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OKOJO 連載コラム
OKOJOまつしたの「ええんやけど」Vol.3

2021/12/20

連載コラム

OKOJO

警察の皆さん、毎日街の安全を守っていただいてありがとうございます。 

僕たちが何の身の危険も感じずに街を歩けるのはあなたたちのおかげです。

ただ、一つだけ言わせてください。 

交通違反の取り締まり方法だけはもう少し改善できないでしょうか。



__________________

 

数年前まで、俺はゴールド免許だった。

ゴールド免許。正しくは「優良運転者免許証」というらしい。

一定期間、無事故無違反を貫いた者だけに与えられる、オモテ面の一部が金色に彩られた運転免許証のことだ。

一切車を運転しない人でも免許を更新すれば交付される為、これを「ペーパードライバーの証」と捉える人もいるらしいが、年間何万キロも車を運転する俺は正真正銘の優良運転者としてゴールド免許を所持していた。

所持していた。そう、過去形だ。

確かあれはレコーディング終わりの帰り道。 

メンバーを家まで送り届けるのも俺の役割だった。

ギターのでんでんを家まで送り、最後にドラムのヤマトの家に向かっている途中のこと。

ヤマトが「ここを右」と言うので、その指示通りに右折した瞬間、パトカーのサイレンが鳴った。

しばらく、何のサイレンかわからなかったのでそのまま運転を続けたが、数百メートル進んだであろうところで拡声器の声が聞こえた。

「前の車、止まりなさい」 

完全に俺に向かって言っている。

何かしたかな…。気づかないうちに誰かとぶつかってた…?色んな不安がよぎる。

パトカーの指示通りに車を左に寄せて停車すると、程なくして警察官が運転席の窓を叩いた。

「さっき曲がったところ、右折禁止ですよ」
 
どうやらヤマトの指示で右折したところが右折禁止道路だったらしい。 

いわゆる「ねずみ捕り」に引っかかってしまったのだ。

完全に自分の不注意だ。

しかし、違反をしやすい道路で運転手から見えないように隠れて取り締まるこのやり方に俺は文句を言いたい。

違反をしやすいとわかっているなら、もっと大きな標識で注意喚起をするとか、道に警察官を立たせるとか、環境を変えることで未然に防ぐ方法なんていくらでもある。

違反を待っているばかりに、その違反がきっかけで事故が起こる可能性だってある。

もし運転手に対して抜き打ちで「いつ取り締まられるかわからない」という危機感を持たせるのが目的だとしたら、あまりにもコスパが悪いように思える。

「あそこの道は警官が隠れているから気をつけよう」という噂が広まるまでに事故が起こっては意味が無いし、この噂を理由に慎重な運転をするのも「安全運転」の本当の意味が変わってくる。

しかも、パトカーが待機している最中は道幅を占拠することになるし、違反車両の追跡には危険も伴う。 

違反は違反で罰則を受けて当然のことと理解はできる一方で、そこはその違反をすることで危険な場所かというとそうではない場合が多い。

実際に俺が捕まった道路も見通しがよく、パトカーは運転手から見えないようにコンビニの陰に隠れていた。 

もし交通課の方や警察の取り締まりに詳しい人がいたら、どういう目的で、またどんなメリットでこのいわゆる「ねずみ捕り」を行っているのか教えてほしい。

まさか、反則金を稼ぐノルマなんてものが存在する訳はないですよね。
 
右折禁止違反(正しくは通行禁止違反)の反則金は7,000円。

さらにゴールド免許の剥奪も決定した。

次の免許更新まではゴールド免許のままだったが、それはまるで薄いメッキのような、ただ金色をしているだけの、何の意味もないハリボテのゴールド免許だった。

そして右折を指示したヤマトからは何の謝罪も、「俺も半分払うよ」という言葉も無いまま今日に至っている。

元はと言えば標識をちゃんと見てなかった俺が悪いからええんやけど…。



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