2022/1/31
インタビュー
浜村淳さんがユーモアたっぷりに語り尽くします!
『SINGIN' IN THE RAIN~雨に唄えば~』は過去に東京で10万人以上を動員。「うわさは届いてますよ」とさすがはエンタメ通の浜村淳さんが語ってくれました。
(プロフィール)浜村 淳さん
1935年、京都市生まれ。同志社大学文学部卒業。司会者、映画評論家。長寿ラジオ番組『ありがとう浜村淳です』『かんさい土曜ほっとタイム』を担当。機知に富む軽妙な“浜村節”は唯一無二。情感たっぷりに語る映画紹介はお家芸のひとつ。著書、受賞歴多数。
大阪では初めての「雨に唄えば」
14トンのどしゃぶりの雨の舞台は圧巻ですよ。
ジーン・ケリーの名作映画の記憶が鮮明に残っている人も多いでしょう。速いテンポでヴァイオリンを弾きながらタップを踊ったり。あまりにも素晴らしい歌と踊りに、当時は腰抜かすほどびっくりしたんです。こんなん神業違うかと。
どしゃぶりの雨の中で「♪シーンギン・インザ・レイーン~♪」と歌って歌って、踊って踊って名人芸を見せましたが、舞台でアダム・クーパーはあのシーンも再現。14トンの水を使って、上からザーザー雨が降って来て、水たまりを蹴るもんですから、前の席の観客はずぶぬれですよ。これが楽しい、最高のクライマックスです。
ダンス界のスーパースター!
アダム・クーパーの美しくも迫力ある踊りと歌声は、これが見納めらしいです。
天才・ジーン・ケリーの役を誰がやるのかと思ったら、アダム・クーパーがいましたね。5歳でタップを習い、16歳で英国ロイヤル・バレエ団に入り、ダンスファンからしたら神様みたいな存在です。映画『リトル・ダンサー』、黒鳥になって踊ったマシュー・ボーンの舞台『スワン・レイク』で世界的に有名になりました。バレエも踊る、ポピュラー曲も踊る、タップも踏む、ほっといたら河内音頭も踊るかもしれません。なんと彼は歌も上手いんです。最後と言わず彼もまだまだいけるでしょ。僕はタップよりドジばっかり踏んでますが(笑)。
陽気なアメリカ人らしい生きる希望に満ちた物語。業界の裏話も面白い!観劇は一生の思い出になる
アメリカの繁栄とアメリカ人の陽気な性格とがうまくコラボして、生きる素晴らしさを描く物語。苦しみ悲しみを忘れて歌って踊れば、そこから明るい希望が生まれると。映画が無声から発声へと移る境目の時代の話。無理難題をいう大女優がいたり、彼女の高飛車な鼻っ柱をへし折ってやろうと主人公たちが面白いアイデアを考えますね。映画もドラマも面白いし、しかしその裏話を描いていて、さらに面白いです。
舞台には生の魅力があります。アダム・クーパーという”神様”みたいなダンサーが目の前で激しく踊る、二度三度見ないと損だと思いますね。一生の思い出になると思います。
名作ミュージカル映画
ジーン・ケリー主演「雨に唄えば」の舞台化で最高傑作
「世界中のすべての人をハッピーに」をモットーに2012年、ロンドンの名門「パレス・シアター」で初演。連日満員の盛況ぶりで英国各紙で5つ星を獲得した決定版。10万人動員の過去2回の来日公演を経て遂に「初の大阪公演」が実現する。
アダム・クーパーの華麗なステップ圧倒的な“魅せる”舞台
ジーン・ケリーやフレッド・アステアに憧れ、目標としていたというアダム・クーパー。演者らもバレエ、タップ、フレンチカンカンなど多彩なステップを披露。さらにショーアップされた劇中劇としてのミュージカル場面は見応え満点。
どしゃぶりの雨、ダンサーたちが踊る名シーンと名曲の数々を堪能
映画ファンも観たい、聴きたい名場面が目白押し。舞台用にアレンジを効かせた演出、華やかで洗練された舞台美術や衣裳、躍動感溢れる振付と巧みなフォーメーションからなる群舞までミュージカルの醍醐味を存分に味わえる。
TEXT:石橋法子
アダム・クーパーが傘をさして唄いながら舞う姿は美しい夢を見ているようだ
舞台に14トンものどしゃ降りの雨が降りしきり、ダンス界のスーパースター、アダム・クーパーが傘をさして歌いながら華麗に舞う。靄がかかり、まるで美しい夢を見ているようだーー。2012年にクーパーが主演してロンドンで初演され、過去2回の東京公演では10万人以上を動員したミュージカル「SINGIN' IN THE RAIN~雨に唄えば~」がついに大阪にやって来る!
