2021/3/27
インタビュー
1965年、『君に涙とほほえみを』でのデビューから常に第一線を走り続けてきた布施にとって55年というキャリアへの思いとは?
「55年。曲がり角でもなんでもなく、すっと通り過ぎるものだと思っていたのですが、コロナ禍を経験し、ちょっと自分のルーツを見つめ直そうという気持ちが芽生えてから、いろいろやりたいことが出てきました。今一度、洋楽ポップスで生きてきた僕の歌をみなさんに聴いていただきたいなと。自分がそういった音楽性に立ち返ることで、ロックやポップスで頑張っている若い人たちの背中を少しでも押せたらいいなと思っています」
2020年9月12日から始まった55thツアーでは、往年のヒット曲だけでなく洋邦問わず幅広いジャンルの楽曲を聴かせるセットリストが見ものだが、特にツアーファイナルとなる東名阪では、ここでしか見られない演出が盛りだくさんとなっている。
「曲目は、まだ見直している段階なんですけど、一つお教えできるのは、ファイナルの3日間ではブラスが入るので、僕がデビュー当時にお世話になっていたビッグバンド風のアレンジで歌を聴いていただけます。音楽を通してさまざまな景色をお届けし、終演後には、みなさんがそれぞれ自分の物語を思い描いて、その主役になって帰路につけるようなコンサートにしたいですね。」
東名阪の会場では555セット限定で55周年記念のCD+DVDボックス・セットを販売。最新技術を駆使した新たな試みや貴重音源も収録されるなど、聴き応え抜群の内容となっている。
「CD2枚にDVD2枚、それに友人が僕の歴史をモチーフに書いてくれた小説本も付くというボリュームたっぷりなセットになっています。新曲では、尊敬するザ・ピーナッツさんの『恋のバカンス』、植木等さんの『花と小父さん』からボーカル音源を抜き出し、新たなアレンジでデュエットさせていただくというコラボレーションが実現しました。他には、『君は薔薇より美しい』がツアーファイナルと同じフルオーケストラの演奏によるバージョンで、そして、僕と藤野浩一さんが日本の応援歌にということで作った『まほろばの国』が収録されています。ジャズやクラシックの名曲もたくさん入っているので、ただヒット曲を並べただけのベスト盤ではない、このボックスだけの趣向を楽しんでいただけると思います」
コロナ禍を経て、自らのルーツだけでなく、歌うことの意味についても改めて考えたという布施。ツアータイトルの通り、まさに太陽のようなまぶしい歌声で、今後も音楽シーンを駆け抜けていくことが期待される。
「2020年、思うように動けなかった中で感じたのは、これまでみなさんからいただいた応援や激励に対する感謝の気持ちをどうやって返していこうかなということ。その気持ちをしっかり訴えかけられる歌い手でいるにはどうすればいいのか、常に考えています。今回、大阪フェスティバルホールの公演でも、その訴えかけたものがずっと心の隅に残るステージを作りたいと思います。コロナで落ち込んだ気持ちを、もう一度、歌で引き上げられるよう、一生懸命歌います!」
TEXT:伊東孝晃
AKIRA FUSE 55th ANNIVERSARY LIVE TOUR
~陽はまた君を照らすよ~FINAL SPECIAL!!
2021/04/27(火)17:30
フェスティバルホール
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