしたらいいのでは、と思い、作っていきました」

まさに一つのミュージカルのようなライブなのですね。

「お客様が声を出せない状況下で、どうすれば楽しんでいただけるかを考えたとき、座ったままで何かを感じられる“物語”が必要だと思ったんです。今回、平常(たいら・じょう)さんという人形劇俳優の方に、進行役としてお芝居部分を表現してもらっています。僕自身が僕を演じると説明過多になってしまうけど、人形が幼少時代の僕や、僕の母にもなるなど、何役も演じることでお客様に想像していただく隙間ができる。それこそ演劇で僕がいつも大切にしていることです。平さんとは10年来の友人であり、好きなアーティストさん。彼が1000人規模の劇場で、たった一人で手作りの人形を使い何役も演じるステージに、新しいエンターテインメントを見た!という驚きがあって。いつかご一緒したいと思っていました」

実際どのような曲を選ばれたのか、お聞かせ下さい。

「まず僕がミュージカル好きになるきっかけとなった『アニー』の曲。全国童謡コンクールで歌って審査員特別賞を頂いた『七つの子』。この楽曲で、歌は自分にとって特別なものなんだと感じました。そして僕のデビュー作、小椋佳さんが作られたアルゴミュージカル『フラワー』の楽曲も。他には、子どもの頃からの憧れの作品で、出演の夢を叶えた『モーツァルト!』『レ・ミゼラブル』『エリザベート』『ミス・サイゴン』というミュージカルの四大作品の曲も歌います。また、朝ドラ『エール』で出会った楽曲のメドレーもあり、僕自身が作詞をしたオリジナル曲もありという、人生を凝縮したような形です」

様々なジャンルの曲が並んでいますね。

「童謡からミュージカル、ポップス、ロック、昭和歌謡、オリジナルまで…とまるで“一人紅白歌合戦”みたいに、バラバラです(笑)。これが僕の歩んできた道のりであり、ミュージカルだけでなく、コンサートや映画、ドラマ、MC、声優、ラジオのパーソナリティなどをやらせていただいてきたからできる作品になっていると思います」

オリジナル曲について、詳しく教えていただけますか。

「1曲目に歌う『煌めく星』は、僕の父親の気持ち、育三郎が生まれた時の親の気持ちになって作詞しました。手の上に光が宿り、その光を僕が映像の中に投げ込むと、平さんが演じる人形に命が宿り、動き出すという流れになっています。終盤で歌う『On your side』は、お客様がいたからこそステージに立てているという、お客様と共に歩んできた想いを込めた曲です。僕はデビューがミュージカルで、本番が終わったら(楽屋出の時に)お客様と握手をしたりして帰るのが伝統というか当たり前のことだったので、自分一人で活動している感覚が全くなくて、ファンの方への意識が強いんです。だから、どういう自分でいたら、楽しんでもらえるかというのをいつも考えています。この曲は、そんなお客様への感謝を伝えたいという気持ちで書いた新曲です」

コンサートのテーマカラーは「ターコイズグリーン」だそうですが。

「ターコイズグリーンには“情熱”という意味があり、夢を持ち、常にワクワクした気持ちを持ち続けたいという想い、を込めています。実際、24年間この世界にいて、仕事だと思ったことがなくて、好きでやっているという感覚があります。ノリさん(木梨憲武)や所ジョージさんが大好きなのですが、お二人のようにずっと楽しそうに、好きという情熱を持ちながらやり続けたいという、決意表明の気持ちもあります。また、板の上では全員同じという感覚から、バンドメンバーもパフォーマーも自分も同じカラーの衣装で揃えています」

山崎さんは学生時代、アメリカ留学でのダンスパーティーで、勇気を出してみんなの前で踊り出したというエピソードがありますが、あの時の精神は今でも大切にされているのでしょうか。

「そうですね。周りに止められても、躊躇することなく『行っちゃえ!』という、とにかく行動するという自分になったのは、あの出来事、あの瞬間が大きいですね。7年前にテレビの世界に飛び込むときも、周りからやめておいた方がいいよ、と言われると余計に挑戦してみたくなりました(笑)。男4人兄弟というのもあり、考え方が体育会系で、だいたいは気合いでどうにかなると思っているので(笑)。あの7年前の挑戦がきっかけとなって、今これだけミュージカル俳優がテレビでも活躍できる機会が増えたのだとしたら、一つ自分の思いが叶ったのかなと思います。次は違うステップに行きたい。それは何かと言うと、今この瞬間のパフォーマンスを全力でやるということ。僕は昔から『明日が来ないなら、今日はどうする?』ということの連続で何事も臨んできました。また、オリジナルのミュージカルの夢、ゼロから何かを生み出しそれがずっと残っていくというものを目指したいし、子どもたちがミュージカルを学べるような場所を作りたいという目標もあります」

素敵ですね。歌手としては、今後どのようなものを表現していきたいですか。

「やはり他のアーティストと違って、ミュージカルで生きてきた自分、役者をやっている自分だからこそ作れる世界があると思っています。例えばアルバム全体を通して、ミュージカルのサウンドトラックのように一つの物語になっているというような、全曲オリジナルのものを作り、これを舞台で、コンサートで表現する演出とは――というところまで考えながら楽曲作りをしていきたいです」

6月23日には「ロームシアター京都 メインホール」でのライブがありますが、京都の印象は?

「ドラマの撮影で何度もお邪魔しているし、兄が京都に住んでいたこともあったので、昔は兄を訪ねて来たことも。すごく落ち着く、品のある街でとても好きですし、この劇場もいつか立ってみたいと思っていたので楽しみにしています。大阪のフェスティバルホールで楽しまれた方も、日々進化しているツアーなので、ぜひいらして下さい!」

TEXT:小野寺亜紀
撮影: Rina Asahi

山崎育三郎 LIVE TOUR 2022
ーROUTE 36ー

<CAST>
■Starring
山崎育三郎
■Chorus&Dancers
小南竜平
鈴木サアヤ
高原紳輔
平山ひかる
■Band Menbers
宗本康兵(音楽監督 / ピアノ)
門馬由哉(ギター)
安達貴史(ベース)
前田雄吾(マニピュレーター / キーボード)
髭白健(ドラム)
竜馬(ヴァイオリン)
竹上良成(サックス)
吉澤達彦(トランペット)
■人形劇(映像) / 脚本
平 常 (たいら じょう)

※政府や自治体等の方針により急遽、開場時間・開演時間が変更になる場合がございます。予めご了承ください。

京都公演

日時:2022/06/23(木)18:30
会場:ロームシアター京都 メインホール
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