
2026/1/6
インタビュー
――重田さんは、田村さんの作品に出演するのは3作目なんですね。
重田「2008年のプリエールプロデュース『おしるし』に出たのが初めてなんですが、それより前から田村さんの作品は観ていて。私が所属するテアトルエコーの中にもファンが多かったので、じゃあ書いてもらいましょうよ! とラブコールを送って叶ったのが2016年のテアトルエコー公演『淑女はここにいる』でした」
田村「僕が20代の頃から目をかけていただいていたので、テアトルエコーさんには恩返しのつもりで(笑)。この『ママごと』もそうだったんですが、2020年といえばちょうどコロナ禍。稽古に入ったものの、いつどうなるか分からない状況で、とうとう公演中止になった時はとてもショックでした。だから2年後に上演できた時は本当に嬉しかったし、おかげさまで好評のお声も多くいただいた印象深い作品です」
――須賀さんは、田村作品には初めての出演。台本を読んだ印象はいかがでしたか。
須賀「会話のテンポ感のようなものがすごく素敵で、面白いなっていうのが第一印象でした。その後、ONEOR8の『誕生の日』も観させていただいて、台本の魅力でもすけど、劇団公演ならではの魅力というのをヒシヒシと感じて。だから今回は客演のひとりとして劇団公演に参加できるのは貴重な経験ですし、すごく楽しみなんですよ」
重田「私は須賀くんが演じる拓実の叔母の由紀子役なので、舞台でたくさん絡めるのが楽しみで」
田村「僕も須賀さんの“間(ま)の良さ”というのを信頼しているので、何にも心配事はないんです(笑)」
須賀「いや~、はなの父・嘉郎役の佐藤B作さんも含めて、まさにそういう会話のやりとりで笑わせられるすごい方たちが揃っているので、その中に入るのは本当に挑戦です!」
――ONEOR8は創立して29年になりますね。
田村「いつのまにか劇団員も50代になり、僕自身もようやく親世代の葛藤を描けるようになったなと感じています。今って、家族や結婚なども姿を変えつつあるし、誰もがモヤモヤした不安を抱えている時代じゃないですか。人付き合いなども、SNSなどで遠くの人と簡単に繋がれるようになった一方で、人間同士の関係性は薄くなってきたというか。そんな中、内向きで濃密な物語を書くことで見えてくるものもあるんじゃないかなと思っていて」
重田「4人の“ママ”も、それぞれに秘密を抱えているのが面白いわよね。初めは普通の家族の物語かなという感じなのに、それぞれの会話のやりとりの中で、次第にそれぞれの関係性や、浮気や不倫、略奪愛などの過去が浮かびあがってくる。美佐枝役はONEOR8劇団員の冨田直美さんで、由紀子役の私と、幸役の岡のりこ、あゆみ役の安達忍は初演と同じ役。さらに岡と安達と私はテアトルエコーで同期なんですよ。だから今回も思い切りやりたいですね」
須賀「そういう結束感というか、劇団に所属する皆さん同士が醸し出す空気感も伝わってくるのが、舞台ならではの面白さですよね」
田村「そんな役者たちの関係性から出るものも感じていただきつつ、家族とか近しい人には思いの丈をぶちまけていい、観た方にはそんな風に思っていただければ(笑)」
須賀「そこに、僕や福田(沙紀)さんが加わることでどういう反応が起きるのか。難しいけれどやりがいがあるなってワクワクしています」
――再演に際して、演出が変わるところなどはありますか。
田村「ラストシーンはやっぱりコロナ禍だったから思いついたようなところがあるんですが、そんな不安感やモヤモヤした気持ちって、今も続いて社会を覆っていますよね。どんなにしんどい状況でもどこかで希望を持てるような作品にしたいというのが当時の心境だったのですが、それは再演でも変わらないし、このテーマは今後も生きていくような気がしています」
重田「“笑い”の部分でいうと、初演ではお客さんの笑い声がすごかったわよね」
田村「やっぱりフランス喜劇から始まった劇団であるテアトルエコーさんでの上演だったし、お客さんもコロナ禍の外出制限が収まってきて、笑いたくて劇場に来ているところもあったんですよね。ただ僕はいつもなんだけど、『コメディです』とはあまり言いたくなくて。“笑かし”というより“おかしみ”というところでお客さんが勝手に笑ってくれるといいなと思っているので、再演の今回はウチの劇団らしい風合いになるのかなと。そこが違いといえば違いかもしれないです」
――最後に、大阪公演の意気込みをお願いします。
須賀「意外と僕、こういう笑いどころのある作品って、出たことがないんです。なので、田村さんがおっしゃった“やりとりの妙で笑わせる”というのを、難しいけれどがんばりたいですね。あと、大阪は美味しいお店が多いので新規開拓をしたいです」
重田「それは欠かせないよね(笑)」
須賀「やっぱり舞台公演で地方に行くと、共演の皆さんと土地土地のお店に行くのが楽しみなので、今回も共演の皆さんと美味しいお酒を飲めたらなって。もちろん公演をちゃんと務めた後で(笑)」
重田「ぜひ行きましょうね。私はテアトルエコーの全国ツアーや、昔出演していた『コメディーお江戸でござる』(1995年から2004年までNHKで放送されていた人気バラエティ番組)の生収録でも大阪に行っているけど、やっぱり大阪のお客様は“笑い”に慣れていらっしゃるなぁと。そこへ今回こういう作風のものを持って行くっていうのは、どんな風に伝わるのかなというのが楽しみですね。初めて田村さんの作品を観るという方は、ぜひ肩の力を抜いて観ていただけたら嬉しいです」
田村「ONEOR8で大阪公演をするのは3回目なんです。重田さんの言うとおり、作品は確かに芸人さんのドカンと笑わせるものとは違うけれど、僕自身は大阪の芸人さんの凄さを目の当たりにして育った世代なので、大阪は憧れの地なんです。そこでやるというのは本当に緊張するのですが……」
須賀「分かる気がします」
田村「今はシンプルに、『たぶん面白いと思うので、すごく来ていただきたいです!』と叫びたいです」
重田・須賀(笑)
取材・文/藤野さくら(書斎ジュディス)

ONEOR8公演「ママごと」
■作・演出
田村孝裕
■出演
福田沙紀、須賀健太
冨田直美、恩田隆一、山口森広
重田千穂子、安達忍、岡のりこ、関口アナン、小口ふみか
佐藤 B 作
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|日時|2026/02/06(金)~2026/02/08(日)≪全4回≫
|会場|ABCホール
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