2020/3/2
取材レポ
白井晃(演出)
―Q.意気込み
50年以上前に書かれた作品で、今やる意味が問われる作品だとは思います。書かれた当時と現代とでは環境は変わっているとは思うのですが、しかしながらまだ変わっていないものもあると感じますので、それが浮き彫りになればと。
―Q.この時代にこの作品を演出するうえで考えていることは?
50年前に発表された時にはとても衝撃的だったと思いますし、ゲイ社会のこと自体を題材にしたことは、大きな反響を呼んだと思います。この作品の中にはまだエイズは出てきていなくて、このあとにエイズが社会問題になって、作品にも取り上げられるようになります。LGBTの人たちのことがだんだん理解されるようになり、共生・共有していこうという社会になってきたと思っています。今では他のマイノリティに対しても共生していこうという大きな社会の変化はあるけれども、僕としては本当に変わってこれたのか?と思っているところもあって……。
マンションの一室で開かれる誕生パーティーでの9人の芝居なのですが、実は見せたいのはその部屋の外の世界なんです。作品ではその中にいる人たちの人間関係が大きくうねっていくのですが、外の世界が見せたいな、と。ゲイの方が集まるパーティーなのですが、社会的になじめない人間たちがどうやって社会と共生したらいいのか悩んでいる。「自分たちのことをこんなに嫌いじゃなかったら」という印象的なセリフがあるのですが、みんなそういう闇を持っているわけです。登場人物がみんな、自分がゲイであることを本当のところはマイナスだと考えているけれど、置き換えると、同様なことが誰の中にもあるのではないかと思っているので、そんなところまでもっていけたらいいなと思っています。
―Q.この9人のキャストに期待していることは?
台本を読み解く中で登場人物にはそれぞれの背景があるのですが、今日、出演者のみなさんが初めて揃って話を聞いていると一人一人の個性があふれ出ているので、今回のみなさんなりに自分の中にある役柄を掘り出してもらって、ぶつかり合うかもしれないけれど、それを一度試して、見てみたいなと思いました。関係性の中で生まれてくる新しい個性も活かしていけたらいいなと思います。
―Q.上演台本を手掛けるにあたってどんなことを意識しているのか?
あくまでも原作を尊重しつつ、テキレジのような感じで少し手を加える程度と考えています。わかりやすい見た目や言葉遣いよりも、精神性を見せていきたい。1968年の空間を再現するのではなく、現代(いま)の空間にしたいと思っているので、使う小道具だとか固有名詞なども面白いものがあれば許される範囲で変えていきたいと思っています。
安田顕
―Q.意気込み
2020年のオリンピックイヤーの夏を、白井さんの演出のもと、このキャストの皆さんと共に、人生のとても思い出に残る夏にしたいと思っています。
―Q.「男が男に惚れる」という文脈で、どんな男性に魅力を感じるか?
今回の共演者の皆さんには、コミュニケーションも兼ねて稽古が始まったら一人ずつ壁ドンしてもらって決めたいと思います(笑)
―Q.初めての白井晃さんの演出を受けるにあたって、心構えや期待していることは?
ドキドキするし、ワクワクしています。お稽古が大好きな先輩だと伺っているので、ビシビシご指導いただきたいです。
先ほど、フライヤー用の撮影があったのですが、「皆さん構えないでください、普通の感じでとりましょう」「そろそろかっこつけましょう」「はい、次は朗らかに」という3つがすごくポイントをついていて、その通りにできたので、稽古中もそのくらいにしていただけたら…(笑) やれることを精いっぱいやってお客様の前に立ちたいと思います。
―Q.ゲイを演じるにあたってどんな役作りをするか?
まだ稽古が始まっていないので分かりませんが、ゲイの方々はそれぞれに価値観をお持ちでしょうし、美意識も高いのではないかと思うので、9人の個性の中で、どのような美意識の持ち方をお客様に感じさせられるか、そういうアプローチができたらいいなと思います。
馬場徹
―Q.意気込み
白井さん演出のもと、この題材を50年後の今やることの意味は何なのか、模索しながら頑張りたいと思います。
―Q.どんな男性に魅力を感じますか?
誰かがミスをしてしまったときに、次はこうしよう!とその場でアイデアを出してくれるような男性はかっこいいと思います。
川久保拓司
―Q.意気込み
この豪華なメンバーでやらせていただけることにワクワクしています。オリンピックに負けない熱い汗を流して頑張ります。
―Q.どんな男性に魅力を感じますか?
