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【インタビュー】「ワンダー3 ~小痴楽・昇々・宮治の落語」春風亭昇々

2020/10/6

インタビュー

ワンダー3 ~小痴楽・昇々・宮治の落語

個性が違う東京の若手落語家3人の競演が大阪で実現

東京で若手のブームを巻き起こし、大きな注目を集めながら、昨年解散した落語芸術協会所属の「二ツ目」の落語家と講談師の11人のユニット「成金」。そのメンバーの中でも実力と人気を兼ね備える柳亭小痴楽、春風亭昇々、桂宮治の3人が大阪に集結。新型コロナウイルスの影響で、6月の開催が延期となっていた、ホールでは初となる3人会「ワンダー3」が10/15に実現する。青春時代を関西で過ごした昇々に、自身のことやこの会の見どころについてたっぷり話を伺った。


「僕は千葉県出身ですが、憧れて関西学院大学に入学したので4年間、関西で生活しました。大阪が好きでホームと思っています。新大阪駅に着くと、戻ってきた感じがします(笑)。所属した落語研究会では毎日、落語漬けの日々を送っていました。大学卒業後はお笑い的なことをやりたいと思っていましたが、進路を決めてなくて。たまたま勧められて聴いたうちの師匠・春風亭昇太の古典落語がマクラから面白くて、師匠の落語を聴きだして。『落語家になりたい』プラス『この人の弟子になりたい』と思って、大学4年の冬に東京の寄席・新宿末廣亭に弟子入り志願に行きました」

 
大学を卒業後、2007年3月に春風亭昇太に入門。新作落語の旗手でもある昇太からは毎月1本、新作を作ることが課せられた。


「これまで新作だけで100本くらい作っています。落語を創るのが好きなんですね。受けなくて捨てたのもいっぱいあります(笑) でも、新作を創ることで古典を自分なりにアレンジできると思います」
 

東京の落語界ではキャリアや実力、人気が認められ、前座から二ツ目、真打へと昇進していく。小痴楽は昨年9月に真打に昇進。桂宮治は来年2月、昇々は来年5月に真打に昇進する。

「本来、二ツ目だろうが真打だろうがやることは変わらないんですけど、世間的に見て、『真打になって一人前』というのがあるんで。どっしり構えて、ちゃんと説得力のある落語をやっていかないといけないと思います。気が引き締まります。小痴楽兄さんは落語家の二世で、本格古典派です。根っからの江戸落語。宮治さんは古典落語をするんですけど、『宮治色』に染める。アドリブも利かせるし、自分がおもしろいなと思ったことも入れたりする。同じ古典でも小痴楽兄さんと宮治さんは全然違うんですよ。僕は古典もやるんですけど、新作落語もやる。自分で創ってやるのをメインにしています。だから3人は全然違いますね。小痴楽兄さんはクラシック、宮治さんはジャズ、僕はボサノバです(笑)」


「二ツ目」であることが前提の「成金」は小痴楽の真打昇進で「成金」としての活動を終えた。講談師の神田松之丞は引っ張りだこの人気となり、小痴楽、宮治、昇々らも活躍の場を広げている。


「『成金』のメンバーは、いまだに気になります。負けないようにと思います。特にこの2人(小痴楽、宮治)なんかもそうですね。この中で個性を出すとすれば、自分は新作なので今回は新作をしようかなという気持ちがあります。あとは僕には『大阪でやる!』という強みがあります(笑)」
 

コロナ禍は落語界にも大きな影響を及ぼした。公演の中止や延期が続き、配信などこれまでとは違う動きも増えてきた。

 
「3月頭くらいから仕事が減り始め、そのあとは仕事が全くなくなりました。7月に寄席が始まったんですが、まだやる機会が少なくて。大阪でできるとは思っていませんでした。ネット配信などもやりましたが、空気感が伝わらない。それでもやっていくしかないんですが。改めて、お客さんと落語家みんなでその場を作るのが落語会だなと思いました。お客さんの前でできるのは今まで当たり前だったけど、ありがたいことなんだなと身に染みて思いました。『ワンダー3』も定期的に続けていきたいです!」

 
TEXT:日高美恵


★ INFORMATION

ワンダー3 ~小痴楽・昇々・宮治の落語

2020/10/15(木)18:30
松下IMPホール
公演詳細はこちら

【出演者プロフィール】

柳亭小痴楽(りゅうてい・こちらく)
1988年、東京都生まれ。2005年に桂平治に入門し、「ち太郎」。その後、父である五代目柳亭痴楽門下へ移り、父の没後は柳亭楽輔門下。2009年、二ツ目に昇進し、小痴楽。2019年9月に真打昇進。 

春風亭昇々(しゅんぷうてい・しょうしょう)
1984年、千葉県生まれ。2007年、春風亭昇太に入門し、昇々。2011年、二ツ目に昇進。2021年5月に真打昇進予定。

桂宮治(かつら・みやじ)
1976年、東京都生まれ。2008年、桂伸治に入門し、宮治。2012年、二ツ目に昇進。2021年2月に真打昇進予定。

 

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