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ジャンルレスに集まった中毒性のある4組が競演!『ODDL PARTY ーオドル パーティー』ライブレポート

2021/8/19

公演レポ

『ODDL PARTY ーオドル パーティー』ジャンルレスに集まった中毒性のある4組、マハラージャン、さとうもか、ぜったくん、ASOBOiSMが競演!

“普通じゃない”、“奇妙な”という意味を持つ“ODD”がキーワードの踊れるイベント、『ODDL PARTY ーオドル パーティー』が8月5日に心斎橋JANUSで開催された。

8月に入って連日35度を超える猛烈な暑さが続き、午後からは局地的な雷雨もありそうな予報を耳にしていたが、それ以上に高まる好奇心に駆られて現場に到着する。頭上にミラーボールが輝き、開演前から電気グルーヴやジャミロクワイなど、時代を超えるダンスチューンが流れていたスタンディングフロア。新型コロナウィルスの感染拡大防止対策が施され、まだ以前と同じようにはできないこともあるが、ここに居るみんなのワクワク感はマスク越しでもひしひしと伝わってきた。

この日のトップバッターは白いTシャツにキャップを被って軽やかに現れたぜったくん。『Man Say Bien』から明るい雰囲気で始まり、「オーサカ、楽しみましょう!」と声をかけて、初めての人も馴染みやすい印象だ。

ラップと歌メロが合わさるスタイルで、リリックやMCにも等身大の日常が感じられる。ステージはコーラス(キミカ)とMPC(コーニー)を含む三人体制で進行。「渋谷のラブホテルでバイトしてた時の曲」という『Night SHiFTER』では軽く跳ねるようにして歌い、さとうもかが客演している『sleep sleep』では本人を呼び込んでデュエットを披露。

心の中で思いを寄せる人と“夢で会えたら”と願うライトなラブソングに二人の歌声がバッチリハマっている。中盤に披露された最新曲『味噌つけてキュウリ食べたい』は一度聴くだけで耳に残る2021年のサマーソング。ユーモラスな語感とも相まって、つい口ずさんでしまうような人懐っこいナンバーだ。つづく『温泉街』では大阪のラッパー・Ko-Keiが加勢して熱い掛け合いで沸かせた。

ラストはデビューシングル曲『Catch me Flag!!?』でグルーヴィーに飛ばす。「ちょっと運動しましょう!」とフロアを煽ってジャンピングやクラップを促し、キャッチーなダンスチューンで場内を気持ちよく揺らしていった。8月6日には「Strings Live Sessions EP」を配信リリースするなど、様々な試みにチャレンジしている彼に今後も要注目だ。

続いてのアクトは、「戸塚という小さな街からやってきたASOBOiSMです。よろしく!」と元気に挨拶してスタート。「あそぼうぜ~!」と声を上げて、MARMEROのDJをバックに早口のラップでキレ良くのせていく。

この日は2年ぶりの大阪とのことで、ライブができることに感謝しつつ、「大阪あったかい」「タクシー運転手に飴ちゃんをもらった」と嬉しそうに口にしていた。OLをしてきた経験からプライドの高い人たちのことを書いた『PRIDE』ではフロアにクラップが広がり、自身も飛び跳ねるように躍動感溢れる動きで場内の温度をグングン上げていく。

中盤にはR&Bバラードの『Uwagaki』やチルヒップホップの『ROOM205』も交えて、少しクールダウン。MCでも曲に込めた思いを説明していた新曲『いいやつ』は自分の意見を言えない“いいやつ”に向けて書かれたキャッチーなナンバーだ。

歌い終わって発していた「明日から少しでも悪いやつになっていきましょう!」という言葉は、“いい人になってストレスを溜めないで、もっと自分らしくいて”というメッセージにも感じられた。そして、「最後は夏っぽく締めたい!」とアッパーな『UCHOTEN』でラップと共に伸びやかなボーカルを自在に聴かせて、エナジー満タンの生き生きとしたパフォーマンスで魅了した。

