2022/1/27
取材レポ
――2年ぶり、満を持しての上演になります。
福士 この2年間で様々なことを経験してきたので、ようやくできる喜びも噛みしめながら、その成果を発揮したいと思います。迫力満点のダンスや殺陣、歌などを楽しんでもらいたいです。
宮野 同じキャストでできるのは奇跡。思いっきり楽しいものを作ろうという気合いがマックスなのでワクワクしています。
いのうえ 昨年上演したいのうえ歌舞伎「狐晴明九尾狩」は優等生でオーソドックス。今回はそれに反して、うるさい、やかましい、しつこいというような作品です(笑)。生バンドは入らないんですが、相当音楽が出てくるお芝居です。お二人とは過去に僕の演出で、セリフ量も莫大で濃厚な芝居をやったんです。その経験を経て、二人の芝居は相当変わってきていて自信にもなっている。必ずいい結果で今回に出てくると思いますね。
――福士さんと宮野さんはバディの役柄です。
福士 宮野さんは何をしても許してくれて、横にいると本当に自由になれます。羽が生えて飛んでいきそうなので、つかんでいただいて、頑張りたいと思います。親しい宮野さんがバディでうれしいです。
宮野 幸か不幸かさらに親しくなれたのは、2年前に上演できなかったから、その間気持ちを高め合ってこられたからです。福士君の印象はストイックで自分のパフォーマンスに向き合っている子だなと。リスペクトが大きかったんですが、付き合っていく中でこれはおかしいぞと(笑)。ストイックだけじゃなくて、すごくお茶目。僕に甘えすぎやしないか、というのが今回のお芝居に反映できる。すごく面白いバディになると思います。
――二人の役柄はあて書きだそうですね。
宮野 挑戦する部分もありますが、僕が演じる草臥は色んなことに口を出しておせっかいを焼きながら銭を稼ぐという、口出し屋というオリジナルの職業。それはやはり、僕の普段のエネルギーの出し方を見てくださったのかと。僕は声優を生業としているので、その声でどう表現するかも入れてくださって。変幻自在な感じを出せたらいいなと思っています。
福士 僕は秋津永流というお医者さんの役で、心が真っすぐなキャラクターです。でも、真っすぐなだけではなく、陰があるような印象も受けます。中島(かずき)さんには10年以上前からお世話になっていますが、僕の中に何かを見出してくださったのかもしれません。
いのうえ 二人がガチャガチャやりながら、髙嶋政宏さんと松雪泰子さんが演じる大ボスの変態夫婦に向かっていくという話です(笑)。この夫婦は相当強烈でギトギトしていますが、相手が変であれば変であるほど、二人が生きてくる。秋津の陰の部分が主軸になり「ええっ!そうなの?」と半笑いしながら驚くみたいな。でも情報量が多すぎるんで、お客さんは全部拾わなくてもいい(笑)。楽しんでひっかかれば、後で戯曲を買って読み返してください(笑)。一回じゃ入らないと思うので、何度でも舞台を観てほしいですね。
――2020年の上演延期によって、福士さんと宮野さんが得たものは?
福士 僕は早乙女太一さんたちと殺陣の練習をしたりして、この2年間でお芝居をより好きになりました。台本を読んでどう演じようかと考えるのがすごく楽しくなって。それをアウトプットできたらと思います。宮野さんは?(笑)
宮野 お前が聞くんかい(笑)。芝居やブロードウェイミュージカルをやって、自分の役者としてのレパートリーが増えました。今回、経験したことが生かされ、パワーアップした僕らで挑めるのは大きいですね。
いのうえ マモ(宮野)が出ていたミュージカルを見て、「なんだマモ、ミュージカル俳優みてえじゃん」と。
宮野 「みてえじゃん」じゃないです、やってるんです!(笑)。
いのうえ じゃあ、「神州無頼街」で生かさない方法はない。
――お二人は過去に新感線の舞台に出ていますが、改めて魅力は何でしょう。
福士 僕は24歳のときに、はじめていのうえさんの演出を受けました。舞台の経験がなく右も左もわからなかった僕ですが、いのうえさんのおかげで乗り越えることができました。宮野さんは?
宮野 福士さん、ありがとうございます(笑)。僕は血反吐を吐くってこういうことかと。これまで舞台の経験はあったんですが、血反吐を吐いたことはなくて(笑)。新感線の舞台は体力的にもきついというのもあるんですが、命を削って命のまま芝居をすることを学びました。声がどうとか関係なくて、ただただ生きるために頑張るみたいな。それを実体験できるのは大きくて、声優の仕事にも活きています。
――福士さんと宮野さんは本当に仲良しですね。その理由は?
福士 何なんでしょう。この顔ですかね(笑)。
宮野 そうそう、顔がね面白いんで。バカ野郎(笑)。
福士 何を言っても応えてくれる。舞台のどこでアドリブを入れようか本当に楽しみです(笑)。
宮野 やめて、それはいのうえさんも困るから(笑)。
いのうえ ただでさえ「切れ、延ばすな」と言われてるのにね(笑)。
――最後にメッセージをお願いいたします。
いのうえ 久しぶりにうるさい、やかましい、しつこい新感線なんで、お祭り好きな関西人には思いっきり楽しんでいただきたい。声は出せないかもしれないけど、祭りに参加してください。
宮野 皆で一緒に気を付けて、エンターテインメントを止めずにいけたら、辛い状況下でも幸せな時間を過ごしてもらえると思います。一緒に頑張って楽しんでいただけたら。
福士 皆様に楽しんでいただけるよう、全身全霊でぶつかり、裸になって見せていきたいです。
宮野 裸になるそうですよ(笑)。
福士 いつも裸になるのは宮野さんの前だけです。
宮野 語弊があるけど(笑)。
福士 気持ちの問題です(笑)。関西の皆さまにその気持ちが伝わればと思っています!
TEXT 米満ゆうこ
2022年劇団☆新感線 42周年興行・春公演
いのうえ歌舞伎『神州無頼街』
■作
中島かずき
■演出
いのうえひでのり
■出演
福士蒼汰
松雪泰子 髙嶋政宏
粟根まこと 木村了 清水葉月
宮野真守
日時:2022/03/17(木)~2022/03/29(火)≪全15回≫
会場:オリックス劇場
金額:
S席 ¥15,800
A席 ¥7,800
ヤングチケット ¥2,200
公演詳細はコチラ