「雨に唄えば」といえば、ジーン・ケリーが歌って踊る、ハリウッド黄金期のミュージカルコメディ映画の名作としてあまりにも有名だ。今作は映画をベースに、数々の名シーンが新たな演出でよみがえる。クーパーは英国の名門ロイヤルバレエ団の元プリンシパル。長身の彫刻のような体躯からにじみ出る優雅さと品の良さがダンスの特徴だ。また、伸びやかで柔らかい美声の持ち主で、ミュージカル俳優としても活躍している。まさに天が二物を与えたといえよう。
物語の設定は1920年代のサイレント映画全盛期のハリウッド。クーパー演じる映画俳優のドンは、ひょんなことから駆け出しの女優キャシーと恋に落ちる。時代がトーキー映画に変わりつつある中、ドンは自分の新作のサイレント映画を、親友のコズモとキャシーでミュージカルに作り変えていく。
まず、ドンとコズモがバイオリンを使って軽快にタップダンスする「Fit As a Fiddle/調子は上々」にワクワクさせられる。映画でも有名な「Good Morning/グッド モーニング」は、ドンとコズモとキャシーがロングコートをなびかせながらタップやバレエ、フレンチカンカンなどを踊りまくる。公園のベンチを3人でひっくり返すシーンは、ソファーをひっくり返す映画版と同じでオマージュだろう。クーパーはケリーやフレッド・アステアを目標にしていて、振付はクーパーもアイデアを出し、彼の体に合わせて作られているそうだ。
そして、舞台に雷が響き渡れば、お待ちかねのハイライトシーン「SINGIN' IN THE RAIN/雨に唄えば」だ。映画版のケリーは「憂鬱な雨をあんなに楽しいシーンに変えた人はいなかった」と言われている。舞台では大量の雨がクーパーの体を激しくたたくが、声量やダンスの質は決して落ちることがない。クーパーがいたずらっ子みたいにステップで水しぶきをまき散らすのが最高に楽しくて、幻想的で何回でも見たくなる。
憂鬱なコロナ禍の世を、歌と踊りと雨が跳ね返してくれそうだ。幸せな気分はアンコールが終わっても続く。クーパーは「皆、困難な世の中を生き抜いてきたことを(劇場で)祝ってほしい」とコメントを寄せている。そんなご褒美のような体験になるはず。〝幸福の雨〟が心にも降り注ぎ、いつまでもやまない作品だ。
TEXT:米満ゆうこ
SINGIN' IN THE RAIN ~雨に唄えば〜
■演出
ジョナサン・チャーチ
■振付
アンドリュー・ライト
■出演
アダム・クーパー 他
Story
1920年代のハリウッド。隆盛を誇るサイレント映画だが、次第にトーキー(音声付き)映画の波が押し寄せる。スター俳優のドンは表向きはカップルを装う大女優リナが悪声だったため新作のトーキー映画は大不評。起死回生を狙い親友の作曲家コズモと若手女優キャシーとの3人でミュージカル化を思いつくが、リナの声をどうするかが問題となり……。
■日時
2022/02/18(金)~2022/02/21(月)≪全5回≫
■会場
オリックス劇場
公演詳細
https://kyodo-osaka.co.jp/search/detail/3660