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TEAM NACSの3年ぶりの本公演『マスターピース~傑作を君に~』が大阪で開幕!

2021/4/6

公演レポ

TEAM NACS 第17回公演「マスターピース~傑作を君に~」

2021年に結成25周年を迎えたTEAM NACSの本公演、第17回公演『マスターピース~傑作を君に~』が4月5日、大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WWホールで幕を開けた。


3年ぶりの本公演。脚本を手掛けたのは、ナイロン100℃の劇団員であり、劇団「ブルドッキングヘッドロック」主宰の喜安浩平。演出は、2015年の第15回公演『悪童』以来、2作目となる「ジョビジョバ」のマギーだ。
 

昭和27年、真冬の熱海の温泉宿を舞台に、新作映画の脚本執筆のために泊まり込みで原稿と向き合うシナリオライターたちを描いたワンシチュエーションコメディーで、まだ見ぬ傑作【マスターピース】を求め、5人の男たちが悪戦苦闘する姿を笑いどころたっぷりに展開する。百戦錬磨の彼らだが、時に力技で乗り切っているようにも見える場面もあり、どっという笑いと拍手が幾度となく沸き起こった。

物語の時代背景を少し掘り下げると、昭和27年、日本では4月にGHQが解体され、主権が回復した。まだまだ世の中は戦後の混乱の渦中にあり、戦争の傷跡も記憶も生々しく残っていたことだろう。

 
舞台にいるのは、そんな時代を生きた映画人たちだ。最高傑作を生みだそうと七転八倒している姿や、本人はいたって真面目、だがはたから見ると滑稽な姿に吹き出しながらも、ふと時代背景が脳裏をよぎる。彼らは戦火をくぐり抜け、焦土と化したこの国で、映画をはじめ文化の灯を絶やすまいと、戦後はGHQの検閲を逃れながら、命を削って日夜シナリオに向き合っている…。そんなことを考えるうち、彼らのひたむきな思いに胸が張り裂けそうになり、セリフの一つ一つに思わず涙がこみあげてくる。一人一人のことがたまらなく愛おしく思えるのだった。

泣き笑いが詰まった、上質で王道な喜劇はあっという間に終演を迎え、蝉時雨のような拍手が会場に響く。この拍手もまた、舞台を完成させる大切な要素だと改めて実感する。そして開幕を待ち望んでいた観客たちの思いも感じて、またしても胸が熱くなる。
 

大阪公演を終えると、TEAM NACSの一座は広島へと向かう。今回は全国11都市を巡る長い旅だ。どこかの町でも、あの5人の映画人たちは【マスターピース】を生み出そうとドタバタとやるのだろう。またいつか、彼らに会えるだろうか。早くも会いたい。舞台の上で命が吹き込まれた彼らを、すっかり好きになってしまった。

取材・文 岩本和子

TEAM NACS 第17回公演
マスターピース~傑作を君に~

■脚本
喜安浩平
■演出
マギー
■出演
TEAM NACS
(森崎博之、安田顕、戸次重幸、大泉洋、音尾琢真)




大阪公演情報

日時:2021/04/05(月)~2021/04/11(日)≪全8回≫
会場:COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール
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オフィシャルサイト

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