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【プレ55周年 イルカコンサート 〜あいのたね♡まこう!〜】イルカ インタビュー

2025/10/10

インタビュー

プレ55周年 イルカコンサート ~あいのたね♥まこう!~

2026年に活動55周年の記念イヤーを迎えるシンガーソングライターのイルカによる公演『プレ55周年 イルカコンサート 〜あいのたね♡まこう!〜』が12月7日、東大阪文化創造館にて開催。そんな同公演についての取材会が9月24日、大阪市内で開かれた。1975年発表曲「なごり雪」があらゆる世代に歌い継がれ、2024年末には『第75回NHK紅白歌合戦』で同曲を披露して話題に。イルカにとって55年に及ぶ音楽活動はどのようなものだったのか、これまでを振り返ってくれた。

――9月21日には、プレ55周年公演と同タイトルの楽曲「あいのたね♡まこう!」がリリースされました。この曲に込めた思いを聞かせてください。

「「あいのたね♡まこう!」と全部平仮名にしたのは、小さいお子さまにも読めるようにしたかったからです。曲が生まれるときは頭の中になにかがフワッと生じるのですが、一昨年(2023年)くらいに「あいのたね♡まこう!」という言葉が生まれました。愛の種を蒔くなんて当たり前のことなのですが、今、世の中全体があまりにもそれと逆行していて、ニュースを見ていても不安な気持ちになります。災害が頻繁に起こったり、あちこちで戦争が起きてしまったり。またコロナ禍で2年半、コンサートができない、手も足も出ないということがあるなんて考えもしませんでしたし、環境汚染などもあり、そういう負の連鎖が繋がって拡大している気がしました」

――そういう気持ちが楽曲に結びついているのですね。

「なによりおそろしいことは、そういったことから派生する憎しみの種が蒔かれること。ニュースを見ていても、子どもたちの泣いている姿を目にします。そうすると、その子どもの心には優しい気持ちよりも憎しみが生まれてしまう。「この子は一生、(憎しみを)背負っていくのかな」とやるせない気持ちになるんです。いつかそういう気持ちが解けて、たくさんの人を愛せるように、私たちがなんとかしていかなきゃいけないんじゃないかって。すぐになにかが出来なくても、そしてどんなに小さくてもいいから、今、愛の種を蒔いておけばいつか子どもたちが大人になったときにそこから花が咲いたり、実がなってまた愛の種が蒔かれたりするといいなって。私には4人の孫がいますが、おばちゃんとしての遺言のような気持ちなんです」

――2026年には活動55周年を迎えられます。あらためてこれまでを振り返ってみて、いかがですか。

「あっという間のような、長いような。こんなに長く歌ってこられるとは思っていなかったので、歌えているだけで幸せです。コロナ禍の2年半の間に50周年を迎えましたが、何十本のコンサートが流れて仕事もなくなり、「このまま引退かな」「みなさんと一緒に歌うコンサートはできないかもしれないな」と思いました。そういう時期を越えて一緒に歌えるようになったので、コンサートをやるたびにありがたみが倍増しています。なにより55周年を迎えることができたのは、横にいてくれるスタッフが支えてくれて、コンサートに来てくださるお客様が一緒に同じときを歩んでくださったから。みんな、同じ時間を歩んできた仲間という気持ちが強いです」

――代表曲の一つ「なごり雪」はイルカさんにとってどのような存在でしょうか。

「作者の伊勢正三さんといつも話していることですが、「この子は自分たちの手から遠いところに行くくらい、大きな存在になったよね」と実感しています。世代を越えてみなさんが大きく歌ってくださるので、それは作者や私のことなどをすべて超越して、みなさんの胸のなかで育てていただけたということ。偉大な存在です。歌は自分の子どものように思っていますが、(「なごり雪」が)嫁に行ったのか、出世して大きくなっちゃったのか、親をどんどん超えていく嬉しさを感じています」

――一方、2024年にはSNSで、かつて頚椎の狭窄症と診断されて医者から「ギターを辞めたほうがいい」と言われたことを明かされましたね。

「頚椎の狭窄症が発覚したのは、夫が入院していたとき。夫が亡くなったのが2007年ですから、(診断されたのは)20年くらい前。コンサートでギターを弾いていると、中盤の弾き語りになると手が痺れてきて「困ったな」と思っていたんです。そうしたら先生が「頚椎がね。職業病だよ。重たいものを持ったらだめですよ。ギターを辞めなさい」とおっしゃって。でも辞めるわけにはいかないでしょう? だからスタッフが考えてくれて、今はギタースタンドにギターを置いて弾くようになりました。それからは手が痺れずに弾くことができています。でもそうすると、(コンサートで)みなさんが「イルカさんのギターって宙に浮いていておもしろいですね」って(笑)」

――なぜ「ギターを辞めるわけにはいかない」と思われたのですか。

「「ギターを弾いて、歌うのがイルカちゃんでしょ?」というだけのことなんです。歌を作るときからなにから、ギターは一心同体ですから。ハンドマイクで歌うと、心許ないんです。ギターはずっと一緒に歩いてきた友なので。この先はどうなるのか分かりませんが、歌えるうちはギターを弾いて、みなさんに聴いていただきたいです」

――イルカさんは音楽だけではなく、IUCN国際自然保護連合の親善大使、絵本執筆などさまざまな分野でも活動なさってきました。精力的に活動される背景には、どういった思いがあるのでしょうか。

「すべて「愛の種を蒔こう」という気持ちです。私の歌の中には、「何千年先の子どもたちのために生きていこうよ」というものがあります。20代のときからそういう歌を作っていましたが、今はぴったりの心境になっています。「今さえ良ければいい」ではなく、未来のために良いことをきちっとやりたい。それらは私たちのご先祖さまが繋げてくれたことだから、より良い形でお返ししたい。私のおばあちゃんも「ものをお借りしたら、綺麗にしてお返ししなさい」と言っていましたから。そう思うと私たちは今の世のなか、反省することが多い。もがきながら努力していく必要があり、「未来のために少しでも役に立てることがあれば、やらなきゃね」という気持ちです」

――あらためて12月7日の大阪公演への意気込みをお聞かせください。

「大阪には根強く応援してくださる方も多く、心強いです。12月7日も喜んでいただけるよう、新しい歌だけではなく、青春していただける懐かしい歌もいっぱい用意しているので、ぜひ会いにきてください」

取材・文:田辺ユウキ

 

プレ55周年 イルカコンサート
~あいのたね♥まこう!~


|日時|2025/12/07(日) 16:30
|会場|東大阪市文化創造館 Dream House 大ホール
▶▶公演詳細

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