2022/2/27
公演レポ
ミュージカル『カーテンズ』が2月26日、幕を開けた。
会見で城田は演出・主演を務めることについて「日々後悔(笑)。新作で両方を手がけるのは実に大変でした。台本も10回くらい直し、美術や演出の打ち合わせと並行しながら膨大な台詞量との戦いで、帰宅したらヘロヘロ。1月3日と今朝の体重を比べたら9キロ減りました。でもやり甲斐がありますし、新たな挑戦をすることでこの先もミュージカルシーンを盛り上げていきたいです」と意気込みを語った。ミュージカル初挑戦の菅井は「ついに挑戦できるという気持ち。今も夢じゃないかと思うくらいです。自分の実力の足りなさを痛感してトレーニングしてきましたが、お稽古では心を解放することすら難しいと思いました。皆さんを信じてスポンジになったつもりで日々吸収してきました。素敵なニキ・ハリスになれるよう全力で挑みます」、同じく初挑戦の三浦は「ワクワクとドキドキが止まりません。正直こんなに大変なんだなと。台詞をきっかけに音楽が始まる、音に合わせての振付などミュージカルならではの新しい刺激を勉強しました。先輩キャストは本当に上手くて化け物だなと思いますし、まだ自分は実力が足りないと実感していますが、一生懸命取り組みます」。城田はそんな二人を「本当によく頑張ってくれて、彼らは僕のモチベーションでもありました。公演中でも成長するでしょうから、千秋楽が楽しみです」とエールを送った。
まず幕開きから不穏だ。薄暗い空間に照明が一灯、大きく揺れている。その下に佇むキャストたち。ホラー?サスペンス?とドキドキしていると幕が閉じて、明るいオーバーチュアが始まった。再び幕が上がると、そこはボストンの劇場、新作ミュージカル「ロビン・フッド」の世界。〈Wide Open Spaces Opening / ここはカンザス〉が華やかに歌い踊られるが、主演女優ジェシカは台詞を忘れる、きっかけを間違えることで周りをハラハラさせてばかり。その割に偉そう〜と思っていたら、突然倒れ、運ばれてしまう。この新作でブロードウェイを目指しているが、新聞に乗った劇評はひどいのなんの。劇評に一喜一憂するプロデューサーのカルメン(原田薫)や演出家べリング(宮川浩)、作曲家アーロン(岸祐二)らが実にリアルだ。ジェシカが亡くなった知らせを受けて、カンパニーはパニックに。そこに現れたのが警部補フランク・チョフィ(城田優)。なんとジェシカは殺されたのだという。ミュージカルオタクでもあるチョフィは、捜査の傍ら「ロビン・フッド」の創作にたびたび口を出し、ともすれば本業より情熱的。どことなくミュージカルに熱い城田本人と重なるのが面白い。
カンパニーから逃げ出そうとする俳優たちを、Show Must Go Onだと説得する〈Show People / ショーピープル〉は見応えたっぷり。ブロードウェイの薫りたっぷりなこのビッグナンバーに隊列を組む振付を施し、インパクトの強い名シーンとして仕立てている。結局、元女優で作詞家でもあるジョージア(瀬奈じゅん)が代役を務めることに。ジョージアはアーロンとカップルだったが今は振付家ボビー(三浦翔平)とラブラブ。三浦は初ミュージカルながら、頭身を生かしてダンスあり、ソロ曲ありと大注目。チョフィは新人女優ニキ(菅井友香)に一目惚れ。菅井もしなやかなダンスで魅了、天然?でチャーミングなニキを好演している。カルメンは娘バンビ(中嶋紗希)とギクシャクして口喧嘩が絶えない。
複雑な人間模様の中、「ロビン・フッド」はブラッシュアップされていくが、同時に第2、第3の殺人が起こり、カンパニーの人々はお互い疑心暗鬼に。しかし捜査は意外な展開を迎える…。
舞台好きの人はバックステージものとして、トライアウトからブロードウェイを目指す人々の情熱に共感できることが多いだろう。母娘、夫婦、カップルと人間関係の綾も絶妙で、群像劇としても楽しめる。何より誰が犯人か、推理するワクワク感たるや。ネタバレ禁止の笑いどころもたっぷり。大いに笑ってハラハラして、明日からの元気をチャージしよう!
取材・文:三浦真紀
撮影:伊藤智美
ミュージカル「カーテンズ」
■出演
城田優、菅井友香(櫻坂46)、三浦翔平、原田薫、岸祐二、中嶋紗希、宮川浩、
瀬奈じゅん / 中西勝之、米本学仁、高橋卓士 / 井上花菜、小山侑紀、坂元宏旬、
竹内真里、茶谷健太、常住富大、伯鞘麗名、福田えり、堀江慎也、横山達夫
■原作
ピーター・ストーン
■脚本
ルパート・ホームズ
■作曲
ジョン・カンダ―
■作詞
フレッド・エッブ
■追加歌詞
ジョン・カンダ―&ルパート・ホームズ
■演出
城田優
■訳・訳詞
福田響志
日時:2022/03/18(金)~2022/03/22(火)≪全7回≫
会場:新歌舞伎座
>>公演詳細はこちら
公式HP:https://www.curtains-musical2022.jp twitter:@curtains2022