安田顕さんとは数回舞台でご一緒しているのですが、とてもストイックで、舞台に対する準備、トレーニング、セリフの入り方もずば抜けて素晴らしくて、背中を見てみならわくちゃなと思いました。でも、お酒が入ると、大丈夫か?!という姿も見せてくれて…(笑)。そんな隙も見せてくれるところが魅力的な先輩だな、と思いました。
富田健太郎
―Q.意気込み
歴史ある素敵な作品に参加することができてうれしく思います。ずっと夢だったシアターコクーンのステージに立てることも感慨深いですし、この素敵な皆さんと一緒に駆け抜けたいと思います。
―Q.どんな男性に魅力を感じますか?
両親が好きだったので、家ではずっと尾崎豊さんの曲が流れていました。その影響か、今でも憧れています。セクシーで、言葉に感情が込められている。自分も言葉で伝えられる役者になりたいなと思っています。
浅利陽介
―Q.意気込み
LGBTの方々だけでなく、生きづらさなどを感じている人たちにも共通する点があるのかな、と思っているので、観に来てくれたお客様にこのテーマ性みたいなものを受け取ってもらって、明日の糧にしてもらえればと思います。
―Q.どんな男性に魅力を感じますか?
以前、鶴瓶さんの落語を見に行ったときに、大きな会場の大観衆の中でお客様を笑わせて、素晴らしいなと思った。寄席に行っても、寝てるお客さんが目の前にいても、動じずに落語をされていて、そのハートの強さはすごいな、って思います。
太田基裕
―Q.意気込み
初めてご一緒させていただくキャストの方々、スタッフの方々ばかりなので、この出会いに感謝しながら、作品の一部になれるように頑張ります。
―Q.どんな男性に魅力を感じますか?
渡部豪太さんと今日の控室が一緒なのですが、初めましてだったにもかかわらず、「太田くん、コーヒー飲む?」と声をかけてくださいました。その優しさに落ちました。
渡部豪太
―Q.意気込み
小さい時からアメリカ人になりたいな!と思ってきたので、今回アメリカ人の役がきてすごく嬉しいです。多様性が叫ばれる昨今、いろんな人がいろんなことを思って、いろんな場所で生きていると思うので、そういう中のひとつの鏡になれるような素敵な戯曲だと思います。このメンバーで頑張っていきたいと思います。
―Q.どんな男性に魅力を感じますか?
先日、「男はつらいよ」の50作目を拝見して、渥美清さんはとても言葉が美しくて、寅さんを思い出すシーンを見ていても、男が惚れる姿がそこにあったので、車寅次郎は素敵だなと思います。
大谷亮平
―Q.意気込み
台本を読んだらめちゃくちゃ面白いですし、会話に内容がすごく衝撃的です。自分にとってはすごいチャレンジになるので、みんなと力を合わせて頑張りたいと思います。
―Q.どんな男性に魅力を感じますか?
鈴木さんと以前共演したときに、かなりお酒を飲んで翌日の撮影のときもつらそうだったのに、撮影が始まるとスイッチが入ってビシッと決めていた。オンとオフの切り替えが素晴らしくて、かっこいいなと思いました。
鈴木浩介
―Q.意気込み
白井さん演出のもと、安田さんを中心として、全力でいい舞台にできるように皆さんの足を引っ張らないように頑張りたいと思います。
―Q.どんな男性に魅力を感じますか?
安田さんはお酒を飲んでいるときに「もう一杯いいですか?」と言うと絶対に断らないので、安田さんはやっぱり男らしいな、と思っています。
★INFORMATION
ボーイズ・イン・ザ・バンド
~真夜中のパーティー~
真夏のニューヨーク。
アッパー・イーストサイドにあるマイケルのアパートでは、ゲイ仲間のハロルドの誕生日を祝う準備が進められていた。
次第に仲間たちが集まりパーティーが始まろうとしている時、マイケルの大学時代の友人、アランがやってくる。
唯一のストレートであるアランの存在はマイケルたちの感情に変化をもたらし、雰囲気が徐々に険悪になりつつある中、パーティーの主役であるハロルドが現れる。
パーティーは更に荒れ、マイケルは強引に「告白ゲーム」を始める。
それは、心から愛している、または愛していたと思う相手に電話をかけ、直接「愛している」と告げると言うものだった。
これをきっかけに、それぞれの過去や本音が暴露されていく。
果たして、それぞれは誰に電話をかけ、どんな告白をするのか。
そして、マイケルにゲイであることを隠していると責められるアランは一体誰に告白の電話をかけるのか。
やがてパーティーが終わったあと、男たちはどこへ向かうのか……。
2020/08/21(金)~2020/08/23(日)
シアター・ドラマシティ
■演出・上演台本
白井晃
■出演
安田顕
馬場徹、川久保拓司、富田健太郎
浅利陽介、太田基裕、渡部豪太
大谷亮平、鈴木浩介
公演詳細はこちら