詳細検索
  1. ホーム
  2. KEPオンライン
  3. SUPERSONIC 注目の出演者をピックアップ!〈洋楽コラム特別編〉
詳細検索

KEP ONLINE Online Magazine

SUPERSONIC 注目の出演者をピックアップ!〈洋楽コラム特別編〉

2020/6/24

その他

新たな時代のライブフェスの特別感が満載

今年限定で開催される「SUPERSONIC」は、新型コロナウイルス感染症をにらみながらの「ウィズコロナ」「ポストコロナ」の中で、世界的に新時代の大規模音楽フェスの楽しみ方を示してくれそうだ。国内外のアーティストによるフェス自体を渇望しているファンたちも多く、実に待ち遠しい。ラインナップも充実していて、歴史を重ねる「SUMMER SONIC」の兄弟フェスとして盛り上がってほしいとも思う。


他人を攻めてしまうのに、実際は繊細な現代人のインナー世界に突き刺さってくるようなUKオルタナティブ・ロックバンド「The 1975」には期待が膨らむ。ボブ・ディランらにも通じるビート派の詩人への共感が底辺に流れる。2013年のデビューアルバム、16年の2作目と順調に英国で1位に輝いた。40年以上洋楽を聞いてきた筆者には、サウンドの中にU2的なギター音やパンク的なドラム音も聞こえてきて、しびれる。「Somebody Else」のような曲には、癒しの効果もある。傷ついた心は天上にまで引き上げられて慰撫されていく。相次ぐ外出の自粛で圧縮された心が、彼らのサウンドに触れる時、きっと解放感を得ながらも音楽のヒーリング力を痛感するのではないかと思うのだ。

The 1975

毒舌の総本家、何ものにも怖がることを知らない男もやってくる。ブリットポップの代名詞、元オアシスのリアム・ギャラガー。今の時代、多くの人々が、人との密接な接触を恐れてびくびくしている。恐怖の蔓延だ。人々とのつながりが薄らぐ中で、この人が相変わらずの奔放な存在として、名曲の数々を演奏してくれるとなれば、こんなに心強いことはない。1990年以降、カリスマ性を独り占めし、リアムたちがロックポップの王道をつないでいった。オアシス解散後、ビーディ・アイを経て、その後はソロアーティストとして復活した。今まで以上に奔放で、止まるところを知らないリアム。きっと一刻も早く出演したくて、うずうずしているのではないか。そんな彼のほほえましい姿が無理なく想像できる。

LIAM GALLAGER

「SUPERSONIC」は、もちろんハウス、テクノ、ダブステップなどのEDMが大集結する。米国エレクトロミュージシャン・DJのスクリレックスも注目株だ。すでに米グラミー賞3部門を受賞したダンスミュージックのカリスマ。米ハードコアバンド「フロム・ファースト・トゥ・ラスト」のリードボーカルから独立して2007年にソロ活動を開始した。2010年代の「ブロステップ・サウンド」の象徴となったといわれる。それにしても彼のハードコア時代のボーカルの哀愁を含むハイトーンは魅力的だった。それを横に置いてでも、ダブステップなどに没頭するとは、多彩さとその自信に驚く。ミックスされたサウンドでは、話し声をサンプリングする手法もあり、ここに日本語を交ぜてくれれば、会場は深く陶酔しながら、さらに盛り上がるだろう。

Skrillex

トロピカル・ハウスの火付け役、ノルウェーのDJカイゴも出演する。エド・シーランの「I  See Fire」のリミックスはユーチューブなどで何千万回と再生され、話題を集めた。2016年「Firestone」でデビューし、同年8月、リオ五輪閉会式に出演し知名度を上げた。高揚感へと誘うサウンド構築法には、明らかにハウスのノウハウがある。それが良質なポップスとして聞こえてくるのは、音質の特徴のせいなのか。トロピカルといえばそうなのだが、オーロラから降ってくるような夢見がちな甘い音の粒が優しい。

Kygo


こうしたミュージシャンたちが、現代の世界の姿を映し出す個性的な鏡のように、次々と立ち現れる「SUPERSONIC」。筆者には、幾層にも重なってくるであろう「癒しのサウンド」に引き込まれそうな予感がある。 




TEXT:米原範彦


SUPERSONIC

日時:2020/09/19(土) 11:30(開場9:30)
   2020/09/20(日) 11:30(開場9:30)

会場:舞洲SONIC PARK

公演詳細はこちら

一覧へ戻る