2021/3/19
インタビュー
――辻井さんと音楽との出会いについてお聞きしたいのですが、ピアノは1才5ヵ月で始められたとのことで、どのようなところに惹かれましたか?
最初は完全におもちゃ代わりでしたね。母によると他のおもちゃには興味を示さず、1日中弾いていたようです。実はバイオリンも4歳から小学2年生ぐらいまでやっていたのですが、両方やるのはきついと思って。どっちにしようか迷った結果、1台でいろいろな音色が出せて表現の幅が広いピアノを選びました。
――ステージでの演奏もかなり早くから行われていますが、こちらも最初から楽しまれて?
人前で演奏するのは小さい頃から大好きです。普段の練習も楽しいけど、やっぱり本番はいちばん燃えますね。練習の成果を本番でしっかり出せて、お客様からの拍手をいただくと、また頑張ろうという励みになります。
――お気に入りの作曲家は?
ショパンやベートーベン、リスト、ドビュッシー、ラベル…フランス印象派の作品も好きですね。好きな人が多くて、なかなか選ぶのは難しいです(笑)
――生後8ヵ月でショパンの『英雄ポロネーズ』のCDに反応して喜ばれていたというエピソードが有名ですが、やはりショパンには特別な思い入れが?
ショパンはピアニストにとって憧れの作曲家なので、僕も小さい頃から好きですね。高校生の頃には、『ショパンの生まれたところで弾いてみたい!』という気持ちで、ショパンコンクールというポーランドで5年に一度開かれる大きなコンクールに参加しました。
――普段はどんな音楽を聴かれていますか?
クラシックはもちろん、ジャズやポップス、演歌も好きです。たまに友人とカラオケに行ったりもしますよ。
――演歌も!ちなみに歌手で好きな方は?
氷川きよしさんが好きですね。特に「きよしのズンドコ節」がお気に入りで、よく聴いています。
――今後の目標や挑戦したいことは?
ピアニストとして、もっとレパートリーを増やして、いろいろな作曲家の曲を演奏したいです。作曲の方も今、少しずつ映画音楽やテレビドラマなどのお仕事をいただいているので、もっと頑張りたいですね。将来的にはオーケストラと演奏するようなピアノ協奏曲も書いてみたいです。
――4月には神戸、京都で行われるコンサート『THE PIANIST!』に出演されます。今回の公演の見どころは?
加古隆さん、レ・フレールさん、僕という、普段のコンサートでは見られない3組が集まり、それぞれ違ったピアノで演奏するのが魅力です。この3組では以前にも共演しているんですけど、久しぶりの再会なのでとても楽しみにしています。
――辻井さんから見た共演者の魅力を教えてください。まずは加古さんから。
加古さんは独自の世界観で素晴らしい曲をたくさん書かれています。僕も作曲面で『左手を使わずに右手だけで作曲してみたら? 和音に頼らずメロディーを考えることが重要だよ』とアドバイスをいただき、とても勉強になりました。
――レ・フレールさんはいかがですか。
兄弟お2人の連弾で奏でるブギウギを初めて聴いたときは衝撃でした。初共演の時に自分のステージでも即興でブギウギを弾いたら、それを聴いて『じゃあアンコールで一緒にやってみない?』と共演に誘ってくださって。お2人に挟まれて、僕も立って演奏したり、普段、クラシックではやらないことにも挑戦して非常にノリノリでした。
――辻井さんは今回、演奏予定曲にリストの「ラ・カンパネラ」を挙げられています。この曲への思い入れは?
ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールでも弾いたし、アンコールでもたびたび弾いている大好きな曲です。リストの作品には、よく超絶技巧が用いられるのですが、この曲もかなり跳躍が多いので、手元にも注目して聴いていただけたら面白いかと思います。
――関西は公演で来られることも多いと思いますが、どのような印象をお持ちですか?
公演場所で地元の名物を食べるのが好きなのですが、たこ焼きやお好み焼きが本当においしいですね。お客様も気さくに声をかけてくださって、ノリも明るいし、温かいイメージがあります。
――最後に今回、京都と神戸の公演に来られるお客様に向けてのメッセージをお願いいたします。
この公演では、三者三様、違った音色、違ったピアノで演奏し、それぞれの個性をたっぷりと楽しんでいただけると思います。会場でお会いできるのを楽しみにしています!
TEXT:伊東孝晃
辻井伸行×加古隆×レ・フレール
「THE PIANIST!」
■2021/04/14(水)19:00
神戸国際会館こくさいホール
■2021/04/15(木)19:00
京都コンサートホール 大ホール
演奏予定曲目
■辻󠄀井伸行 : リスト:ラ・カンパネラ 他
■加古 隆 : パリは燃えているか 他
■レ・フレ-ル : Boogie back to YOKOSUKA 他