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【取材会レポート】「広島ジャンゴ2022」天海祐希&鈴木亮平

2022/3/16

取材レポ

広島弁満載、異色のウエスタン活劇!
「必ず自分と似た役柄が出てきます」

2020年の第27回読売演劇大賞で優秀演出家賞を受賞するなど、着実に人気と評価を高める劇作家・演出家の蓬莱竜太。待望の最新作は、過去に広島の演劇人と創作した作品を一新、現代に通じるフィクション・エンターテインメントとしてお届けする。ダブル主演には舞台初共演となる天海祐希&鈴木亮平。かねてより蓬莱作品に触れ「いつかご一緒できたら幸せ」と思っていた天海と、2019年の初タッグ以来「次もやるなら蓬莱さんと」と決めていたという鈴木亮平がリモート取材会で作品の見所を語った。

舞台は現代の広島の牡蠣工場。協調性のないシングルマザーのパートタイマー山本(天海祐希)に、シフト担当の木村(鈴木亮平)は手を焼いていた。ある日木村が目覚めると、そこはワンマンな町長(仲村トオル)が牛耳る西部の町「ヒロシマ」だった! 山本は子連れガンマンの「ジャンゴ」として現れ、木村はなぜかジャンゴの愛馬「ディカプリオ」として、わけもわからぬまま、ともにこの町の騒動に巻き込まれていく―――。

「普段の私とちょっと違う」と、今作でシングルマザー山本と凄腕のガンマンの2役を演じる天海祐希。「どちらも寡黙な感じの女性ですね。現代と西部劇で半分ずつ描かれているというか、全体を通してひとりの人間を表現できるのが面白い」。異なる世界観を行き来することで、物事の裏側や違う側面が垣間見える構成だ。「どの人間も一色ではないという部分が丁寧に描かれているので、必ず自分と似ているなと思える役柄が出てきます。皆がどうやって時代や環境と折り合いを付けていくのかには興味をそそられるし、納得できるものがある。嫌なことも出てきますが、最後に必ず希望があるので。そこがまた蓬莱さんらしい」と魅力を語る。

そんなヒロインの傍らに常に佇むのが、鈴木亮平演じる牡蠣工場のシフト担当木村と、ガンマンの愛馬(!)ディカプリオだ。「急に西部劇の世界に入って、戸惑いながらも色んなことを目撃していく。観客と同じ目線に立つ役」と鈴木。恵まれた体躯から、普段は強いキャラクターを求められがちだが、翻弄される役どころが楽しみと話す。「前回蓬莱さんに頂いた役も気弱なあまり色のない役だった。それが凄く嬉しくて。自分も人間なので、弱い面とか繊細だなと感じる部分もある。今回のように強くもなく弱くもない役柄で、なおかつ物語を回していくような人間を演じられるのは遣り甲斐もあり、燃えますね」。とはいえ、一方は馬の役である。「馬だからこそ見えるものがあったりするんです」と笑顔を見せつつ「木村は独身の男性で、山本さんの抱えている状況や背負っているものに想像が働かない。きっと色んな社会のことや人が抱えていることにも鈍感で。そんな無知な青年が色んなことに気付いていく、というのが大きな流れ。緩急を付けつつ、お客さんに楽しんで貰えるようリアリティを持って演じたい」と力を込める。

一見すると荒唐無稽な展開だが、不思議と現代に繋がる様々なメッセージが読み取れると改めて蓬莱作品の凄みを口にするふたり。「見ようによっては国家間の話に見えたり、家庭内の小さないさかいにも見えたり。事の中心部分を突くとこんな風にも見えるんだと、今更ながら蓬莱さんの脚本に驚愕しております」と天海。鈴木も脚本を読み「コミュニケーションの希薄さとかDV、労働環境、同調圧力」など様々な問題を想起したと明かす。「発端は『職場の飲み会に参加しないといけないのか?』が話のテーマだったのに、それが西部劇になり、次第にその問題に留まらない諸問題が浮かび上がってくる。そこで『どうすればよくなるのか』と何も知らない木村が一歩を踏み出す話なので。小さいのに大きな話。本当に演劇でしかできない世界がここにはあるなと。それらを余すところなく伝えられたらと思います」

取材・文:石橋法子
撮影:引地信彦

COCOON PRODUCTION 2022
広島ジャンゴ2022
 
 
■作・演出
蓬莱竜太
■出演
天海祐希、鈴木亮平
野村周平、中村ゆり、土居志央梨、芋生 悠、北 香那
辰巳智秋、本折最強さとし、江原パジャマ、川面千晶、エリザベス ・マリー、小野寺ずる、筑波竜一、木山廉彬、林 大貴
宮下今日子、池津祥子、藤井 隆
仲村トオル
■ミュージシャン
熊谷太輔(Dr) 河村博司(Gt)


日時:2022/05/06(金)~2022/05/16(月)≪全12回≫
会場:森ノ宮ピロティホール

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