2019/12/12
インタビュー
毎年恒例1/3に開催してきた「林英哲新春コンサートスペシャル」。8回目を数える今回は、まさに特別だ。2018年に和太鼓奏者の巨人・林英哲と、ジャズピアニストの巨人・山下洋輔との共演が企画された。ところが林が負傷、19年は山下の負傷で実現しなかった。来年こそ、三度目の正直!と、大阪で16年ぶりに2人で演奏するラベルの「ボレロ」に期待が高まる。林も「3年ぶりのリベンジ。いよいよご一緒に」と、尊敬してやまない山下とのセッションを楽しみにしている。
コンサートは2部構成。1部に山下をゲストに迎え、「ボレロ」のほか互いのデュオの新曲を演奏する。まず林が「コーネルの箱」と題する、現代美術作家のジョセフ・コーネルの世界観を太鼓で表現するパフォーマンスからスタート。「コーネルは、箱の中にいろいろなものを詰め、非常に詩的な作品を作っています。箱の中に宇宙を閉じ込めているようなところがあるんですね。それを意識し、舞台を一つの箱と見立てて、小道具を使ったり太鼓のセッティングも工夫して。皆さんがイメージされる和太鼓演奏とは全然違うと思いますよ」。関西初演のこの曲に山下も絡み、きっとおしゃれに届けてくれる。
2部は、若手実力派の太鼓ユニット“英哲風雲の会”を率い、迫力の太鼓アンサンブルを聞かせる。林の朋友(ほうゆう)で作曲家の故・松下功へのオマージュ曲「天の跫音(あしおと)」を関西で初めて演奏。また、林が休演した18年に予定していた大太鼓合奏曲「七星」も、今回は“風雲の会”6人に林も加わり、7人バージョンで再挑戦だ。「これは皆さんに大変好評をいただいている曲です。大太鼓がこれだけ並んで、とどろかせる曲はほかにないもの。皆さんが元気よく、高揚感を持って会場を後にされるような気持ちになっていただきたいですね。正月公演、今年も頑張るぞという感じでやりたいと思います」
太鼓は海外でも愛好者が増加。林の弟子もコロンビア大学で太鼓部を立ち上げたり、フィラデルフィアの大学で太鼓の教師になったり。林の活動が実を結んでいる。「太鼓は誰でもたたけますが、誰がたたいても一緒ではありません。皆さんの心の中に、コンサートを通して太鼓の印象や感動が残ってくれたらいいなと、いつも思っています。なかなか大阪に伺う機会がないので、このお正月公演を大阪の皆さんに見ていただき、また来年も行きたいと思ってくださるように全力投球でやります!」
取材・文:高橋晴代
★公演情報
林英哲 コンサートスペシャル2020
2020/01/03(金) 13:00
森ノ宮ピロティホール
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