2020/2/25
取材レポ
――再演にあたって、作・演出を手掛ける岸谷さんは新たに脚本を書き直したそうですね。
岸谷「僕と寺さん(寺脇)以外、キャストを一新してすばらしい俳優たちが集まってくれました。新しいキャストだから、あの箇所を大きくしてみようと色々と変えています。大きくしすぎて森公美子さんはああなっちゃったんですが(笑)。シャチを演じるのはまっけん(新田)しかいないと思っています。芝居はもちろん、身体能力、殺陣、踊り、歌などすべての総合力を持って演じきれるのはまっけん。台本も彼のシャチを想像して書き直しています」
新田「僕はロサンゼルスに住んでいたころ、たまたま『星の大地に降る涙』の初演の映像を見ていて、何だこの舞台はと衝撃を受けたんです。ちょうど役者になりたいなと思い始めていた時期ですごく印象に残りました。前回『ZEROTOPIA』に出演したときは、舞台のことは本当に何も分からない状況。一から五朗さんに教わったので、今回ちょっとでも成長した姿をお見せしたいです」
岸谷「まっけんだから、楽曲も増やそうということになっています。EXILEが作ってくれ、まっけんが歌う主題歌『愛すべき未来へ』は、EXILEのATSUSHIとは違う魅力が出るでしょう」
新田「頑張らなければいけない所が多すぎて。芝居、歌、ダンス、殺陣がぎゅうぎゅうに詰められた舞台なので…帰ってすぐに稽古したい」
岸谷「言うと思った。昨日も大阪行きの新幹線に乗るギリギリまで稽古していて、新幹線に乗るまで、息をしていないみたいな」
新田「休憩なかったですもんね(笑)。休憩しようとしても出発の10分前だったので、続行しました」
岸谷「私服に早替えして新幹線に乗ったもんね」
新田「キャストの皆さん、一人ひとりがエキスパートなので、何か困ったときは、お兄さんお姉さんが助けてくれる。皆さんに支えてもらいながらシャチを磨いていっている過程です」
寺脇「僕と五朗ちゃんは初演の役を続投します。僕は島の住人・ザージャで、五朗ちゃんはトドといわれる島に行き着いた倭人。僕はまっけんとは絡みもあり、楽しくやらせてもらっています。その時の空気感を二人で楽しんで、その感覚で会話できればいいなと。今回は副題に『THE MUSICAL』とついていて、曲が倍近く増えている。それは登場人物の感情があふれてきてトップになり、歌に移行するということ。再演だけど新たな作品という感じです」
――結成25周年ですが、続けてこられた秘訣は。
寺脇「銀婚式を迎えてますますのラブラブぶりで、今日も楽屋は一緒だもんね(笑)。五朗ちゃんとは人間性が全く違うんですが、エンターテインメントに関してはいいなぁと思うことが変わらず同じ。根底が一緒なので、どうあろうが別れられるはずがない。続ける以外に道はないだろうと。それに五朗ちゃんがすごく好きなんですよ」
岸谷 「僕も負けないぐらい好きですよ(笑)」
新田 「やだもう。間に僕、挟まれて(笑)」
岸谷 「地球ゴージャスを結成したときは、何とまっけんは生まれてない」
新田 「そうですね」
岸谷 「考える余裕もないうちに25年経った」
寺脇 「その間、ケンカも一回もないんです」
――今、この作品をやる意義とは何でしょう。
岸谷「明治維新の1868年の年代に決めて書いたものはこの作品だけ。大政奉還とか激動の日本で、ある架空の民族がその中で揉まれ、滅びていくというところで、反戦を訴えられないかと。今、ミャンマーでロヒンギャが虐殺されていて、バングラデシュで90万人以上の難民キャンプができている。僕は昨年の12月にバングラデシュのその難民キャンプを視察しに行ったんですが、『星の大地に降る涙』は、今やるべきで、世界に向けて発信する作品だと思いました。演劇は力がないのではなく、皆が集まり一つの作品を作れば、大きなテーマになった力になるんだということをキャストにも話しています。笑いもあるコメディですし『明日、元気を出して仕事しよう、学校に行こう』とお客さまに前向きな気持ちになってもらえるように届けたいです」
TEXT:米満ゆう子
PHOTO:大西二士男
ダイワハウスSpecial 地球ゴージャス二十五周年祝祭公演
「星の大地に降る涙 THE MUSICAL」
■作・演出
岸谷五朗
■主題歌
EXILE 「愛すべき未来へ」
■出演
新田真剣佑 笹本玲奈
松本利夫 (EXILE) 湖月わたる 愛加あゆ 島ゆいか
猪塚健太 松浦 司 大平峻也 大嶺 巧
碓井菜央 原田 治 神谷直樹 おごせいくこ 田口恵那 砂塚健斗
加藤真央 大音智海 咲良 鈴木百花 織 里織 高木勇次朗
Sarry 杉山真梨佳 青山恵梨子 神田朝香 内木克洋 田邉浩仁
髙城 徹 筑紫珠楽(和太鼓) 佐藤史織(津軽三味線)
森公美子
岸谷五朗・寺脇康文
日時:2020/05/03(日・祝)~2020/05/14(木)≪全14回≫
会場:フェスティバルホール
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