2020/6/20
インタビュー
―――コロナ禍でどうなるかと心配しましたが、28年連続のツアーが開催されます！
「正直ここまでコロナが長引くとはね、私、思っていなかったんですよ。事態がどんどん深刻になるなか、ツアーの開催を熱望するファンの方から本当にたくさんの手紙をいただきましてね。工房で孤独に執筆活動を続けるうえでどれだけ励みになったことか…。なんといっても今年は東京オリンピックの年だってことで、私もことさら力が入っていたんですよ。ファンの皆さんの後押し、スタッフはじめ多くの方々のお力添えがあって、今年も全国を回れることを心から嬉しく、ありがたく思っています」
―――ずばり、今年披露される怪談の出来栄えはいかがでしょう？
「今年はねー、良い！ 本当に良いんですよ、ええ。60歳あたりから長いこと大切に温めていた話がありましてね。話の破片がようやく綺麗に合わさって、今回やっと皆さんに披露することができるんです。70歳を過ぎて、変な欲も脂っ気もなくなったからこそできる話なんですよ。で、いきなりなんですが、遠い昔の、幼い日の自分にもし会ったらどうしますか？…私だったらね、抱きしめると思うんです、ええ。ここだけ話してもちょっと分からないと思うんですが、胸がじーんわりと温かくなる、不思議なんだけど納得できる――。そんなお話なんですよね。ああ、思い出したら私がウルっときちゃったな(笑)。昨年、マスコミの皆さんには『去年の86倍良い!』って言ったんですが、今年はさらにその83.5倍良いですよ!(笑)。もちろんものすごく怖い話、ミステリアスな話、いろいろ用意しています。期待していてください」
―――稲川さんの怪談は、同じ話であっても登場人物のセリフ回しがその時々で違ったりしますよね? ファンはほんのちょっとした違いにも絶対に気づいていると思うのですが、あれは意識してそうされているのですか？
「ああ、全てはね、お客さんとの間合いなんです。私はつくづくね、怪談は生き物だって思うんですよ。その時その時のお客さんとの間合いによって、登場人物の言い回しや声のトーン、話のテンポなんかがね、意識しなくても変わってくるんです。だから私の怪談は、目の前で聞いてくださっているお客さんと一緒に、まさに会場一体となって作られていくものなんですよね、ええ」
―――怪談ナイトといえば、やはり心霊写真のコーナーも楽しみです！
「今年はすごい！ ええ、怖いのがありますよー！ ある女性から送られてきた写真があるんですけどね。103歳で亡くなられたおばあさんの遺品整理で出てきた写真なんです。昭和10年あたりに撮られたらしいんですが、芸者さんの写真なんですよ。この写真をお預かりしてからね、実は私もいろいろあったんですが、そのあたりも含めて公演を楽しみにしてもらえたら」
―――最後に、公演を心待ちにしている大阪のファンにメッセージをお願いします！
「今の怪談ナイトがあるのは、どんな時でも大きな歓声と笑顔で迎えてくださった大阪のファンの方々がいたからこそ。ですから怪談ナイトに、もし大阪の公演がなかったらそれは怪談ナイトではないと思っています。そして、今でも私の怪談が進化・進歩し続けているのは、大阪のファンがとてつもなく大きな力をくれているから。今年は特に、これまでの集大成的な公演だと思っていただければ! ん～まあ、来年も同じようなこと言ってるかも知れませんが…(笑)。それからこういう状況下ですので、もしかすると当日、少し座席を移動していただいたりといったご協力をお願いするかも知れません。申し訳ありませんが、その節は何卒ご容赦いただければと思います。では皆さん、ぜひ会場でお会いしましょう！」
TEXT：新子貴康
★ INFORMATION
MYSTERY NIGHT TOUR 2020
稲川淳二の怪談ナイト
・大阪公演
2020/08/06(木)19:00
2020/08/07(金)19:00
2020/08/08(土)16:00
2020/08/09(日)16:00
2020/08/10(月・祝)14:00
サンケイホールブリーゼ
・奈良公演
2020/10/18(日)16:30
なら100年会館 大ホール