次にギターを抱えて登場したのは、先ほどぜったくんの『sleep sleep』で一緒に歌っていたさとうもか。ガーリーな雰囲気だが甘くない、媚びない歌唱が特徴的。

フレンチポップを思わせる一曲目の恋の歌『オレンジ』は不意に聴かせる裏声にドキッとさせられる。「すごく久しぶりに大阪にきて、こんな景色を見たのは本当にいつぶりだろうか?って思っています…」と観客を前にライブができる幸せを噛み締めるように言葉にして、「あ、なんかヤバい音鳴りそう…」と何かが割れる音と共に歌い出した『Destruction』では一転してエモーショナルで切ない歌唱が胸に迫ってきた。

身の回りの些細な出来事を交えて、曲ごとに入れるMCも独特で、知らぬ間に引き込まれていく。切なげなファルセットが映える『愛ゆえに』は唯一のギター弾き語りで聴かせたオルタナ色が強い異色のバラードで、観客もじっと聴き入っていた。

そして、ラストは『Glints』をハンドマイクでリズミカルに歌って華やかに盛り上げた。途中のMCで、「この1年ぐらい全然楽しくない、自分のことも嫌いになって、めっちゃネガティブだった」と言いつつ、「昨日髪を切ったら、蓄積した悩みがポンっと無くなってすごく元気になった。これから頑張っていこうと思います!」と笑顔で宣言していた彼女。夏以降に新たな動きを見せてくれそうだ。
 

トリを飾るマハラージャンは頭に巻いたトレードマークのターバンに夏らしいカラフルな柄の衣装がインパクト大!今年の3月にメジャーデビューを果たし、7月21日に完全生産限定盤CDでリリースされたメジャー・デビュー・アルバム『僕のスピな☆ムン太郎』を提げて、有観客ではこの日が記念すべきメジャー初ライブとなる。

「オーサカ~!」と声を上げ、手を振りながら登場!この日のアクトでは唯一のフルバンドと共にのっけからパワー全開!『いいことがしたい』『地獄Part2』と冒頭からファンキーかつグルーヴィーに攻めてゆき、会場から一際盛大な拍手が沸き起こった。

東京出身だが大阪の堺に住んでいたことがあり、“なかもず王子”と呼ばれていたそうだが、何か込み上げてくるような素振りを見せつつ、「涙は出ないけど、声は枯れました…」と言って笑いを誘う場面も。その後、『僕のスピな人』では“スピってスピってスピって”のリフレインに乗ってさらにヒートアップ。中盤にはソウルフルなバラード『eden』をエモーショナルに歌い上げた。

そして「最後2曲、めっちゃ楽しみましょう!」と煽って終盤に突入。イントロからフィーチャーされていたキーボードをはじめ、バンドアンサンブルがさらに迫力増す『示談』では生バンドの素晴らしさを存分に体感させてくれた。

フィナーレとなったのは、この日一番のファンキーなダンスチューン『セーラ☆ムン太郎』。

観客も両手を上げ、自由に体を揺らして一体化する光景が広がっていった。声が出せない代わりに、みんなの思いがより暖かく熱く込められた大拍手に包まれて何度も「ありがとう!」と叫んでいたマハラージャン。一旦、ステージから消えるも、鳴り止まない拍手に答えて再登場。

「初ライブでアンコールがあると思っていませんでした」と感激している様子で、「涙は出ないんですよ。こんな芸人いますよね…」とはにかみつつ、「僕はまた皆さんの前に来ます。ありがとう!」と力強く再来を約束する。こうして、キョーレツな存在感を目に心に焼き付けて、真夏のダンスフロアと化した“ODD”なパーティーは大団円となった。

“摩訶不思議で中毒性がある”と銘打ったイベントに相応しく、一筋縄ではいかない4者4様の個性が炸裂した一夜。『ODDL PARTY』の第二弾もぜひ開催してほしいものだ!

Text by エイミー野中
Photo by NOBUYA FUKE

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