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【取材会・内覧会レポート】「鈴木敏夫とジブリ展」鈴木敏夫

2022/4/27

取材レポ

鈴木敏夫とジブリ展

スタジオジブリのキーマン・鈴木敏夫のルーツを辿る展覧会

4/23(土)~6/19(日)まで京都文化博物館で『鈴木敏夫とジブリ展』が開催される。鈴木敏夫は、雑誌『アニメージュ』の創刊メンバーとして副編集長・編集長を務めながら高畑勲・宮﨑駿作品の制作に関わり、1985年にはスタジオジブリの設立に参加。1989年にジブリ専従となってからはほぼすべての劇場作品をプロデュースしている、スタジオジブリを語る上で欠かせない存在だ。今回の展覧会では鈴木敏夫が読んできた“本”に注目し、8800冊の書籍を展示。鈴木が書籍からどのような影響を受け、どのように監督たちと向き合い、ジブリ作品をヒットに導いたのかの答えを探る。

展示は6つの章に分けられ、鈴木が生まれてから現在までの道のりを辿るような構成だ。幼少期、漫画雑誌や小説を読み漁った四畳半の部屋を再現したジオラマが目を引く第1章、学生運動に身を投じた慶応大学での生活という第2章までのインプット時代を経て、第3章では徳間書店で大ヒット雑誌『アニメージュ』をどのように育てていったのか、『風の谷のナウシカ』が生まれるきっかけと併せて知ることができる。第4章はついにスタジオジブリ時代に突入。今まで一度も公開されていないスタジオジブリの設立秘話、『となりのトトロ』から最新作までの宣伝方法や考え方、コンセプトワードなどがパネルで紹介され、まさに垂涎ものの内容に。第5章では個人で創作した書や、打ち合わせ時のなんとも味わい深い落書きなどを展示。そして最後は2022年の夏に74歳の誕生日を迎える鈴木が、これまでの人生で読んできた8800冊の書籍が一堂に会する圧巻の第6章。“れんが屋”と呼ばれる隠れ家をイメージした部屋にびっしりと並ぶ書籍を眺めていると、まるで鈴木の頭の中を覗いているような気分だ。

鈴木敏夫を迎えての取材会は、そんな膨大な書籍に囲まれた空間で開催された。本人が展示内容について希望を伝えたのは今回が初めてのことだという。「約70年間で読んできた本を1つの部屋に全部集めて、真ん中に立つというのがずっと夢だったので、今回実現できて幸せです」と、嬉しそうに語ってくれた。書庫の壁紙は鈴木が愛する詩人でありデザイナーのウィリアム・モリスの作品なのだとか。「若い頃から好きで、いつか部屋をウィリアム・モリスの壁紙で埋めてみたいと思っていました。でも高価なものなので、年齢を重ねてからようやく“れんが屋”で実現することができたんです。今回の展覧会ではさらに広い空間でできるということで、ワクワクしていました。ウィリアム・モリスの作品のテーマのひとつに“森”がありますが、森の中で本を読む”というイメージを実現できたのは嬉しいですね」。

書籍に囲まれた空間の真ん中にはカオナシ。

“言葉”を通じて人々の心を動かし、数々のジブリ作品をヒットに導いてきた鈴木だが、“人の心を動かす”ことよりも“楽しんでもらう”ことを重視しているという。「昔から映画のキャッチコピーや煽りを見るのが好きだったこともあり、僕自身がワクワクする言葉になるように心がけています。『千と千尋の神隠し』の特報を珍しく宮﨑駿と一緒に観たことがあって。そしたら彼、見終わった瞬間『面白そうだね』って言ったんですよ。自分で作っておいて何言ってんだ! と思いましたが(笑)、そんな風に一緒に楽しめるものを作ることができてこそ“成功”なんだと思うんですよね」と語ってくれたエピソードからは、鈴木敏夫がスタジオジブリのプロデューサーとしてどのように高畑勲、宮﨑駿と向き合い、作品の魅力を伝えてきたかの答えが垣間見える。
書籍をはじめ、たくさんのパネルや、鈴木直筆のスタジオジブリ作品の名セリフの書が立体作品として飾られるなど鈴木敏夫の感性や思考、そして“言葉”を堪能できる『鈴木敏夫とジブリ展』。トトロと一緒に写真が撮れるフォトスポットや湯婆婆と銭婆のおみくじなど見るだけでなく体験しながら楽しめる内容になっており、ぜひ子供から大人まで多くの人に訪れてほしい展覧会だ。

湯婆婆と銭婆はなんと「おみくじ」になっている。

内覧会にはカオナシも登場!

トトロと撮影できるスポットも。

TEXT:鷲野恭子(ヴエロ)
(c)TS (c)Studio Ghibli

鈴木敏夫とジブリ展

■会期
2022/04/23(土)~2022/06/19(日)

■開館時間
10:00~18:00(金曜は19:30まで)
※入館は閉館の30分前まで

■休館日
月曜日
※但し4/25(月)・5/2(月)は臨時開館

■会場
京都文化博物館

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